おはようございます。マクガイヤーです。
師走のせいか、かなり忙しくなってきました。
こういう時こそ有休をとってリフレッシュしたいのですが……なかなか思うようにいきませんね。
マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。
〇12月13日(月)19時~「最後のアンサーソングとしての『エウレカセブン』」
11月26日より映画『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』が公開されます。『交響詩篇エウレカセブン』のリブート作品にして、テレビアニメ・ゲーム・漫画などのエウレカセブンシリーズを包括した『ハイエボリューション三部作』の完結編になるそうです。
2005~2006年に放送された『交響詩篇エウレカセブン』は久しぶりに一年に渡って放送されたロボットアニメでした。シリーズものの続編ではない新規作品であると同時に、『ガンダム』から『エヴァンゲリオン』までのロボットアニメのオマージュに溢れた作品でもありました。
そんな『エウレカセブン』が、『シン・エヴァンゲリオン』が公開されたのと同じ2021年に完結する……かどうかは分かりませんが、リブート作品の完結で一区切りつくことに、因縁めいたものを感じてしまいます。
そこで、『エウレカセブン』シリーズ全作について解説しつつ、いったい『エウレカセブン』とは何だったのかについてトークするような放送を行います。
ゲストとして声優の那瀬ひとみさん(https://twitter.com/nase1204)をお迎えしてお送り致します。
〇12月27日(月)19時~「Dr.マクガイヤーのオタ忘年会2021」
例年お楽しみ頂いている「オタ忘年会」。
2021年に語り残したオタク的トピックスやアイテムについて独断と偏見で語りまくる予定です。
ゲストとして編集者のしまさん(https://twitter.com/shimashima90pun)をお迎えしてお送り致します。
ちなみに過去の忘年会動画はこちらになります。
2020年
2019年
2018年
〇1月10日(月)19時~「最近のマクガイヤー 2022年1月号」
詳細未定。
いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。
〇1月17日(月)19時~「『クライ・マッチョ』とイーストウッドの私小説映画」
2021年1月14日より映画『クライ・マッチョ』が公開されます。クリント・イーストウッド91歳の主演作にして、監督40作目となる映画だそうです。 イーストウッドはサイコスリラー映画『恐怖のメロディ』でデビューしましたが、自分のオリジンである西部劇、血沸き肉躍る冒険小説の映画化、性癖の反映であろうスリラー映画、自身の軍隊・役者・経験を反映させつつ「血と暴力の国」アメリカを様々な手法・ジャンルで描く映画の他に、それらの要素を合わせ持ちながら自分の人生を反映させた映画を監督しています。しかも、その多くにはイーストウッド自身の恋人・息子・娘が出演しており、その公私混同というか混淆ぶりは庵野秀明にとっての『エヴァンゲリオン』を彷彿とさせるのです。『クライ・マッチョ』もこの系譜に属する作品なのは間違いありません。
そこで、『ブロンコ・ビリー』『センチメンタル・アドベンチャー』『目撃』『グラン・トリノ』などのイーストウッド私小説映画を紹介しつつ、。『クライ・マッチョ』について解説する放送を行います。
ゲストとして声優の那瀬ひとみさん(https://twitter.com/nase1204)をお迎えしてお送り致します。
〇藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています
当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。
https://macgyer.base.shop/items/19751109
また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。
https://macgyer.base.shop/items/25929849
合わせてお楽しみ下さい。
