あなたは、どんなことにストレスを感じやすいですか?


今回は、母親を亡くした悲しみの乗り越え方についての相談をもとに、耐え難いストレスさえも力に変える心理学を紹介させてもらいます。


「Q. 先月癌で母を亡くしました。お母様を亡くされた時にはどのようにして乗り越えましたか?」


僕も母を癌で亡くしたので気持ちはとてもわかります。

僕が母を亡くした時にお世話になった本を紹介しておきます。

後半の辺りで、死別のストレスから自分を守るための方法も紹介されています。

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スタンフォードのストレスを力に変える教科書 (だいわ文庫)

結局、亡くなった人のために僕たちができることは、その人たちが生きた証を残していくことだけです。

ですから、その人が人生を通じて自分に何を教えてくれたのか? ということを考えてみてください。


そして、自分が誘惑に負けそうになったりくじけそうになった時には、その人が生きることができなかった1日をいま自分は生きているということを思い出してください。


僕も、母親が生きることができなかった1日を僕はこれから生きていくと考えられるようになってから、大きく考え方が変わって、その頃からビジネスやお金の勉強もするようになりました。


もし、あの時自分がお金もしっかり稼いで人間関係も豊富にあったとしたら、母親にもっと良い医療を受けさせてあげることもできたかもしれませんし、他にできたこともあったかもしれません。

そんな後悔もあったので、それを胸に刻んで、これから大事なものを守るためにも頑張らなければならないと思うようになって生き方が変わりました。


自分の生き方を変えていくためにも学びを得るようにしてください。

それが共に生きることだと僕は思います。

落ち込んで立ち止まっていても戻ってくることはありません。


以上が、DaiGo師匠からのアドバイスでした。




ストレスを味方にする方法


ストレスは考え方次第で良い方向にも悪い方向にも変えられます。

実際に考え方を変えると、大きなストレスを感じた時にそれが成長につながったりします。

トラウマになるレベルのストレスでも、PTSDになるレベルのストレスでも、乗り越えることによって心が強くなりPTSG(心的外傷後成長)に繋がります。


ストレスホルモンは2種類あります。

ひとつはコルチゾールで、もうひとつは DHEA (デヒドロエピアンドロステロン)です。

コルチゾールは戦う時に分泌されるホルモンで、これがずっと分泌され続けると糖が無駄に分泌されたり、体を守ってくれる脂肪がどんどん減って、鬱や不安症、病気にもなりやすくなります


 DHEA は脳の成長を促したり免疫力を向上させてくれるストレスホルモンです。

つまり、ストレスを感じた時に目の前の脅威と戦うために免疫力を向上させてくれたり、そこから何かを学び取るための脳の成長を促す効果を持っています。


このストレスホルモンのバランスが大事です。

コルチゾールが多いとストレスは悪い方に働き、 DHEA が多い場合にはストレスは皆さんの力になってくれます。


基本的にはストレスが体に害があるものと考えるのではなく、ストレスが自分に成長をもたらしてくれると、つらい経験とか忘れたくなるような経験でも、そこに意味を見出すことによって自分のプラスになっていきます。


考え方でストレスの存在自体が変わる?!

ストレスが体に悪いと考えている人たちにとっては、ストレスは驚異になります。

研究では、ストレスがカラダに悪いと考えている人たちが強度のストレスを感じると、死亡リスクが43%上昇するということがわかっています。


ストレスを感じていないと考えたり、ストレスから目を背ければいいということではありません。

大事なのはストレスが自分にどんなメリットを与えてくれるのかということを考えることです。


ストレスが原因による死亡はとても多いです。

日本におけるストレスが原因の死亡者数については、厚生労働省が発表している統計があります。

ストレスが原因で発生した疾患による死亡者数は、ストレス自体が直接の原因であることを確認することが難しく、ストレスが関与している可能性のある病気も多岐にわたるため正確な数字は把握しづらいですが、2020年に発表された厚生労働省の「平成30年度健康・栄養調査」によると、自殺やうつ病、心筋梗塞などの疾患を含めた「過労死やストレスによる健康被害」による死亡者数は、男女合わせて約1,900人とされています。


ちなみに、アメリカではストレスが原因で年間2万人も亡くなっているというデータもあります。

これは皮膚ガンやエイズ、殺人により亡くなってしまう数よりも多いです。


ストレスと同じように年齢を重ねることに対する考え方によっても違いが出てきます。

例えば、年齢を重ねることに対してポジティブに考えている人は、それだけで寿命が7.6年も長くなるという研究もあります。


お酒やタバコをすることなく適度な運動をして健康的な生活をしている人であっても、それによって延びる寿命は平均寿命からプラス4年ほどです。

健康的な生活よりも加齢に対する考え方を変える方がメリットがあるということです。


認識が変わると結果も変わる!

