今年の麻雀最強戦ファイナルの1枠を争う近代麻雀プレミアトーナメント。3月から毎月1回ずつの予選を経て、小林剛(無法の哭き)、池沢麻奈美(修羅の道)、藤崎智(豪傑大激突)、鈴木優(極限の攻戦)の4名が決勝戦に駒を進めた。
これを見た解説の片山まさゆきさんは「コバゴー緊張してる?」とコメントしていたが、実際はどうだったのだろう?
これに対し安全に打ち進めていたた小林の手牌は、15巡目に次の形となる。
直前に池沢がをツモ切ったので、筋のでタンヤオを残す手もあるが、がション牌なので小林は丁寧にを合わせ打つ。ただ、を捨てやすくなったので、安全なテンパイへの光明も差す。が、次のツモはだった。
これだと通っていない暗刻スジのを切らないとテンパイしない。
が、小林はを勝負し、テンパイ料と連荘を掴み取ったのである。
小林「ノーテンで確実にマイナス1000点になるより、多少の無筋は押したほうが収支は得(マイナス1000よりはマシ)になるので勝負した。自著で連荘不要と書いたのは、次局に多大な期待をするよりは今局の損得をちゃんと考えようという話。今局に得する判断をした結果に連荘がつくという認識だ。ただ、今回のようなトップしか意味のない対局であれば通常よりも『親で高得点を稼ぐこと』の価値が大く、普段よりは親番を維持するという意識は強かったかもしれない」
この親番維持が小林にとって大きかった。続く1本場ではダブドラ1の2000オール、3本場では藤崎のリーチを受けながらタンヤオドラ2の2000オールでリードを広げる。
先行逃げ切りは小林が最も得意とする勝ちパターンだ。こうなるとちょっとやそっとじゃ崩れない。東1局4本場では「辛すぎるチーテン」も披露した。
東1局4本場
とチーして一通確定となる1500点のテンパイ。すぐに藤崎からを出アガった。が、元々1500点の連荘に固執しないタイプだけに、少し意外な印象を受けた。
小林「決定打にすべく、手役を強く意識しながら進めてきたが、12巡目ともなればもうすぐ相手から勝負手のリーチがかかってもおかしくない巡目である。自身はたった5種類受けで、しかも高くなる牌は限定されているイーシャンテン。着々と手を作ってきているであろう3人より先にテンパイしてリーチをかけ、一通でアガれるケースはそれほどなく、むしろ先制されてオリに向かうことが多いはず。ここはもうかわし手の意識で1枚目でも鳴く。ただしチーでは勝ち目は薄いので鳴かない。1500(積み場込みで2700)での連荘は確かに価値はない。あくまで相手の手を潰すために仕掛けなので、連荘はどうでもいいのだ」
もし連荘の権利を選択できるルールなら、親カブリを回避するために親を流していた、とすら語る小林。この後は、全くスキのない戦いぶりで失点を最小限にとどめて局を消化していく。
相手3人も小林に迫るべく攻め続けたが何せ決定打が出ないまま、オーラスまで局が進む。小林には自力で局を進める手はなかなか入らなかったものの、相手3人が放銃しあう展開だったのも幸いしたといえる。
小林「ソーズを2メンツと考え、新しいリャンメンターツや役牌の重なりは一つも逃したくないので、いずれ出る危険牌のドラを切った。2枚使っているので、この巡目ならポンされる心配もほとんどないでしょう」
この先切りが効いたか、をポンしてのテンパイを入れた小林は、終盤鈴木からを仕留め、近代麻雀プレミアトーナメントの優勝を果たした。一昨年はファイナル決勝卓まで進みながら藤田晋に敗れた小林。今年にかける意気込みをこう語った。
小林「この最強戦という場は独特の緊張感があってなんとも言えない。ファイナルは最大2回という超短期戦だが、なんとしても勝ちたい。一般的な考え方とまったく違う打ち方をすることもあるだろうが、視聴者の方に少しでも伝わってくれれば幸いです」