性欲を高めるものや、逆に性欲を抑えるものが注目されがちな現代の文化的な風潮。まるで性欲が病気であるかのように扱われるのは、薬のメーカーがあおっているという研究者もいるくらいです。「承認前の薬」を宣伝することはできませんが、「病気そのもの」を宣伝に使うことができるのも、理由のひとつかもしれません。例えば、性欲の低下を指すために医療現場で使われる「性的欲求低下障害(HSDD)」という言葉自体が、薬業界の「発明」とも主張されています。これは、『ジャーナル・オブ・メディカル・エシックス』誌に報告された2016年のある研究論文の説明より。
性欲がなくなる6つの理由
ちょっと言い過ぎかもしれませんが、冒頭の通り、とかく性的な欲求の場合、何が「健康的」か医学的な定義はないのです。強い人もいるし、ライフスタイルや健康状態によって強まったり弱まったり。では性的な欲求にはどんなことが影響するのか? その6つをご紹介します。
薬を服用している
国際性機能学会(ISSM)によると、血圧の薬からアスリートが足につける薬まで実にさまざまな医薬品に、テストステロンの量を減らす効果が認められるとのこと。テストステロンが減ると、男女いずれにとっても性欲が減ってしまうのです。テストステロンの量を下げる薬ですから、性欲も抑制。オーストラリアのモナシュ大学の教授で女性の健康を専門とするスーザン・デイビスさんは、性欲を下げる可能性がある薬として、抗うつ薬などの精神安定剤も挙げています。
体重を気にしていない
「太っていると性欲が下がるとする研究もあります」(デイビスさん)。『ジャーナル・オブ・セクシャル・メディシン』誌に報告された2011年のある研究論文では、体重が重すぎると血液に含まれるテストステロンの量が少なくなり、性的な欲求が下がる可能性があるとのこと。体重を5%減らすと、性欲が確かに強まるとわかりました。 次の秘訣にしたがって、ウォーキングのときにもっとカロリーを消費すれば、ダイエットに弾みがつきます。
子どもがいる
ペンシルベニア大学の研究によると、子どもと一緒に暮らしている35歳から47歳(研究者が「生殖期後期」と呼ぶ期間)の女性は、性的な欲求の低下が判明。どうしてでしょう? この研究論文では、子育てのストレスのために性的な欲求が低下すると推定。男性でも(しかし、女性で特に)ストレスと性欲につながりがあると裏付けられています。
夜寝る前に運動している
睡眠不足になると、身体の中でテストステロンが作られる量が減りますから、やはり性欲にはマイナス効果。「極端な睡眠不足は気分の落ち込みやうつ症状にもつながり、その影響によって一層、性欲は低下してしまいます」とデイビスさん。運動するとよく眠れるのですが、ベッドに入る前の4時間の間に運動すると、目がさえて逆に眠れないことがあります。そんなときには対策を。例えば、夕食を早めに摂る、アルコールを控えるなどです。
ビタミンDが足りない
男性でも女性でも、うつ症状を抱えていると、性欲は低下してしまいます。うつ症状の原因はさまざまですが、なかでもビタミンD不足になると、うつ症状につながると証明済み(おそらくは気分を高めるホルモンを減らすのです)。ビタミンDのサプリメントを摂ると性欲が高まるという研究結果こそないのですが、オーストリアとドイツの研究によると、ビタミンDを多く摂る男性はテストステロン量が多いとわかりました 。繰り返しますと、テストステロン量が多いと性的な欲求は向上の効果が。
パートナーとうまくいっていない
ちょっとした理由とはいきませんが、強い性欲をもたらす「最も重要な」2つの要素は、うまくいっている関係、または新しい関係。パートナーに不満がある、またはパートナーとの関係に満足していないのであれば、相手を求める感情が燃えあがることもなかなか難しくなります。
Markham Heid/6 Little Things That Are Killing Your Libido