あなたは、どんなことであれば夢中になれますか?


DaiGo師匠の質疑応答でも集中力に関する相談は多いですが、今回は仕事でつい過労やストレスによって体を崩してしまいがちだという方の相談をもとに、マルチタスクの危険性と本当にやるべきことに向き合うための方法について解説させてもらいます。


「Q. 仕事や作業をやりすぎないようにする工夫を教えてください。仕事がのってくると過集中してしまい、過労やストレスでよく体調を崩してしまいます。」


生産性を意識してください。

これ以上続けても生産性は上がらないというボーダーラインがあるはずです。

そのボーダーラインを探してください。


僕の読書も同じで、1日中でも読書を続けていられますが、あえてどこかでやめるということをした方が集中力が上がったりします。

例えば、僕は本は必ず読み終えた状態で寝ないと決めています。

1日の最後に読む本は、最低でも終わりの2割ぐらいは読まずに残してから寝ます。


2割を残してから寝ると、翌日その2割がとても気になってすぐに本を手にとって読みたくなります。

そうすると生産性がかなり上がります。


仕事も頑張ってやりきってから寝た方が、その瞬間は満足できるかもしれませんが、それをしない方が全体を通して集中力が高くなり生産性が上がる場合もあります。


以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。




バカになりたくなければマルチタスクをやめなさい


今年ももう3月が終わり1年の1/4が終わりました。

あっという間に時間が過ぎたと感じているとしたら危険かもしれません。


人間は本当にやるべきことに集中しなくてはいけないのに、余計なことにあちこちと気を取られてしまいます。

やるべきことを後回しにして手軽なことにばかり時間を使ってしまいます。

ですから、気がつくと日常の作業にのようなことだけをしていて、将来のために大切なようなことができていないので、色々なことをしているにも関わらず、今年も今まで何をしていたのだろうと感じてしまいます。


さらに、細かい仕事を同時に色々とこなそうとして目移りしてマルチタスクになってしまっているということもあります。


マルチタスクをやめて、本当に大事なことに一定時間以上集中することができるようにならなくては、いつまでたっても時間を無駄にした感覚は無くなりません。


Brigid Schulteさんの『Overwhelmed』という本で紹介されている内容ですが、現代人の自由時間というものは過去40年間においてとても増えています。物理的には時間は余っているはずです。


社会学者のジョン・ロビンソンさんによると、マルチタスクが原因で僕たちの時間感覚というものは歪んでしまっていて、本来は時間があってのんびりできるのにそれができないような感覚になってしまったり、大事なことに時間を使うことができなくなっているということです。


マルチタスクにより、実際の作業効率も下がります。

同時並行で色々なことをやるよりも、タスクに対して優先順位をつけてひとつずつこなしていった方が、かえって作業も早く終わり仕事の質も上がるということが研究によりわかっています。


創造的なアイデアを生み出すような時は別ですが、ジョン・ロビンソンさんの研究でも、やるべきタスクをひとつひとつ集中しないで、あちこちに切り替えて行なっていると、切り替える回数が多くなればなるほど時間に対するプレッシャーが増えるということがわかっています。


人間には、忙しい人=有能な人というステレオタイプがあります。

仕事ができない人で忙しそうにしている人と暇そうにしている人を比べると、まだ忙しそうにしている人の方が有能には見えるものです。


ですが、本当に仕事ができて有能な人は、忙しいにもかかわらず自分の時間を確保していたり時間的に余裕を持っているように見せます。

しっかりやるべきことをやって、かつ、家族のバカンスもしっかり楽しんでいるような人の方が当然有能ですし、周囲からも有能に見えるはずです。


時間を有効に使い、そして、自分のための時間を作り出す唯一の方法は、ひとつひとつの作業に集中することだけです。


日本人のマルチタスクがヤバい

総務省が2018年に行った調査によると、スマートフォンを利用しながら他のことをしている人の割合が、10代では84.9%、20代でも78.8%とされています。

また、スマートフォンを利用しながら仕事や勉強をする人の割合は、10代が40.2%、20代が53.6%となっています。


他にも、日本生産性本部が2019年に行った調査によると、1日に複数の仕事を同時に行っている人の割合が、男性が31.1%、女性が42.3%に上ることがわかっています。


