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【第208号】藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その14 『憂夢』 その1
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【第208号】藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その14 『憂夢』 その1

2019-02-13 07:00
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    マクガイヤーチャンネル 第208号 2019/2/13
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    おはようございます、マクガイヤーです。

    久しぶりにワンフェスに行ったのですが、呑気に昼過ぎから行ったせいか、お目当てのものは全然買えませんでした。

    しかし、それでも楽しかった! 次回はちゃんと早起きして行きたいところです。




    マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。



    ○2月17日(日)19時~「最近のマクガイヤー 2019年2月号」

    ・最近の『やれたかも委員会』

    ・最近のラーメン屋とマッサージ店

    『アクアマン』

    『ファースト・マン』

    『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』

    『バジュランギおじさんと、小さな迷子』

    『サスペリア』

    『シリーズ怪獣区 ギャラス』

    その他、いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。



    ○3月10日(日)19時~「俺たちも昆活しようぜ! Volume 2」

    昨年の8月、ご好評頂いた昆虫回が帰って参りました。

    今回も昆虫にちょう詳しいお友達のインセクター佐々木さん(https://twitter.com/weaponshouwa)をお呼びして、昆虫の魅力について語り合う予定です。

    漫画に出てくる昆虫……果たしてどんな昆虫話が飛び出すのか?!

    ちなみに前回の放送はこちら




    ○3月20日(水)19時~「映画『バンブルビー』公開記念 トランスフォーマー講座」

    3月22日より映画『バンブルビー』が公開されます。

    実写映画版『トランスフォーマー』の7作目にしてスピンオフですが、『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』で名を馳せたトラヴィス・ナイトが監督を務め、既に公開された米国ではシリーズ最高傑作と評判も高いです。

    そこで、当チャンネルでは映画公開前に、玩具を中心としてトランスフォーマーの魅力を再確認できるような放送を行います。

    ちなみに前回の放送「トランスフォーマー 上級編」はこちら

    ただいま出演して頂ける豪華ゲストを調整中です!



    ○4月前半(日時未定)「俺たちの『スーパーロボット大戦』」

    3月20日にPlayStation 4/Nintendo Switch用ゲームソフト『スーパーロボット大戦T』が発売されます。また、年内にはスマートフォン用ゲームアプリで初のシミュレーションゲーム系システムが採用された『スーパーロボット大戦DD』が配信予定です。『スーパーロボット大戦』シリーズの最新作になります。

    1991年のGB版『スーパーロボット大戦』発売から28年、シリーズも50作(数え方に諸説あり)を越えた「スパロボ」は、いつの頃からか単なるお祭りや公式二次創作やロボットアニメ回顧コンテンツではなく、「スパロボ」ならではの新しい魅力を産み出すようなムーブメントになってきました。

    そこで、シリーズの歴史や魅力を振り返りつつ、「スパロボとはなにか?」に迫るような放送を行ないます。

    アシスタント兼ゲストとして、友人の虹野ういろうさん(https://twitter.com/Willow2nd)をお招きする予定です。



    ○4月後半(日時未定)「最近のマクガイヤー 2019年4月号」

    詳細未定。

    いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。


    さて、今回のブロマガですが、藤子不二雄Ⓐの『憂夢』について紹介させて下さい。これまで書いてきた藤子不二雄Ⓐ作品解説の最終回になります。


    ●『憂夢』とは

    『魔太郎が来る!!』の解説でも触れましたが、いま一度紹介させて下さい。


    『憂夢』は1991~95年にビッグコミックオリジナルに連載されていた連作短編です。

    新宿のどこかの路地裏にあるレンタルビデオショップ「YOUM」。レンタル料金は一泊二日で9999円と高額ですが、この世に一本しかないビデオが揃っています。

    それぞれの回の主人公となるお客さんは、店主の薦めるままに応じてビデオを借り、深夜に視聴します。すると、そのビデオは自分を異なる角度からみたドキュメンタリーだったり、友人知人の秘密の映像だったり、あろうことかビデオの中に入り込んだりするのです。奇妙な経験をした主人公は、それまでの人生を変えるべく行動を起こすのですが……というのがだいたいのお話です(話の都合上、あまりお金を持っていない人のために、店内の試写室で観れば無料となっているのが面白いところだったりもします)。


    ……早い話、『憂夢』は『笑ゥせぇるすまん』の喪黒福造の役回りがレンタルビデオショップの店長となった、バリエーションの一つです。連作形式で、「お客様」がその回の主人公で、ロアルド・ダールやスタンリィ・エリン、リチャード・マシスンなどから影響を受けたⒶ流の「奇妙な味」短編であることなども共通しています。

    ですが、明らかに違う点もあります。

    ・『せぇるすまん』シリーズに比べてリアリティが高い作風である

    ・店長には喪黒福造が時折抱く悪意が無い

    ・時々、びっくりするくらい良い話がある

    ・これまでⒶが用いてきたのと同じモチーフ、テーマを扱いつつ、これまでとは異なる結末となる話がある

    ・Ⓐ自身の人生を思わせる話が多い

    ……等々です。



    ●『笑ゥせぇるすまん』との違い

    『憂夢』が『笑ゥせぇるすまん』と異なる点の一つは、リアリティラインが高くなっていることです。

    店主は喪黒のように「ドーン!」と指差すことで発生する超自然的な力を使いません。その代わり、ビデオが理屈や因果を越えたものだったり、ビデオを観たことがきっかけで超自然的な出来事が起こったりするのですが、ビデオや結末を一種の夢――白昼夢と捉えれば、現実に起こってもおかしくない話ばかりです。

    また、ビデオショップがある場所も、西新宿の十二社近くの路地と、具体的です。『ブラック商会変奇郎』の『変奇堂』の近くであり、スタジオゼロ時代からⒶが仕事場を構えている場所であり、トキワ荘時代もつのだじろうに会いに来ていた場所でした。ⒶもFもこの場所には相当な思い入れがあるようです。


    『憂夢』の主人公となる「お客様」は、本当に実在しそうな人たちばかりです。職業も、編集者やイラストレイター、アニメイター、学生など、Ⓐが普段つきあいがあったり、経験があったりするようなものが選ばれているようです。若い頃から芦田伸介に似ている部長とか、栄養ドリンク中毒の漫画家といった、いるかもしれないけれど話の都合上の無理矢理感が否めない主人公はほとんど登場しません。


    また、店主には「お客様」に対する悪意が全く無いことも大きな違いです。「お客様」の自業自得で破滅を迎える話があることは両作に共通していますが、店主は決して「お客様」の不幸を望んでいません。これは喪黒が客と取り付けた「約束」が破られたという判断に強引なものがあることや、時折喪黒自身の意思で客を破滅に追い込むことと対照的です。キャラクターデザインも、黒を基調とし(太った)メフィストフェレスを連想させる喪黒に対し、白いワイシャツの袖がまぶしい店主はいかにも善人そうです。



    ●ブラックユーモア作品なのに良い話

    『憂夢』と『笑ゥせぇるすまん』を比較した時、最大の違いは、連載が進んでいくと、信じられないくらい良い話があることでしょう。

     
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