さらには、人を信用する人の方が長生きする傾向があるというデータもあります。


これはデューク大学の15年間かけて行った研究ですが、55歳以上で「人を信用できる」と思っている人のなんと60%の人の15年後の生存率が60%で非常に高かったそうです。

「人を信用できない」と思っていた人たちは40%しか生存できなかったわけです。

人を信じて「別にだまされてもいいや!そこから学ぶこともある」と考えることが大事です。


コロンビア大学のビジネススクールのアリア・クラム博士の行ったホテルの清掃員の研究があります。

彼らの仕事は結構ハードで、消費カロリーとしては水中で行うエアロビクスや少し早歩きのウォーキングに匹敵するぐらいだとされています。


彼らの仕事がどれだけの消費カロリーに繋がり身体に良い運動になっているのかということを説明するだけで、それによって体重も体脂肪も減少し血圧まで下がっていたそうです。


つまり、健康に良い行動を同じようにする場合であっても、それが自分の体にとってどれだけ良い効果があるのかということを理解していないと結果は出ないということです。

普通に運動する時も同じです。

今自分がやっていることがどれくらいの意味や意義があるのか理解していないと効果が損なわれます


これは仕事や勉強でも同じです。

目の前の仕事に対して何の意味もないと思うよりは、その仕事はしんどいけれど自分の経験や将来のために役に立つと思っていればプラスの効果が働きます。

勉強する時も、その学びがどんなことに役に立つのかを考えて勉強したり本を読んだ時の方が効果は高くなります。


これはとりあえずポジティブに考えればいいということではありません。

ストレスというものは、自分を奮い立たせて集中力を上げたり、テストのスコアを高めたり、免疫力を高めてくれるなど様々な効果があります。

それと同時に体を蝕む効果もあります。

このどちらの効果が出るのかは自分のマインドセットによって変わるということです。


ストレスから逃げるとどこまでも追いかけてくる

ストレスは向き合わなければ力にはなりません。

ストレスは害だと考えそれを避けようとしたり、見て見ぬふりをしてしまう人がいます。

ストレスの原因に対処するのではなく、ドカ食いしたりお酒を飲んで気を紛らわそうとする人もいます。

ストレスから目を背けて逃げようとしている時点で、ストレスはマイナスにしか働きません。


ストレスにつながった事実はまずは受け止めるしかありません。

自分がストレスを感じているということを認識して初めて、そのストレスとストレスの原因に対処するのかということを考えることができます


そのストレスの原因を取り去る努力をするわけですが、その過程では当然困難な状況があると思います。

その困難な状況を乗り越えることを考えて、それを乗り越えることで自分が成長できると考えることができるかどうかです。


つまり、まずは自分がストレスを感じているということを認識して受け止めてください。

そこで落ち込むのではなく、どうすればそのストレスとストレスの原因に対処できるのかということを考えてください。


必要な人にアドバイスを求めたりサポートをお願いしたり、必要な知識を学んだりすることもできます。

その上で実際の自分の行動を変化させていき、そこにある困難は自分の人生を変化させていくための大きなチャンスだと捉えてください。

これによってストレスを力に変えていくためのマインドセットが出来上がっていきます。


ストレスは発散するものではなく、自分の集中力を高めたりレジリエンスを鍛えるものだと考えてください。

人は強いストレスにさらされた時に他人を助けたくなります。

これは人との結びつきを求めるからです。

ですから、ストレスによって人との結びつきを手に入れることもできますし、それによって自分の価値観を認識することもできます。


実際にとんでもないストレスを乗り越えて成功した人もいます。

そんな人たちのストーリーに学びながら、人も時代も、苦しい時がありながらも変化し成長していくものだと考えてください。

そんな人たちの本を読んで自分も乗り越えることができる、変わることができると思ったら、その時の自分の感じたことや感想を紙に書き出して言葉にしてみてください。


この自分の言葉で書き留めることが重要です。

ただ本を読むだけでは、その人は変わることはできても自分には無理と考えてしまうこともあります。

どのエピソードのどの部分で人が変われると思ったのか、その時どう自分は感じたのかということを言語化しておいてください。

自分の言葉にしてまとめるというのは自分の中に落とし込むという行為です。

自分の言葉に言い換えることによって、人がストレスを乗り越えた経験も自分の力に変えていくことができます。

読書で重要なのは自分の言葉に言い換えて書き留めることです。


全てのストレスを自分に置き換える

大学1年生を対象に行われた研究があります。

新しい職場に入る時も同じですが、新しいコミュニティにうまく馴染めない人も結構いると思います。

ですが、そのコミュニティで先輩たちに話を聞くと、「今思うと自分も同じような悩みを抱えていた」と考えている人がほとんどです。

研究では、先輩たちが自分たちの経験として同じような悩みを抱えていたけれど、その問題は時間と共に解決するというアドバイスをしました。


その上で、大学1年生たちは、先輩たちのアドバイスを自分ごとに置き換えて、考えた上でみんなの前でそれを発表しました。

パブリックコミットメントを発動させたわけですが、この介入を一度行うだけで、その後3年間の学業成績だけでなく、幸福度も健康状態も向上したということです。

