>>前回 満たしたのは、第一段階=「生理的欲求」でした。食欲、睡眠欲、性欲など、いわば生きる上で必要な根本的な欲求であり、「本能」とおきかえていいものです。今回は、第二段階=「安心・安全の欲求」を満たすヒントをご紹介しましょう。
素直に欲求に従ってみる万年ダイエット中の私は、普段揚げ物をあまり口にしないようにしているのですが(当人比)、これを書きはじめる直前に、どうしてもヒレカツが食べたくなってしまいました。夜の11時半なのにもかかわらず、この衝動をおさえるのはかなり難しそうです。
「太るからやめなよー!」と、私の中にいるもうひとりの私の反対の声は出てきましたが、私は素直に第一段階の欲求に従おうと決心し、近所のスーパーに走りました。深い黄金色をたたえたお月様と並走し、しんとした空気の中、白い息をはずませ、そして無事ヒレカツを入手。ほうじ茶と共に食し、至福を味わったのでした。
「安全に暮らしている」ということさて、少々大げさなように書きましたが、じつはここまでの私の単純な行動は、第二段階=「安心・安全の欲求」まで満たしていることになるのです。たとえば、病気や怪我の心配をせずに健康なままでいたい。お金の心配をしない生活がしたい。「安心・安全の欲求」とは、「安心・安全な暮らしを送りたい」という生活する上での非常にシンプルな欲求です。
真夜中に女性一人で出かけて、目当てのものを手に入れ、自分の足で無事家に戻る―。それが普通にできるのは、私たちの住む日本が、第二段階の欲求をかなり満たしている社会であるという証拠です。
心の声と向き合い、ときめいてみる自分がいかに安心・安全な暮らしを送れているかを思い出したら、その事実に対してさらなる魔法をかけてみましょう。自分の心が、もっとドキドキワクワクするような方向へ、ときめきを感じるレベルまで......!
スーパーに行けばヒレカツが手に入る
→近所にスーパーがあって便利だなあ
→しかも夜遅くまで営業してるし......
→前は23時閉店だったから、こういうとき、すごく助かるなあ
→深夜営業に踏み切ってくれて、スーパーのお偉いさん、働いてるスタッフさん、ありがとう!
→ヒレカツが本命だけど、こんな時間だから品切れかも。でもその代わりに、もっとおいしいローストビーフがあるかもしれない!
この間、傍から見たら私は、ただひたすらスーパーを目指して走っている状態です。ですが、自分の中の声と向き合って、ときめきを感じる魔法をかけていたら、顔も名前も知らないスーパーのお偉いさんにまで、感謝の念がわき上がり、ドキドキワクワクがあふれてきたのです。
つまり私たちは、ドキドキワクワクを「失くした」のではなく、単純に「忘れている」のです。じつはすでに持っている、満たされているのですから、その事実を「思い出す」だけでいいのです。どこかから引っぱってきたり、だれかにもらったり、わざわざそんなことをしなくても大丈夫! 素直に自分の中の乙女心を、「回復」させるのみなのです。
自分を満たす欲求から「他人への欲求」へすでに第二段階の欲求を満たしていることに気づいたはずです。この第二段階までは、自分自身を満たすための欲求であるとマズロー博士は説いています。自分自身を存分に満たしたら、次に出てくるのは他人に対する欲求です。すなわち、第三段階=「社会的欲求(帰属欲求)」は、どこかの集団に属したり、仲間がほしいと思う欲求で、恋愛もここに含まれます。
やっぱりドキドキワクワクは、恋愛で感じたい! おそらく私を含め、大半の女性がそう願っているでしょう。次回は、恋愛で「乙女心」を思い出す方法を考えてみたいと思います。
image via Shutterstock