日本は自己の防衛で、米国の「核の傘」があるという幻影に取りつかれている。

 そんなものはない。

 アメリカが日本にどういっているかの問題ではない。

 米国の戦略家が米国国内で如何なる発言をしているか、そもそも現代の核戦略がどうなっているかを学べば米国が日本に与えているという「核の傘」はない。

キッシンジャーは、代表的著書『核兵器と外交政策』の中で、核の傘はないと主張した。

 ・ 全面戦争という破局に直面したとき、ヨーロッパといえども、全面戦争に

値すると(米国の中で)誰が確信しうるか、米国大統領は西ヨーロッパと米国の都市五〇と引き替えにするだろうか

 ・ 西半球以外の地域は争う価値がないように見えてくる危険がある

 キッシンジャーは日本に対する「核の傘」はあり得ないと指摘している。筆者がキッシンジャーを好きだから引用したでない。核戦略の分野で『核兵器と外交政策』は最も権威のある本である