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【第279号】『ラーメン発見伝』・『らーめん才遊記』・『らーめん再遊記』と二郎・イズ・ナンバーワン(前編)
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【第279号】『ラーメン発見伝』・『らーめん才遊記』・『らーめん再遊記』と二郎・イズ・ナンバーワン(前編)

2020-07-08 07:00
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    マクガイヤーチャンネル 第279号 2020/7/8
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    おはようございます。

    アトロク木曜日を聴いていると、『The Last of Us Part II』のことが気になって気になって仕方がないのですが、やっぱりプレイするなら最初からだろうと前作『The Last of Us』をプレイしています。去年PS Plus100円セールの時に買っておいてよかった!




    マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。



    ○7月12日(日)19時~「最近のマクガイヤー 2020年7月号」

    ・時事ネタ

    『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』

    『ランボー ラスト・ブラッド』

    『許された子どもたち』

    『ANNA/アナ』

    『イップ・マン 完結』

    『ドクター・ドリトル』

    『グッド・ボーイズ』

    『カセットテープ・ダイアリーズ』

    その他、いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。



    ○7月26日(日)19時~「いまこそ読み直したいジョージ秋山」

    漫画家のジョージ秋山が5月12日に亡くなったことが発表されました。

    『デロリンマン』『銭ゲバ』『アシュラ』『ザ・ムーン』『浮浪雲』『捨てがたき人々』……と、代表作に事欠きませんが、実際に読んでいた人はどれくらいいるのでしょうか?

    人は誰でも平和や戦争、政治経済や宗教について語りますが、心底思ってるのは金とセックスのことだけ。病気が人を殺すのではなく、妄想が人を食い殺す。我利私欲の世の中で、カネとセックスにまみれながら、人生と欲望と愛と自意識を語るジョージ秋山作品は、この21世紀にこそ読まれるべき作品たちなのだと自分は考えます。

    そこで、漫画家としてのジョージ秋山を振り返りつつ、作品の魅力について紹介するようなニコ生を行います。

    ゲストとしていつもお世話になっている漫画家の山田玲司先生(https://twitter.com/yamadareiji)をお迎えする予定です。



    ○8月前半 19時~「最近のマクガイヤー 2020年8月号」

    詳細未定。

    いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。



    ○藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています

    当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。

    https://macgyer.base.shop/items/19751109


    また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。

    https://macgyer.base.shop/items/25929849


    合わせてお楽しみ下さい。




    さて、今回のブロマガですが、先週の放送のまとめとして、『ラーメン発見伝』『らーめん才遊記』『らーめん再遊記』について解説させて下さい。




    ●職人・作家性vs商業性

    初期の『らーめん発見伝』は、「ラーメン版『美味しんぼ』」といわれても言い逃れできないくらい『美味しんぼ』と似た要素を持った漫画でした。


    ・主人公はグータラ会社員

    ・ヒロインは会社の同僚

    ・富井副部長そっくりな辻井係長

    ・有能で好人物だが、主人公の全てを理解したような仕事を振ってきたりと、腹の読めない上司(初期『美味しんぼ』の谷村部長は明らかに山岡と雄山の関係を知った上でなにかを企んでいるような伏線のような描写がありました)

    ・会社の仕事をする上で巻き起こったトラブルを自らの「食」に関する知識で解決する

    ……と、明らかに『美味しんぼ』フォロワーとしかいえない漫画でした。


    原作者の久部緑郎は元ロッキング・オン編集部員で、その後フリーライターとなった岩見吉朗の別名義ですが、岩見吉朗名義で書いた『マンガの方法論 マンガ原作発見伝』には、『美味しんぼ』との類似についてこう書いています。


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    と言っても、パクったということじゃないですよ。これは誓って言いますが、決して『美味しんぼ』をパクってはいません。しかし、「似ていないか」と言われたら、これは否定出来ない。『ラーメン発見伝』はある面、『美味しんぼ』と実によく似ています。

    (中略)

    この四人(引用者注:主人公・ヒロイン・辻井係長・四谷部長)がそろった段階で、さすがに「あれ、これは『美味しんぼ』では?」と気づきました。主人公の藤本を中心に、他の名作を参考にしつつバランスを考えて作っていったら、何故か『美味しんぼ』そっくりのキャラクター構成になってしまったのです。

    ちょっとまずいような気もしましたが、でも考えてみたら、この職場のキャラクター構成は『なぜか笑介』にもそっくりだし、『釣りバカ日誌』にも近いものがあります。というか、会社を舞台にしたマンガ、ドラマ、映画は大なり小なり、これと似たところがある。

