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マクガイヤーチャンネル 第29号 【マクガイヤーゼミ第10回「今だからみたい戦争映画」補講 前編】
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マクガイヤーチャンネル 第29号 【マクガイヤーゼミ第10回「今だからみたい戦争映画」補講 前編】

2015-08-24 07:00

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    マクガイヤーチャンネル 第29号 2015/8/24
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    こんにちは、4回のニコ生放送が終わり、ほっとしているマクイガイヤーです。


    土曜日に行ったマクガイヤーゼミ第10回「今だからみたい戦争映画」は如何だったでしょうか。


    戦争映画があまり好きではないというしまさんにはご負担をおかけしてしまったかもしれませんが、お蔭様でいい放送になりました。いつも視聴してくれる皆様のおかげで月4回の放送をやりきることができました。重ねて御礼申し上げます。


    9月も特番を予定しております。

    まず9/3(木)20時より、マクガイヤーゼミ9月号特番として、ゲストにアニメ『北斗の拳』『ジョジョの奇妙な冒険』などの作画やキャラクターデザインで有名なアニメーター 羽山淳一さんをお迎えして、お話をお聞きする予定です。

    羽山さんがこれまで関わってきたお仕事や、先日発売された作品集『羽山淳一 ブラッシュワーク』などについてお話をお聞きする予定です。

    ちなみに9/3~9/15まで、中野ブロードウェイのピクシブギャラリーことpixiv Zingaroにて「羽山淳一 ブラッシュワーク原画展」が行われます。あわせてどうぞ!


    次に9/21(月)20時より、最近のマクガイヤーより9月号と題しまして、いつも通り最近面白かった映画や漫画やについてまったりひとり喋りでお送りします。

    『キングスマン』

    『アントマン』

    『ピクセル』

    『カリフォルニア・ダウン』

    『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』

    等々について話すことになると思います。

    アシスタントとして久しぶりにみゆきちが出演してくれる予定です。なんでも、この夏の思い出について話してくれるとか……ご期待ください!


    そして9/29(火)20時から9月のマクガイヤーゼミを行います。「Projectitohと伊藤計劃」と題しまして、SF作家 伊藤計劃についてお話する予定です。10月から伊藤計劃原作のアニメ映画『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』が三作連続公開されます。予習にどうぞ!




    さて、今回のブロマガでは、前回のニコ生放送の最後に駆け足でお話しました 「戦争映画を観るときの10のチェックポイント」について改めてご説明しようと思います。これまで戦争映画は星の数ほど発表されてきましたが、これで安心して観れますね!


    ①視点はどこか?

    すみません。一番大事なポイントなのですが、放送では触れずじまいでした。

    戦争映画の視点は、大きく二種類に分けられます。

    一つは将軍や大統領といった歴史的人物の目線で、外交の成功や失敗、戦略の変遷、戦争の全体像や大状況などを描くものです。こういった映画は、えてしてオールスターキャストによる大作映画となりがちです。

    もう一つは、はじめから終わりまで、戦争に参加している兵士の目線で語られる戦争映画です。その兵士が知りえない戦争の全体像や大状況は描かれず、観客も(教養として知っているか事前に勉強していない限り)分かりません。

    群像劇として描くことで両方の視点を両立させたり、後者にナレーションを足すことで大状況を説明したりと、この中間に位置する映画もあります。

    傾向でいうと、昔は大状況から語る戦争映画が多かったのですが、だんだんと個人の視点を徹底させる映画が多くなってきました。

    それは、「○○国民としてどうか?」とか「○○人としてどうか?」とかいった国家や民族の視点よりも、「キミはどうか?」「おれはどうか?」といった個人の視点として考えることが多くなってきた――すなわち社会が成熟してきたことと関係しているのでしょう。

    昔の作品なのに「個人の視点」を徹底させている戦争映画――『軍旗はためく下に』『肉弾』などは、傑作が多いです。逆に、最近の作品なのにわざわざ大状況を描いてる映画には注意が必要でしょう。



    ②「死」はどう描かれているか?

    戦争映画における「死」の描写は大きく3つに分けられます。「敵の死」「味方の死」「非戦闘員や中立者の死」の3つです。

    現実の戦争では敵・味方に限らず、必ず死者が出ます。味方の死を全く描かない戦争映画は要注意です。

    「正義の正当性」が重視される最近の戦争では、非戦闘員を巻き込まないことが徹底されます。それでも犠牲になる民間人は少なからず存在します。そういった描写をきちんととりいれているかどうかで、作り手の誠意や姿勢が計れます。

    また、敵の死に残酷さや暴力の悲惨さを全く感じない戦争映画は要注意――というか、それはもはや戦争映画ではありません。単なるアクション映画です。

    たとえば『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』では、明らかにマーケティングを意識したイウォークと呼ばれる可愛いぬいぐるみのような種族が登場しますが、彼らの戦死がきちんと描かれました。これは、架空とはいえ戦争を主題とする映画を作るにあたって、ルーカスが込めた誠意ではないかと思います。


    ③上官殺しは描かれているか?

    ②とちょっとカブります。

    戦争映画で描かれる戦争は近現代の戦争が多いです。そして、兵士一人一人が圧倒的暴力装置の部品として行動しなければ――すなわち上官の命令に服従しなければ、軍隊は機能しません。しかし、この時の兵士の心情や自意識は、いいか悪いかを理性で決める――自分で決める――近代的自我と対立します。どんなに上官に命令されようとも、どんなにそれが国や仲間のためになると説明されようとも、殺人や虐殺を犯したくない時があります。

    そういった葛藤が最も劇的な形で解消される描写――それが「上官殺し」です。上官殺しが(あるべき形、あるべきタイミングで)描かれている映画は名作といって良いでしょう。ネタバレになるので具体例はあげません(笑)。

     
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