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マクガイヤーチャンネル 第28号 2015/8/17
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マクガイヤーです、相変わらず暑いですね。
皆さん、二日連続ニコ生放送は如何だったでしょうか?
昨年に引き続いて嫁と子供のいない間に行ったニコ生中継ですが、まさかTシャツ話であんなに盛り上がるとは思いませんでした。
番組内で募集した我が家のTシャツプレゼントへの応募もガンガン届いています。
8/21金曜日が締め切りですので、名前・住所・番組の感想を書いて、どしどし御応募下さいね!
翌日、オタク大賞名誉審査員のナオトさんとアシスタントのゆみさんをお呼びして『アラフォーオタクの生態』をお送りしました。
飛び入りゲストのスパイダーハムことコェルさんも出演してくれまして、実にオタオタしい……面白い放送になりました。
コェルさんのブログ : http://blog.livedoor.jp/afugankoukuu/
男も女もオタクも、アラフォーは人生の曲がり角、色々と大変ですね!
そういうわけで、友人たちのおかげで無事に二日連続ニコ生をやりきることができましたが、いよいよ今週末8/22(土)20時から行うニコ生マクガイヤーゼミが今月最後の放送となります。
テーマは『今だからみたい戦争映画』になります。
……等々を観ておいて頂けると分かりやすいです。
ちなみに『軍旗はためく下に』はDVD未発売ですが、名画座で観るほかに、北米版DVDを米Amazonで買うのが観易いですよ!
さて、今回は『アラフォーオタクの生態』で少しお話した『混淆世界ボルドー』について改めて紹介したいです。
『混淆世界ボルドー』は、現在トランスフォーマーやアメコミ関連のライター、デザイナー、翻訳者として活動している市川裕文がその昔描いていた漫画です。いまちょっと調べてみたら、サイバーコミックスという雑誌に連載されていたのが1988~92年までですので、もう23年も経ったわけです。自分もおっさんになるわけですね。
どういう話かというと、日本に住む普通の高校生カズマが異世界に転移すると、そこは異世界だった……という異世界ファンタジーなのですが、ただの異世界じゃありません。剣と魔法に加えて意思を持った巨大ロボットが存在し、国家間の紛争は「戦争法」によってまるで試合の如く合法化された戦争によって解決され、しかもその巨大ロボットはヒーローとして人々の敬愛を受けている……という、SFやハイ・ファンタジーを読みなれている人にとってはニヤリとする世界が舞台です。
世界観だけではありません。『ボルドー』は、未熟な少年が異世界で恋をし、冒険をし、選択をし、成長していく……という、少年漫画の文法をきっちりと踏まえていました。
更に、市川裕文は大のアメコミマニアらしく、アメコミのパロディというか、オマージュが頻出するのも楽しみでした。ロボットや女の子だけでなく、オヤジやモンスターも格好良く、構図やコマ割りでのストーリーテリングも最高、時に「市川節」と呼ばれる、翻訳小説チックな台詞も魅力たっぷりでした。『Calvin and Hobbes』のHobbesのぬいぐるみが引用されたり、主人公が世話になる部族の族長がウルヴァリンそっくりだったりして、その族長が三連クローを使った時は興奮したものです。
つまり、「作りこまれた世界観」+「少年漫画的文法」+「思わず唸ってしまう画と台詞と小ネタ」と、その頃のオタクが興奮するもの全てが揃った作品だったわけです。90年代初頭の漫画としては先進的すぎる部分もありましたが、当時高校生だった自分はコロコロにもジャンプにもスピリッツにも無い魅力を感じ、ドハマリしたことを覚えています。サイバーコミックスという雑誌は尖った漫画が多かったのですが、雑誌として本作を一押ししていたのも今考えると納得です。
ところが本作、全5部構成がアナウンスされていたにも関わらず、第2部が終わったところで連載が中断してしまいました。中断はよくあることだったので、再開を今か今かと待っていたら、なんと外伝『ベラトリア編』が始まりました。これはこれでちょう面白かったのですが、そのうち雑誌自体が休刊してしまいました。
その後、別の外伝や第3部の冒頭が別雑誌で連載されたのですが、いずれも連載は中断し、第2部までを収めた単行本二冊を世に出したのみで20数年が経過した……というわけです。
ただ、『混淆世界ボルドー』が魅力のたっぷり詰まった漫画だったと感じていたのは自分だけではなかったようで、「魔法の疑似科学的説明」とか「魔法を使う巨大ロボット」とか「法律によって管理された限定戦争」とかいった要素は、様々な漫画・アニメ・ゲームにパクられ……影響を与えました。設定がほとんど同じだった『エルハザード』には、そこまでパク……引用するなら、アメコミネタも引用してやれよと思ったものです。
一方の市川裕文はというと、トランスフォーマーやミクロマンのデザイン、ライター業での仕事が目立ち始めました。確かに市川裕文にしかできない仕事でしたが、それより『ボルドー』の続きを描いてくれ……と思ったのは自分だけではなかったはずです。
ただ、今なら市川裕文――市川先生の心持ちも良く分かります。多分、市川先生は自分の納得できるクオリティを保持した作品じゃないと世に送り出したくない人なのでしょう。他の同じような漫画や小説と比較してみると、そのことが良く分かります。手を動かしさえすればできるライターやデザインの仕事をとりあえずこなしていたら、そればかりになってしまった……というのが実際なのではないでしょうか。
しかし2014年、驚くべきことがおこりました。なんと復刊ドットコムから単行本が復刊されたのです。
そして今年2015年、先週開催された夏コミにて、外伝の第1弾をまとめた同人誌が頒布されました。
なるべく夏コミに行きたくない自分ですが、サイバーコミックスは立ち読みで済ませていたこともあり、これはなんとしてでも買わねばならん! ……ということで買ってきました。
読んでみると、やはり面白い! 今読むと、SF+魔法の世界観だけでなく、翻訳小説ようのような品格をたたえた台詞回しに魅力を感じてしまいます。
外伝の主人公であるラーナ・ペリダンがX-MENやマーベルのあの人やあの人にそっくりなコマが頻出することにもニヤニヤしてしまいます。
なによりも、第1部で○○と化した○○○○―が再登場することに、20数年経ってボルドーと再会したような懐かしさを感じてしまいました。思わず大事に本棚に並べていた単行本二冊を再読してしまいましたが、やっぱり名作ですね。