〇プレゼント:1/6 マクガイヤーヘッド
お友達の中村さん(たかすあんさん https://twitter.com/takasu_unne)が制作してくれた1/6 マクガイヤーヘッド、きちんと塗装してボディにつけてSNS等にアップしてくれる方3名様にプレゼント致します。
我こそは! と思われる方は、↓からご応募下さい。
https://forms.gle/KShitv3cQBh823dC7
2021年末を締め切りとさせて頂きます。
さて、本日のブロマガですが、引き続きキャプテン・ジャパンの妄想話について書かせて下さい。
●天皇ごっこ その1
「その昔、血清学という学問がありました。免疫学や分子生物学が確立して数十年経った今では完全に言葉だけになった分野ですが、もともと免疫学は血清学を源流とし、発展した学問なんですな。
人類が本当の意味で血清というものを認識したのは17世紀、レーウェンフックによる顕微鏡を用いた微生物や細胞の観察が契機になったといっていいでしょう。それまでも、体外に放出された血液を放置すると寒天状に凝固し、その周囲に透明な黄色の液体が出てくる、という現象は知られていました。この液体が血清なわけですが、血液を観察すると、透明な黄色の液体(これは血清ではなく血漿と呼ぶべきものですが)の中に様々な血液細胞――血球が浮遊しているのが観察されました。血液の赤さは赤血球に由来するもので、血漿成分は体内にある時から透明な黄色の液体である、体外に出た血液から分離した血清の色も同様である――そういう、今や常識であることが初めて分かったわけですな。
その後、凝固した血液を遠心して血清を分離したり、抗凝固剤を添加して血液を凝固させないまま遠心し、血漿を手に入れることができるようになりました。そして、血球も血漿も血清も、生命活動を維持するにあたり、同じくらい重要な働きをしていることが分かってきました。
酸素や二酸化炭素の運搬、異物の排除、血液凝固を行う血球や血小板が重要なことは、誰でも理解できたわけですよ。その血球や血小板も、in vitro……試験管内では、血清が無ければすぐ死んでしまいます。「死ぬ」という言い方がおかしければ、不活化でも「もたない」という表現でも良いでしょう。浸透圧やpHを調整しただけでは、細胞分裂せず、数日ともちません。最も多く含まれる成分はアルブミンとグロブリンと呼ばれるタンパク質ですが、人類はついこの前までこのタンパク質を人工的に合成することはできませんでした。また、アルブミンが単一成分であるのに対し、グロブリンが数種類あるようにみえたのも、厄介な点でした。他にも様々な成分が含まれていますが、とりあえずの生体機能維持の観点からは、血液凝固因子やフィブリン接着剤などの成分も重要です。長い間、血清を人工的に合成することができなかった理由がここにあるわけですよ。
たとえ血清の中にあっても、一旦身体の外に取り出した血球は、数日で死んでしまいます。21世紀の今でも、輸血用血液の保管期間は血小板で数日、赤血球で3週間くらいじゃなかったかな? 一方で、血漿や血清は凍結しても有効成分が劣化しないので、長い間保管可能です。輸血が必要となった時、全血や赤血球が用意されて無くても、輸液と共に血漿を輸血することで命を繋げる可能性があるわけです。実際、昔はそのように使われました。
一方で、治療としての輸血には必ず副作用の問題があるわけですが、19世紀末に北里柴三郎とエミール・ベーリングが「抗体」の概念を発見したわけですよ。
微量の破傷風菌毒素――当時、破傷風菌を純粋培養する装置を開発して毒素を単離する技術を開発しただけで相当な業績ですが――をウサギに注射します。段階的に毒素の量を増やしつつくり返し注射したところ、毒素で死ぬウサギもいましたが、平気で生きているウサギも出現するようになりました。そして遂に、強力な毒素と破傷風菌の芽胞を含む培養液を注射しても耐える能力を持つウサギが誕生しました。
このウサギをアースキン博士のスーパーソルジャーならぬスーパーウサギと呼ぶことにしましょう。このスーパーウサギの血液を調べると、毒素を抑える働きのある物質が作られていることが分かりました。北里はこれを「抗毒素」と名付けましたが、この実態はグロブリン、免疫グロブリン――つまり抗体です。これが人類初の抗体の発見だったわけですよ。
