すっかり市民権を得た感じのある糖質オフ。一度は試したことがある人は多いと思いますが、なかには挫折したという苦い経験を持つ人もいるかもしれません。そんな、糖質オフダイエットに向いている人とそうでない人について、考えてみました。
糖質オフダイエット成功の鍵は、糖新生がうまくできるか
ここで糖質オフ成功のキーとなる「糖新生」についておさらいをしてみましょう。体内で使われるエネルギー源には糖のほか、ケトン体という、脂肪が分解されてできるものがあります。ほとんどの細胞はどちらも使うことができますが、赤血球と肝臓の細胞だけは糖質しか使うことができません。
では、糖質オフの食生活により、体内の糖質が減ってしまったらどうするか。肝臓でタンパク質から糖質を作り出し、血糖値を一定にキープしています。これが糖新生といわれる機能です。糖質オフを実践する場合、この機能をスムーズに行うことができるかどうかがポイントになります。例えばうまく糖新生が行われないのは以下のパターン。
01.栄養が不足している
糖新生を行うには、肝臓が健康であるのは大前提として、栄養が足りていることも欠かせません。たとえばビタミンB群やタンパク質といったもの。これらが不足している人はあまり向いてないといえそうです。ビタミンB群やタンパク質は肉や魚に多く含まれているため、ベジタリアンの方は普段から不足していると考えられます。
02.血糖値の調節がうまくできない
さらに、血糖値のコントロール自体がうまくできないタイプも。副腎から出ているホルモン、コルチゾールは、ストレスの多い環境で分泌され、身体を守ってくれていますが、一方で下がった血糖値を上げる仕事もしています。ストレスの多い環境でコルチゾールをたくさん出していると、そのうち副腎が疲れ、コルチゾールがうまく出せないような状態に......。この状態で糖質オフを行ったとき、血糖値の調節がうまくいかなくなることも考えられます。ストレスの多いタイプは避けたほうがベターといえます。
03.カロリーを摂ることに抵抗がある
最後に、高カロリーに抵抗のあるタイプも。糖質を減らす代わりに脂やタンパク質をしっかりとるというのが糖質オフの基本的な考え方ですが、「ドレッシングはやっぱりノンオイル」「焼肉はカロリーが高いから食べない」といって制限をしてしまうと、エネルギー不足になってしまうことも考えられます。
糖質オフより、まずは栄養を満たすのが先決
だからこそ、糖質オフダイエットをはじめるなら栄養を満たすのが先決。個人的には、糖質を減らすことにはメリットも多いと感じています。というのも、菓子パンやおにぎり、ラーメンなど、糖質の多い食事が基本、という人が本当に多いと感じるからです。
糖質を減らすことは、タンパク質やB群をはじめとするビタミン、ミネラルをしっかりとることにつながります。身体を作る材料や、エネルギー作りをスムーズにする栄養をしっかり入れることで、糖質のエネルギーもうまく使うことができます。
タンパク質やビタミン、ミネラルをしっかりとることは、長い目で見れば身体の土台をしっかりさせることにつながり、ひいては病気の予防、アンチエイジングにもつながっていくでしょう。
注目すべきは糖質ではなくタンパク質
だからこそ、注目すべきは糖質ではなくタンパク質。「ごはんを食べてもOK。ただし、おかずをしっかり食べたあとに」という風にすれば、比較的スムーズに進めることができるはずです。糖質の多い食材のなかでも雑穀やイモ類などは食物繊維も豊富なため、上手にとればよい腸内環境もキープできます。
食べるときもまず肉や魚から。ある程度お腹いっぱいになったら、次は野菜や海藻の番。ここまでくるとかなり満たされているので、ごはんは一口食べれば満足できます。
実は私も糖質オフに一度は挫折したひとり。でも、視点を変えることで結果的に糖質オフ生活にスイッチできています。ときには菓子パンやおにぎりを食べる日もありますが、日ごろ積み上げた土台があるので、体重の乱高下に悩むことも激減しました。
ちなみに、糖質オフと炭水化物オフとは似て非なるもの、というのは覚えて欲しいところです。炭水化物は、糖質と食物繊維の両方を合わせた総称。炭水化物を減らしてしまうと食物繊維も一緒に減らすことにつながり、腸内環境が乱れてしまうことも考えられます。
糖質オフを取り入れてはいけない人は?
そして最後に糖質オフがNGの人についても挙げておきましょう。当たり前ですが、何かしらの不調で通院している人、とくに肝臓、腎臓にトラブルを抱えている人は×となります。肝臓はすでに説明したとおり糖新生にかかわってくるから。そして腎臓はタンパク質の代謝にかかわる臓器だから。そのほか糖尿病など何かしらの理由で通院している人も、必ずドクターに確認をとってからにしましょう。
目的は健康的にウエイトコントロールをすること。もし興味があるなら、身体の調子を見つつ、栄養を満たしつつ、できるところから少しずつ取り入れてはいかがでしょう。