    とりわけ主人公をいじめる直属の上司役は、『なぜか笑介』の高山係長、『釣りバカ日誌』の佐々木課長、『総務部総務課 山口六平太』の有馬係長、『美味しんぼ』の富井副部長…と酷似しています。皆、嫌みで粘着で意地悪で小心な俗物キャラクターです。

    つまり『ラーメン発見伝』は、主にサラリーマン物語の典型的なパターンを、場合によっては意識し、場合によっては無意識に踏襲した結果、『美味しんぼ』に似てしまった作品なのです。

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    つまり、当初『美味しんぼ』のことなど全く意識しておらず、それ故に似てしまったというわけです。(編集会議は「ラーメン版『美味しんぼ』」で通ったと思うのですが)これは原作者としての本音でしょう。


    『ラーメン発見伝』の第一話は、「ウチのラーメンはアート」と口にする店主が10年の間に堕落して業務用スープを使うという、いかにも『美味しんぼ』的な話でしたが、最後は「いっさい妥協せずに無制限に材料費と手間暇かけてたらやってけるわけがない」「でも制約があってもその中でベストを尽くそうとしてる店はいっぱいある」という、「職人・作家性vs商業性」の対立でまとめていました。第一話から既に、テーマとして『美味しんぼ』と違うものを追い求めていく姿勢が明らかだったわけです。


    職人・作家性と商業性が対立した時、『美味しんぼ』では必ず前者が物語の中で「善」とされ、前者の立場を代表するキャラクターが勝ちます。

    しかし、『ラーメン発見伝』はそうではありません。最高に美味しい創作ラーメンを考案できたとしても、お店で、一定の品質で客に出せなければ意味がありません。素材も、安定供給されるものでなければお店のメニューにとりいれられません。

    最大の問題は、繊細な味覚を持ちこれまでのラーメン史の文脈を踏まえた「分かる」人間にとっては美味しくても、単純な刺激しか理解できない「舌バカ」な客にとってそうでなかった場合です。特にラーメンは脂や塩といった味覚を強烈に刺激する要素が多く、また長年愛されてきた大衆料理なので、「あまりにも先進的なラーメンを出しても客が味を理解してくれない」という問題が起こりえます。戦後日本におけるラーメンの歴史的背景とか、食に限らずあらゆる文化は進化・進歩するもの、いやすべきものとか、そんなことを考えながらラーメンを食べているのは一部の評論家や「意識の高い」店主や客だけで、多くの客は単純に安くてウマい――コスパがいいものをお手軽に食べたいだけなのです。


    こういった問題は『美味しんぼ』ではほとんど描かれず、描かれてもメインテーマとはなりませんでした。『ラーメン発見伝』から続くシリーズが大きな人気を獲得した理由の一つがここにあります。

    この「職人・作家性vs商業性」というテーマを象徴するのが、芹沢達也というキャラクターです。当初は明かに一回限りの敵役として登場した芹沢サンですが、作品のテーマを象徴するキャラクターであるということに作り手は気づいたのでしょう。以後、再登場する度に存在感を増していきました。


    「ヤツらはラーメンを食っているんじゃない。情報を食っているんだ」


    「厨房だけがラーメン屋のすべてではない」


    「「うまいラーメン」で満足しているのはアマチュアに過ぎない。「うまい店」を目指してこそプロだ。」


    「新しい何かとは、構造を疑い破壊することなくしては生まれないのだ」


    ……といった芹沢サンの台詞の数々は、「職人・作家性vs商業性」という対立を力がある言葉で示すが故に、まとめサイトに取り上げられると共に漫画を実際に読んだことがない読者にまで届きました。バットマンよりもジョーカーが人気者になるような要素が『ラーメン発見伝』にはありました。

    時間軸を遡って、舌バカな客からカネを巻き上げるために敢えてラードや牛脂をぶち込み、芹沢達也がラーメンハゲになった日――アメコミでいうところのオリジン話である『スープが冷めた日』(単行本7巻収録)も描かれました。いよいよアメコミのヴィランのようです。



    ●ゆとりの成長が言語化能力の向上で示される理由

    続編『らーめん才遊記』では芹沢サンが敵ではなく、メンターになることで「職人・作家性vs商業性」の対立がよりフィーチャーされると共に、両立を目指していくさまが描かれました。前作のライバルが続編では若き主人公のメンターとなる構図に、オタクな自分は『Zガンダム』を連想してしまいます。当然、『Zガンダム』をパクったわけではないでしょうが、主人公よりも人気が出たライバルキャラを続編でメンターとし、準主役とする手法は同じです。

     
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