A-1「ロシア、クルスクでのウクライナ軍損失の新たな推定を発表、モスクワの最新集計によると、キエフはロシア領土深くまで侵入する試みで約7,000人を失った」(RT Russia issues new estimate of Ukrainian losses in Kursk)。
ロシア国防省が発表した最新の数字によると、ウクライナ軍のロシア・クルスク地域への侵攻は多大な犠牲を出し、キエフ軍は国境を越えた攻撃で6,600人の死傷者を出し、73台の戦車を失った。
ウクライナ軍は8月6日にクルスク地域に侵攻。進軍はロシア軍によってすぐに阻止されたが、この地域での戦闘は続いており、ウクライナ軍は今も戦闘を続けている。国境地帯の集落の数。
侵攻が始まってから3週間で、ウクライナは6,600人以上の兵士、戦車73台、歩兵戦闘車34台、装甲兵員輸送車62台、装甲戦闘車両432台、その他の自動車201台を失っ
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軍事戦略的なことは勉強不足なので是非教えていただきたいのですが、ウクライナに対してロシアの国土は28倍、人口は3.5倍(外務省ホームページ)。兵力は2022年開戦時点でロシアの兵力は4.6倍(CNN)。この物理的格差の中、ロシアの領土何に侵攻して「勝利」することは可能なことなのでしょうか?戦争の歴史的観点から観ても起きうることなのでしょうか?私には無謀としか考えられません。
今日のmoon of alabamaの報道ではウクライナ軍のドンバス前線守備隊は崩壊しているということですし、ウクライナ軍のクルスク侵攻もいずれは駆逐されるでしょう。この進攻の兵士には米人も多く含まれているみたいで士気が高いとjは言えないでしょう。
NATOはロシアが怖くて裏でポーランドあたりでロシア嫌いのならずものを訓練してウクライナに送り込んでいるようだが、そのような傭兵に強さを求めることは出来ません。
ウクライナによるロシア・クルスク州への進攻の意義をどのように見るかについては様々な見解がある。その中で、典型的なウクライナ応援団の評価は次のようなものだろう。元陸上自衛隊東部方面総監、渡部悦和氏の論評。
「ウクライナ軍のクルスク奇襲作戦は見事、ただし次の一手が極めて重要に」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/82822#goog_rewarded
この中で、同氏は以下のように主張している。
-------引用ここから-------
勢力的に劣勢に立つウクライナが今後やるべきことは多い。まず初期の奇襲作戦の成果を拡張するために防御への迅速な転移を行うべきだし、兵員の確保は最優先で自ら行わなければいけない。
長距離ドローン等によるロシアの重要インフラの攻撃も徹底的に行うべきだ。
そして、大量の弾薬と兵器を米国等の西側諸国から確実に入手することだ。ゼレンスキー大統領は「米国等は、約束した弾薬や兵器の供与を早く確実に行ってもらいたい」と口を酸っぱくして言っている。
また、ロシア国内で米国等が許与する長射程の兵器を自由に使わせるべきだ。バイデン政権などがウクライナに課しているこの制限は理不尽である。
以上みてきたように、乾坤一擲の作戦を行い、一定の成果を得たウクライナ軍を助け、早くこの戦争を終結させるために、米国等の西側諸国のやるべきことは多い。
-------引用ここまで-------
渡部氏は「乾坤一擲」と書いているが、悪く言うなら、ウクライナによるヤケクソ作戦だろうか?
また、同氏が「長距離ドローン等によるロシアの重要インフラの攻撃も徹底的に行うべきだ。」とか、「また、ロシア国内で米国等が許与する長射程の兵器を自由に使わせるべきだ。」とか、日本のような第三国の評論家が、あからさまに戦争のエスカレーションを煽っている点には違和感しかない。
ただ、客観的に言えること、或いは大方の見方は、ウクライナがこれ以上、ロシア領内奥に進攻することはムリだろう、という点。兵員の枯渇や兵站維持のリスクが高すぎる。
だからこそ、渡部氏も、ウクライナ軍に「ロシア側の反撃を予想して、より防御可能な地域に陣地や障害を構築して、防御に転移することだ。」などと勧めている。
以上はウクライナ応援団側の評価。
次に、中立派、現実派(或いは「親露派」?)の評価。
以下はMoon of Alabama、8月28日の記事より。題して、「ドンバス戦線の崩壊」。勿論、ウクライナ軍のドンバス戦線の崩壊のこと。
https://www.moonofalabama.org/2024/08/ukraine-sitrep-collaps-at-the-donbas-front.html#more
著者は次のように書いた。「ウクライナ指導部は、ドンバスの最前線から撤退した精鋭部隊と予備部隊を、ロシア国内のクルスク原子力発電所方面への攻撃に派遣した。ロシア国内に15キロほど入ったところで部隊は足止めされた。彼らは現在守勢に立たされており、徐々に排除されていくだろう。何が起こるか分かっていたであろうロシアに対するこのような作戦は、より大きなものに発展する機会を決して得られなかった。」
ウクライナ軍の「守勢」と、早晩「排除」される運命を予測している。蓋し、現実論。
ウクライナは和平交渉を有利に運ぶため、クルスク州に踏みきったのかもしれないが、効果は見込めないのではないか?次の論評がその点を辛辣に評価している。
https://mises.org/mises-wire/incursion-russia-will-not-solve-ukraines-biggest-problem
-------引用ここから-------
ウクライナはせいぜい和平交渉に移行するつもりだが、まずはロシアから譲歩を引き出すために使える領土を確保したいのだ。
そうすれば、少なくともウクライナ側が交渉に応じる姿勢を示していることになるが、うまくいく可能性は低いようにも思える。この領土奪取で譲歩を引き出すには、ロシア側が、失った領土を取り戻す最善の方法は武力ではなく交渉であると確信する必要がある。そして現時点では、ロシア側がそれを確信していないのは明らかだ。
現在、ロシア軍はクルスクで失った土地を奪還するために予備軍を動員し、侵攻を支援するウクライナの補給線に壊滅的な攻撃を仕掛けている。また、ロシア軍はウクライナ軍がクルスクに軍を転用したことを利用し、主戦線への攻撃を激化させている。ロシア軍はウクライナ軍の動きに不意を突かれたが、急速に勢いを取り戻しつつある。
したがって、クルスク侵攻の目的が将来の和平交渉におけるウクライナの立場を強化することだったとしたら、ウクライナは再び、待つことで立場が悪化するだけという状況に陥るかもしれない。米国当局は2年前のひどい決定を撤回し、ウクライナがロシアとの和平交渉を最終的に推進するよう促すべきだ。
-------引用ここまで-------
どのような立場にせよ、ウクライナ軍劣勢は一致している。それでも、ウクライナガンバレー、マケルナー!というか、もう戦争の悲劇はやめるべきだ、というか?ヒトとして、問われているのはその点だと考えている。
田中宇さんは8月14日に「ウクライナ戦争で米・非米分裂を長引かせる」
27日に「ウクライナ戦争の永続」と記事を書いておられます。
https://tanakanews.com/