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19.アニメーションとマンガの境界線について(後編)
このアニマロイドを実現する上で、一番ネックになるのは、制作コストです。既存の技術でもアニメ動画(アニマロイド)の制作コストをある程度まで削減する方法はあるのですが、今後はさらに技術革新が進み、簡単により安く動画を作れる環境が
整ってくると思います。制作コストを削減する具体的な技術としては、以下の4つが重要なポイントとなります。(1)3Dキャラクターデータ(2)モーションキャプチャー(3)フェイシャルキャプチャー(4)各種(画像・音楽・効果音・モーション)ライブラリー(1)の3Dキャラクターデータについては、マンガロイドの普及した世界では、効率的に3Dキャラクターを制作するツールが生まれているので、それを活用することになります。3Dキャラクターデータは動かせば直ぐにアニメーションになる為、動画との親和性がとても高い状況です。(2)のモーションキャプチャーは、クーマリオンや、次世代のKinectを使用する事になると思います。これにより動きが簡単に付けれるようになります。
次世代のKinectがどこまで進化しているのか、
非常に気になります。(3)のフェイシャルキャプチャーについては、現時点でも下記のようなデバイスが存在するのですが、http://vimeo.com/86274138いずれ廉価なデバイスが登場すると思いますので、誰でも手軽に表情を付けられるようになると思います。(4)の各種ライブラリーについても徐々に各種ライブラリー群が豊富になってきておりますので、時間と共に充実し活用しやすくなると思います。
モーションライブラリーはまだあまりありませんが、
これらがあると非常に動画の制作が楽になります。
また音楽や効果音等は、3-4年前と比べた場合、無料で使用できる物が格段に増えています。
これらの問題が解決する事でかなり低コストで、しかも個人で「3Dデータ簡易アニメーション」=「アニマロイド」の制作が可能になりますので、突出した才能を持つ天才が作品を手掛けることで、かなり質の良い作品が
生まれてくるのではないかと思います。アニマロイドと似た動きとして、モーションコミックという、マンガを簡易アニメーションにする文化(技術)があります。https://www.youtube.com/watch?v=NePQkaIWCpE今週末に「モーションコミックの可能性と現在について語る」というイベントも東京・本屋B&Bにて開催されるようなのですが、漫画の今後の進化の方向性を考える上で注目しております。http://animeanime.jp/article/2014/11/06/20758.html実は現在、僕もモーションコミックとまでは行かないのですが、「漫画コマ+声+音楽」という内容の短い動画を作っておりまして、来週位に公開予定です。 ※動画の後半に「静止画+声」のマンガを載せております。この動画が、漫画「エクゾジャケット」を知って頂くキッカケにどこまで結びつくか分かりませんが、動画でマンガを見る(知る)・・という動きは、今後も進化を続けて行くと思います。 -
18.岩崎夏海クリエイター塾
今年の7月から、岩崎夏海クリエイター塾の講義を受けています。なぜ、この塾に参加しようと思ったのかというと、今、僕が一番必要としているのが、作品を作る上で必須となるより高次元のクリエイティビティだからです。学生の頃より、さまざまなジャンルの書籍をかなり膨大に読んでいる事もあり、それなりの知識量があると自負しているので、どこまで自分の為になるのかは、参加するまでは分からなかったのですが、一言で言うと、予想以上の収穫がありました。いきなり280万部の書籍(もしドラ)を執筆できる能力というのが、どのようなの知性から生み出されるのが良く分かります。出版については何の実績もなかった当時の岩崎さんが、一番初めに出す事になった書籍「もしドラ」の執筆を始める前に、200万部売れる事を認識されていたという逸話があるのですが、「なるほど。この人なら、可能だろうな…」と思わされます。岩崎さんの凄い所は、あるテーマに対して、徹底的に自分の頭で考え抜いている点だと思います。どこかで読んだような、聞いたような話・・・というのが1つもなく、本当によく考え抜かれているなぁ・・・と。