さらには、野村総合研究所が2017年に行った調査によると、スマートフォンを利用しながら他のことをしている人の割合が、日本では90.8%に上ることがわかっています。


ですが、たくさんの仕事を抱えて同時にこなしていると思い込んでいるだけで、実際には、全く仕事が進まない人がいます。

色々なことを同時に進めようとしたり、タスクを細かく切り替えながら仕事をしている人は、他の人に話しかけられたりスマホの通知が鳴ったり、外部からの刺激に弱くなります。


つまり、気が散りやすく、職場の環境や周囲の環境、仕事のストレスやプライベートの影響を受けやすくなります

その結果、色んなことに振り回されて仕事が手につかなくなる可能性が高いわけです。


食事をしている時にスマホを触ったり、大切な人と会話をしている時に目の前のスマホが気になったり、気づかないうちに現代人はどんどんマルチタスクになっています。


色々なことをやらなくてはならないからマルチタスクになるという人もいるかもしれませんが、これは全く意味がありません。

たくさんやらなくてはならないことがあるのであれば、尚更ひとつずつ確実に終わらせるしかありません。

それによってより多くのことをこなしていくことができます。


タスクをひとつずつ終わらせることができる能力は、周りからの影響を受けることなく、自分の望む人生を自分らしく生きる能力とも言えます。

ひとつのことに集中する能力を鍛えるからこそ、周りの影響を受けることなく自分らしく生きることができます。

自由に生きていきたいのであればシングルタスクを身につけるしかありません。


そんな自分らしく生きることを邪魔するのは2つあります。

「自分の思考」と「外部からの刺激」です。


ひとつのことに集中する力を鍛えて注意力をコントロールできるようになると、ネガティブな出来事があってもそちらに注意を向けるのではなく、自分にとって本当に大切なことに対して注意を向けることができます。


不安を抱えやすい人の方が集中力が高いという研究もあります。

不安を抱えやすい人がその高い集中力を発揮するためには、まずは不安を受け入れるしかありません。

不安を感じている自分から目を背けるのではなく、不安を感じている自分を受容することが必要です。

それを受け入れた上で、自分でやるべきことを明確にすると集中力を発揮することができます。

それによって不安を感じやすい人も集中力を発揮してやるべきことを確実にこなしていくことができます。


マルチタスクは時代に取り残される

マルチタスクは注意の分散化が起きて、要するに、集中できていない状態になります。

現代においては、ひとつのことに集中できる力が最も重要な資産です。


経済産業省が2015年に発表した「労働生産性の向上に関する調査報告書」において、日本の労働生産性の低さについて、マルチタスクによる作業効率の低下が一因であると指摘されています。

さらに、経済産業省が2020年に発表した「労働力動向調査報告」によると、日本の労働者のマルチタスク能力は高い一方で、労働時間あたりの生産性は低く、タスクの切り替えによる生産性低下が示唆されています。