更に北里は、このスーパーウサギの血清を普通ウサギに注射すると、普通ウサギが毒素を抑える働きを、一過性ですが、獲得することを発見します。更には、破傷風に感染させたウサギも、ごく初期なら、スーパーウサギの血清を注射することで治療できることが分かったのです。これが免疫血清を用いた治療法――血清療法です。
血清療法は破傷風やガス壊疽、抗毒素,ジフテリアやボツリヌス症、ハブやマムシなどの毒蛇による咬症に応用されました。なにせ、抗生物質が開発される50年前のことですから、この血清療法は多くの人命を救ったわけですよ。また、抗体の発見は血液型の発見にも繋がり、血液型を管理することで輸血時の副作用を劇的に減らすことにも貢献しました。ベーリングは第1回ノーベル生理学賞を受賞しましたが、ドイツ政府がベーリングに対して行ったのと同じようなバックアップを日本政府が北里に対して行っていたら、受賞していたに違いないと言われていますね。
血清産生に使われたのはウサギではなくウマでした。当然、ウマのグロブリンはヒトにとって異物なので、無視できない副作用がありました。最悪、アナフィラキシーショックで死んでしまいます。複数回の投与はリスクが高いといわれるのはこれが理由ですね。破傷風や蛇の毒を中和できても、アナフィラキシーで死んだら元も子もありません。故に、血清療法の歴史は、如何に抗体の効力を活かしつつ副作用を減らすかの歴史でもありました。まずペプシンを用いた抗体の定常部位の切除が行われましたが、その後の抗体エンジニアリング――癌細胞との融合によるモノクローナル抗体の作成、遺伝子組み換えによるヒト化、抗体ライブラリーの作成、抗体医薬によるがん免疫療法――といったありとあらゆる手法は、結局のところ、この歴史の産物でもあります。生物が作り出す抗体をどのように利用するか――抗体による異物のクリアランス能力を副作用を抑えつつ利用するか――という意味で、昔ながらの血清療法の延長線上にあるといって良いでしょう。
それだけの力が抗体には、血清にはあったわけですな。
だからこそ、血清を治療ではなく、新たな能力を付与する目的で健常人に注射する、という発想が生まれたのも理解できます。20世紀前半に<超人血清>を用いたスーパーソルジャー計画がドイツ・アメリカ・ソ連……といった当時の先進国で行われたのも、血清の持つ摩訶不思議な力を利用したいという意思の表れです。
冷戦下に様々な実験が行われたそうですが、結局、<超人血清>に含まれるどのような物質が、どのような効力で人間の「超人化」を進めるかについては、未だ解明されていません。アルブミンは健常人のそれと同じです。免疫グロブリンを取り除くと超人化能力が失われますが、免疫グロブリンだけでは超人化を付与できなかったそうです。
また、<超人血清>の製法も、少なくともアースキン博士の作成したそれは、博士の死と共に失われてしまいました。アイスランドの奥地で発見された<巨人>の死体から採取した血液から遠心分離したとか、南極大陸のエルズワース山脈の洞窟で発見された古代生物の死骸の体液であるとか……アースキン博士がオカルティズムに傾倒していたナチスドイツからの亡命者であることから、無責任な噂が今でも残っています。
そんな噂が立ったのも<超人血清>の製法が、80年経った今でも不明だからです。また、製法を解明しよう とも思いませんでした、少なくともワタシは。
しかし、時代と状況が許すならば、日本で<超人血清>を作る機会が訪れるならば、ワタシならこうする、という考えがワタシにあったことは否定しませんよ……
日本の<超人血清>なら<超神血清>と呼ぶべきですかね。いや……神に代わる人類の支配者ではありませんが、ニーチェのいう神の死に結び付くから、やはり<超人血清>かな……」
●天皇ごっこ その2
<介護付き有料老人ホーム さくら苑>
――都内から電車を乗り継いで1時間半、北関東の某所、地元民が通う居酒屋と24時間営業しないコンビニしかない駅からタクシーで20分、周囲を田んぼと畑と里山に囲まれた土地だけは安そうな場所に、<会長>が数十年前から経営するその施設がありました。
「また桜かよ。日本人ってのは、よっぽど桜が好きなんだな」
毒づくエゴスを無視し、受付兼守衛所で担当の職員を呼び出します。<計画>の進捗を確認するために、コウイチとヒロシはこの施設を訪れたのでした。