だから時には、口に出す事をはばかるような内容を話される事もあるのですが、物事の真理を突いており、思わず笑ってしまう程核心を突いた意見を、ズバっと言ってくれたりもします。頭に残っている言葉はいくつもあるのでありますが、「自分の能力が素晴らしい事は、重要ではない」「クリエイターはオーディエンスのシモベである」「文化のメインストリームにどこまで添えるか」「自分の好き嫌いを一旦置いておく」「究極のコンテンツは、鏡である」「愚者の聖性について」「嘘について」「アーリーアダプターの重要性」「2重構造を持ったコンテンツ」等々が、非常に考えさせられる内容でした。このような刺激的な講義を受けていて思うのですが、あとはこの知的な見識をどのように自分の中で消化し、アウトプットとして出せるかが非常に重要だと思っています。話を聞いているだけでは、もったいない・・・。小説、アート、番組制作、映画製作、絵画、マンガ、映像、楽曲制作等々何でも良いと思いますが、エンタメ業界やクリエイティブに関心のある人には、非常に興味深い内容です。実は、このクリエーター塾に参加するのには、ちょっとした心理的な抵抗があって、参加するのを躊躇した部分もあったのですが、やっぱり参加してよかったな、と。勢いは重要ですね・・・。岩崎夏海クリエイター塾は、途中からの参加はできないと思うので(たぶん)、講義を受けてみたい・・・と思われても、残念ながら今からは参加はできないと思いますが、岩崎さんが今度、「岩崎夏海のエンタメサロン 2014年秋」というイベントを11月8日にやるようなので、興味のある方は足を運んでみるのも良いかと思います。http://genjiyamaro.hatenablog.com/entry/2014/09/24/170042「エンタメ業界で食べていく方法」という内容のようです。という事で、次回のブロマガは、16.アニメーションとマンガの境界線について(後編)をアップ予定です。ではでは…。 -
17.アニメーションとマンガの境界線について(中編)
以前、600万人くらいに広がるケータイ上のコンテンツを作った事があるのですが、その時も「媒体特性に紐付いたコンテンツを制作する」という事を念頭において、コンテンツを作っていました。他にも重要なポイントはありますが、媒体特性を活用する(紐付かせる)という考えは、コンテンツを作る上で、常に念頭に置いておくべき考えだと思います。(3DCG)マンガは、今後スマホ上で、フルカラー化が進み、声優のアフレコが入り、簡易アニメーションがつくように進化していくと思います。それがスマホの媒体特性に紐付いており、それらを活用しないマンガと比べると、コンテンツとしての付加価値が高い為です。イメージとしては、フラッシュアニメと現在のTVアニメーションの中間くらいに位置する簡易アニメーションが、スマホ上で視聴されるようになるのではないかと考えています。※この3DCGによる簡易アニメーションは、
技術的な要因をいろいろと考慮すると、
フラッシュアニメより低コストで制作が可能になると考えています。これは紙媒体で読まれていたマンガが、スマホ上の電子媒体という環境に移行する際に必然的に起こる変化で、マンガ作品を進化論で形容すると、一番面白い作品が生き残るのではなく、一番環境(電子媒体)に適応した作品が、生き残る・・・という事で表現できるかもしれません。※結果として、一番環境に適した作品が、
一番面白いという事になるのですが・・・。この議論を進める上で、このスマホ上で視聴する3DCGによる簡易アニメーションの事を、新しい呼び方で呼べないかといろいろと考えたのですが、安易ではありますが、アニメ・マンガロイドを省略して、「アニマロイド -ANIMALOID-」と仮に呼ぶ事にしたいと思います。スマホの小さな画面で見るアニメーションに、映画のクオリティの絵は必要とされていません。テレビアニメのクオリティも必要とされません。大きな画面向けの映像をスマホで見ると、細かすぎて見づらく、逆に疲れてしまいます。つまりスマホの画面で見る前提の絵作りが求められる事になり、ここに「アニマロイド」=「3DCG簡易アニメーション」の必然性と経済的合理性が結びつく事になります。では、このアニマロイドを実現する上で、一番ネックになるのは、何でしょうか?
(後編へ続く)
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