ここで重要になるのが優先順位の決め方です。

やることが多くてマルチタスクになるしかないというのであれば、まずは自分が今日やるべきことは何なのかを決めるようにしてください。

その上で、割り込んでくる仕事を受けるか受けないかを決めるためのルールを作ります。


例えば、上司に急な仕事を振られたとしたら、何も考えずにすぐにそれに手をつけるのはやめてください。

今やるべきことがあるのであれば、「今集中して取り組みたい仕事があるから、あと3時間だけは集中させてもらえませんか?」という感じでお願いをします。

それが認められないような上司の下で働くのはそもそもやめた方がいいです。


マルチタスクをしている人は、意識的な努力をしていない人です。

本人は仕事をしている気にはなっていますが、ただの怠け者です。


さらに、マルチタスクになって気が散っている状態が続くと、人がどんどん変化に適応する柔軟性を失っていきます。

どうでもいい仕事にばかり手をつけて、実際には何の生産性も上がっていない人になってしまいます。

どんどん頭も固くなり新しい技術を受け入れることもできず、当然時代に取り残されます。


人はタスクの切り替えが多くなればなるほど、年齢に関わらず、記憶力も理解力も低下していくという研究があります。


これは大人も子供も同じです。

ゲームをする時はゲームだけに集中してください。

スマホやゲームを気にしながら勉強するのか一番意味がありません。

スマホを触る時も、スマホの中で色んなアプリが気になってマルチタスクになっては意味がありません。


常にシングルタスクを意識することによって、大人も子供も記憶力や理解力が低下することを防ぐことができます


そして、僕たちの脳を疲れさせるのは勉強や集中することではありません。

例えば、30分から50分程度散歩や読書など、ひとつのことだけに集中すると、むしろメンタルや注意力が回復するという研究があるぐらい集中するということはとても大事です。

ところが、僕たちは勉強でも仕事でも集中した時には疲れたと感じることが多いです。


人間の脳を疲れさせる原因は集中力を切り替えるタイミングです。

集中する対象を切り替えるタイミングが多ければ多いほど僕たちの脳は疲れてしまいます。

集中する対象が切り替わることで脳が疲弊していきます。


マルチタスクをやめて、1回の作業時間としては30分から50分間じっくりと向き合う訓練をした方が僕たちの創造性や集中力は上がっていきます。


本当にすべきことがわかるワーク

予定を立てる時には、ほとんどの人が今日は何ができるだろうかとか、どれぐらいのことをこなすことができるだろうかと考えて予定を立てます。

ですが、今日何をするかという予定については、できれば3ヶ月ぐらい前から考えておいた方がいいです。


優先順位をつけることが大事だということはよく言われますが、この時に優先順位をつけるだけではダメで、1日のやるべきことの優先順位をつけたら、やる必要のないことを削除するということをしてください。

冷静に考えたらやる必要がないとか、いざ当日になったらやる必要がないという予定を削除して予定を減らすことがとても大事です。


例えば、来月飲みに行かないかと誘われたとしたらあまり深く考えず OK するとしても、いきなり明日飲みに行こうと誘われたら気軽には OK しないと思います。

つまり、人間は未来の予定に対しては判断が甘くなります。


さすがに人との予定をその当日に断るというのはよくないとは思いますが、毎朝3分から5分でいいので、その日のスケジュールを眺める時間を確保してください。

そして、その優先順位を考えて、やらなくてもいいことを削除してください。


この時に優先順位をつけるだけでは、優先順位が高いタスクをすべて終わらせることができたとしても、それ以外に優先順位の低いタスクが残っていると、それらに振り回されることになってしまいます。

ですから、やらなくてもいいことを消すことがとても大切です。

やらなくてもいいことをどんなに上手くこなすことができたとしても意味はありません。


そして、やらなくてもいいことだと判断したにも関わらず、しばらくすると、また同じようなやらなくてもいいと判断した予定を入れてしまっていることもあります。

それを防ぐために、やる必要がないことをNot To Doリストに纏めておきます。


自分の予定を1週間ぐらいのスパンで振り返る時間を設けて、結果的にやる必要がないと判断して削除した予定や、やる必要がなかったと考えた予定をNot To Doリストに入れてください。

やろうかどうしようか迷った時には、そのリストをチェックして、同じようなタスクがそこに入っていた場合にはやらないという判断をすることができます。


さらに、1週間ぐらいのスパンで予定を振り返ってみると、似ているタスクを何度もしている場合もあります。

それが見えてきたら纏めてどこかの時間でそれを行うと決めた方がいいです。


人はタスクを切り替える時に集中力が失われてしまいますので、纏めることができる仕事はひとつにして同じ時間に終わらせることを考えてみてください。

これも仕事がデキる人は自然としている行動ですし、シングルタスクで取り組んで仕事を効率的に終わらせるために大切なポイントです。


割り込みタスクへの対処方法

急に入ってくる仕事や急にそれをやらなくてはいけないと気づいた仕事に対してはどうすればいいのでしょうか。

このような時には「1-10-1 テクニック」が使えます。

これは3つのルールで判断するテクニックです。


1分で片付く仕事は、すぐに取り掛かりさっさと片付ける

10分で片付く仕事は、できるだけ早く片付ける

1時間かかる仕事は、明日以降の予定に入れる


1分で片付く仕事はすぐに取り掛かりその場ですぐ終わらせます。

10分で片付く仕事の場合はできるだけ早くということですが、例えば、お昼休みが終わったあたりの集中しづらい時間帯などに、あらかじめ30分から1時間ぐらい予備の時間を確保しておき、その時間に纏めて終わらせるようにします。

