ドイツでは出産予定日の4週間前、つまり臨月に入ったあたりから妊婦向けの「Akupunktur (鍼治療)」の受診が可能です。これ、お産を軽くする・お産にかかる時間を短縮できる(可能性がある)と言われていて、こちらではとても一般的。出産設備のある病院では鍼も扱っていることが多く、マイ助産師が資格を持っていれば助産師から直接施術を受けることもあります。加入している保険にもよりますが、この費用も通常保険でカバーされます(全額または一部)。

ドイツで人生初の鍼体験

私もこの鍼治療、前回の妊娠時に受けました。東洋医学だし、日本人の私には合うはずだ! と信じて。まあ、「ちょっとでもラクになれるのなら」というか、藁にもすがる思いというか、願掛けというか......。日本でも鍼の経験はなかったので、好奇心もありました。36週を過ぎたあたりから1回目の施術を開始し、出産まで週1回のペースで続けました。

施術を受けたのはかかりつけ婦人科クリニック。私の場合はラッキーなことに、主治医が「Traditionelle Chinesische Medizin(東洋医学)」という看板も掲げていたため、健診のついでに受けることができました。毎回うつ針はわずか5本程度、約30分間の施術です。動くなと言われるので本読んだりゴソゴソしたりはできません。

受けた実感としては、「思ったより痛い!!」。うつ針すべてが痛いわけではなく、眠くなるような心地良さもあるのですが、ずーんとした、なんだか重いような、鈍い痛みを感じるポイントもありました。

必ず効果があるとは、もちろん言えない

気になる効果のほどですが、私の前回の出産はかなりの長丁場、決して「するり」と安産ではなかったので、絶対効果がある!とは正直言えません。また、科学的根拠があるわけではないので、結局は気持ちの持ちようかなぁと思います。たとえば、比較的安産で出産を終えられれば効果があったと言えるだろうし、そうでなくても、鍼を受けなければもっと難産になっていたかも、と鍼の効果を前向きに捉えることはできると思うので。

母乳の出をよくする施術も

ところで、私の知人のひとりは予定帝王切開で出産をしたのですが、彼女も分娩予定日以前に鍼治療を数回にわたって受けたそう。ただし、「お産を軽くする」ほうの鍼ではなく、「母乳の出をよくする」鍼をメインの施術をお願いしたとか。おかげで術後すぐから問題なく母乳育児をスタートできたそうです。

鍼という東洋医学が、日本よりもここドイツでたくさんの妊婦さんたちに支持されている、というのはなんとも変な感じがしますが、もともとハーブやホメオパシーを使った治療が広く受け入れられているドイツ。自然なもの、体への負担がすくないもの、という観点でみれば鍼がポピュラーになったのもなんとなくわかる気がします。

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