しかも、大学を中退する確率も大きく下がり、年間3500ドルの奨学金を与えるのと同じレベルの効果があったそうです。


偉人たちが苦難を乗り越えた本を読む時も、先輩たちにもらったアドバイスも、必ず自分に置き換えて自分に当てはめて考えてください。

それを自分の言葉にして誰かに発表してください。


この大学1年生の研究では、この介入を行なったことを覚えていた人は8%ほどしかいませんでした。

忘れているのにマインドセットが変わっているから継続的に効果が出ているわけです。


ストレスに対するマインドセットを変えるエクササイズ

ストレスに対するマインドセットを変えるための新しい考え方を定着させるエクササイズを紹介しておきます。


ステップ1 :ストレスに対する考え方の確認

先ほどまで紹介してきた内容を参考にしながら、ストレスに対する考え方を自分なりにまとめて確認してください。


ステップ2 :経過をチェック

今まで自分が感じていたストレスは自分の力になる可能性があります。

1週間に一度程度で構いませんので、あらかじめ日にちを決めて自分のストレスを10点満点で採点してみてください。

自分にとってどうしようもないぐらいに限界のストレスが10点です。


例えば、会社の人間関係が面倒でかなりストレスを抱えていたとします。

先週はかなり限界を迎えていてストレスレベルが10点だと考えていたけれど、ストレスが力になる場合もあると考えて1週間過ごしてみたら、まだかなり面倒ではあるけれど10点というほどではないから8点となるかもしれません。

それを続けていくと7点6点と下がっていくこともあると思います。


新しい概念や考え方を自分に定着させるためには必ず数値化して経過を確認してください。

一定期間続けて経過を見ていくことによって、それが自分に定着しているということを実感できます。


ストレスを与えてくる人もいると思います。

それは言い換えてください。「ストレスを与えてくれる人」です。

自分がストレスを上手に使えるようになるための練習に利用できる人です。


もちろん面倒な人はスルーすればいいと思いますが、そのストレスを自分の中で上手に強みに変えることができれば、これから先何も恐れるものはなくなります。

自分の強みに変えて乗り越えていくための練習台だと考えればいいわけです。


強烈なストレスの原因になったトラウマのような過去もあるかもしれませんが、トラウマのような過去にも意味を見い出すことが大切です。

その経験がなかったら今がないと思える自分になることで、そのトラウマさえも乗り越えて自分の力に変えることができます。


今失敗したとしても必ず次につながります。

今までもそうだったからこれからもそうに違いないと考えることができて、失敗や間違いも怖くなくなります。


強いストレスを力に変える3ステップ

実際に人間関係で嫌なことがあった時や上司に嫌味を言われた時に、なかなかそれを力に変えるとは考えられないでしょうし、自分の成長どころではないという時もあると思います。

このような問題を簡単にしてくれるのがアリア・クラム博士が提唱している3ステップのテクニックです。


ステップ1 :ストレスを受け止める(自分の体にどのような変化が現れているのか)

ストレスから目を背けようとすればするほど、そのストレスは大きくなったり、余計にネガティブな影響が出てしまいます。

自分がストレスを感じているということをまずは受け止めることが大切になります。


この時に、ただ単にストレスを感じているということを受け止めるだけだと心が苦しくなってしまいますので、そのストレスにより、皆さんの体にどのような変化が起きているのかということを観察してください。


ステップ2 :大事なものに気づく(自分のどんな大事なものが脅かされているのか)

ストレスを感じるということは、皆さんにとって大事な何かが脅かされているということを皆さんの脳が教えようとしています。

皆さんがストレスを感じたということは、脳が皆さんに大事なものを守るように指示を出してくれているということです。

大事なものに気づかせてくれているというのがストレス反応の役割だということです。


ステップ3 :守るための行動(大事なものを守るための行動を探し実行する)

その大事な脅かされているものがわかったら、それを守るために自分は今どんな行動を取ることができるのか、これからどんなことができるのかということを考えてください。

守るための具体的な行動を探して行動してみるというのが最後のステップになります。


この3つのステップを行うことによって、ストレスを受けたことをきっかけにして、自分にとって大事なものを見つけて、それを守るための行動をする、つまり、自分の大事なものを認識し前に向かって成長するということができるわけです。


ちなみに、「ストレスが溜まった」という言葉を楽しそうに言うだけでも効果があります。

ふさぎ込んだり感情的になってストレスが溜まったと発言するとネガティブな気分になるだけですが、楽しそうに発言すると、人間の脳は勘違いして何か行動したくなります。

周りから見ると変な人に思われるかもしれませんが、日常的に行うと長期的にストレスを力に変えて行動力を高めていくことができます。


人間関係のストレスだけでなく、新しいコミュニティに馴染めない時の不安、 見知らぬ海外での不安など、人は色々な不安やストレスを感じると思います。

それもその自分の気持ちを楽しそうに口に出してみてください。

それが一歩踏み出す気分にさせてくれます。


ここから先は、さらに脳レベルで人を成長させていくことができるストレスの力について掘り下げていきます。

ストレスを力に変えて常に変化し成長していきたいという方は、続きもチェックしてみてください。