最近なんだか頭が休まらない。考え事が次から次へと頭に浮かんできてせわしない。表面上はきちんと機能しているつもり。でも一方では、うっかりミスが増えたり、忘れ物が多くなったり、なんとなくバランスが崩れてきているのが分かります。

つい先日、まさにそんな状態の自分に気がつきました。 このままだといずれにイライラ・モヤモヤが始まってしまう......なんとかしなければ。そんなとき、思いついたのが「自分を外へ連れ出すこと」です。

心理学では、客観性を持って自分の置かれている状況を理解するために、しばしば自分自身を第三人称(彼・彼女)として捉える見方をします。思考のスパイラルにはまっている彼女(自分)を頭の外へ連れ出して、五感を使ったデートに出かけよう。さっそく時間を作り、まずは彼女の大好きな美術館へと出かけることにしました。

思考のスパイラルから抜け出してみる

わたしたち人間は考える生き物。考え、試行錯誤しながら進化し続ける知的生命体です。そして人間の持つさらに優れた能力は、インスピレーションを生み出す直観力です。素晴らしい発明や人生のブレークスルーは、直観力によってもたらされると言われています。かのアインシュタインも、「直観力は理性よりも神聖な資質である」と唱えています。でも、頭の中が考え事でいっぱいになっているとき、わたしたちは自分にとって何がベストなのかを見つけ出すことが困難になります。なぜなら、直観力は思考のスパイラルにはまっているときには鈍くなってしまうからです。

五感とつながると直感が冴えてくる

頭の中が考え事でいっぱいになっているとき、そのスパイラルを抜けるために、まず有効なのが「五感を働かせる活動をすること」

自分とのデートと題して、美術館へと連れ出された彼女。「こんな時間があったらあれもこれもできたのに!」最初はちょっとご機嫌斜め。でも一方で、少しワクワクもしているようです。アートと対話する、こんな静かな時間は久しぶり。誰かのペースに合わせたり、次にするべきことを心配する必要もありません。難解なモダンアートや、美しい色使いの絵画を鑑賞しながら、理屈では片付けられない部分が刺激されていきます。美術館独特の香りや、館内に響く人々の足音やささやき声も、彼女の五感を刺激しているようです。

すっかりアートを堪能して、休憩したくなりました。でも美術館のカフェは混んでいて、あまり気が向きません。「雑誌で見たコールドプレスジュース屋さんへ行ってみたいな」急にひらめいて携帯で調べてみると、偶然にも美術館から歩ける距離。「なんだか勘が冴えてきたかも」心が弾んでいるのが分かります。

そしてデートの効果は......

五感が活性化され、視界まで明るくなってきたように感じている彼女。ジュース屋さんへ向かって気持ちよく歩いている途中、偶然にも素敵なお店を発見しました。心がときめきます。緑がきれいな小さな公園も見つけたので、ジュースを買った後、そこで休憩することにしました。直感に導かれるままに、スムーズにデートが進んでいきます。

木陰のベンチに座り、おいしいジュースとともに過ごす穏やかな時間。たった数時間のデートで、彼女は見違えるようにイキイキとしてきました。「またしばらく頑張れそう!」そんな気持ちが内側から湧いてくるのを感じて、デートは大成功。モヤモヤしていた心も、霧が晴れたようにスッキリとしているのを感じることができました。

心に目を向けてあげることの大切さ

わたしたちにとって、思考を走らせるのはごく自然なこと。同時に3、4つのことを考えるのも普通です。思考は低燃費で走り続けることができますが、 心はどちらかというとハイメンテナンスマメな栄養補給を必要とするので、思考の速いペースについていけずにおいてけぼりになってしまうことも。

忙しい現代人は思考に身を任せて、体力の続く限り走り続けようとしてしまいがちですが、頭の中が考え事でいっぱいになっているときは、まさに心がついていけていないサインです。そんなときは立ち止まってチェックしてみる。すると新たに見えてくることもあります。

自分とのデートは、心に栄養を与えることの大切さにあらためて気づく、貴重な体験でした。次回は自然の中へハイキングに連れ出そうかなと思っています。

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