マルチタスクにせざるを得ないような仕事も纏めて、その時間帯で終わらせるようにします。


そして、1時間以上かかる仕事は明日以降の予定にその場で入れて、余計な迷う時間を省きます。

迷うことなく予定に入れておけば、頭の中でそれについて無駄に思考を奪われることもなくなります。


10分で片付くような仕事を纏めてこなす時間帯をどのように作ればいいのかということを考える人もいるかもしれませんが、1日に2回の30分以上の余白の時間を常に作るようにしてください。

この時間で10分で片付くような割り込み仕事をこなしたり、予想外に時間がかかった時の調整に使います。


優先順位をつけることはできるけれど、やらなくてもいいという判断がなかなかできないという人も少なくないと思います。

そのような人にしていただきたいのは、「最重要なものはやるけれど後回しにできるものは後回しにしてしまう」という考え方です。

最重要なものを区別すると、実際にはそれはそんなに多いものではないというバイタル・フューの法則があり、そう考えると後回しにしやすくなり、そうなれば必然的にしなくなるというものです。


色々な事を同時にした方が効率がいいし、効率が何よりも重要だということを言う人がいますが、どちらかというと、効率が悪いことは罪ではなく、今この場に集中できていないことに罪を感じるべきです。

自分のリソース自体が効率が悪くなっていることに罪を感じるべきです。

何に集中するべきなのかがわかっていない状態がよくありません。


集中している状態とはどういう状態なのかがわからないという人もいます。

このような人におすすめなのが、1日1時間から2時間でいいのでオフラインの時間を作ることです。

Unplugged Day/Hourとして、例えば、毎週土曜日とか、1日のうち決めた時間にオフラインの時間を設けるようにしてみてください。


いつでも連絡できると思うから、工夫することがなくなったり今日しなくなるということもあります。

結局、いつでも集中できると思うと集中しなくなってしまいます。

人間は今しか集中できないと考えないと集中できないものです。


そして、一度にひとつの事しかしないという原則を守ってもらうために、1日の自分の行動を振り返ってみてください。

その日1日自分がした行動をチェックして、例えば、シングルタスク度を5点満点で採点してみてください。

それぞれのタスクに対して、どれくらいシングルタスクで集中することができたのかということを記録してもらうと、客観的にそれを見ることができるようになります。


そして、スマホは家に帰ってきたら玄関に充電器を置いて、そこで固定電話化してください。そのようなことも工夫しながら、今一番大切なことに取り組むことができる環境も作ってください。


仕事中についついスマホを触ってしまうという人は、周りの人に自分がそれをした時には注意してくれるようにお願いしておくこともいいと思います。

周囲の監視の目も利用しながら例外も認めないというのもいい方法です。これはきっといい方法だから一緒にやらないかと誘うのもとてもいいと思います。


サミュエル・スミスもそのような言葉を残しています。

「山積みの仕事を手っ取り早く終わらせる一番いい方法は、一度にひとつずつ取り組むことだ」


それではなかなか仕事が追いつかないという人もいるかもしれませんが、政治家も発明もしたベンジャミン・フランクリン、科学も美術も圧倒的な才能を示したレオナルド・ダ・ヴィンチなど、多方面で活躍した偉人たちがいますが、彼らもシングルタスクです。

ひとつのことに一定期間徹底的に集中して成果を出してから次のことに挑戦しています。


ここから先は、報われる努力のために重要なことや無限に続く集中力の作り方、自由に生きるために絶対に必要なシングルタスクの使い方について解説していきます。

ぜひ続きもチェックしてみてください。