よくあるのですが、平日の睡眠と週末の睡眠に大きな差があると、精神面や身体面でマイナスになってきます。単に頭がぼんやりするだけにとどまりません。
気づかないうちに体内時計がくるっているかも
睡眠時間のずれは「ソーシャル・ジェットラグ」と呼ばれています。これは専門誌の『クロノバイオロジー』誌で2006年に発表された造語で、普段働いているときと、休日の睡眠パターンの間にできる時間差のことを指しています。
例えば、平日は睡眠時間が短いのに、週末は夜遅くまで起きていて、朝遅くまで寝ている生活を送っている人は要注意。気づかないうちに体内時計がくるっているかもしれません。
「睡眠時間だけではなく、規則正しい睡眠も大切」とも『サイエンティフィック・ジャーナル・スリープ』誌に関連の調査を発表したアリゾナ大学健康科学のシエラ・B・フォーブッシュさんは言います。通勤や通学は早い時間なのに、週末のイベントごとで就寝が遅くなってしまい、週末の就寝と起床が遅くなるような生活は好ましくないと説明します。
週末の睡眠スケジュールは大切
金曜は夜遅くまで起きていて、土曜の朝は遅くまで眠っているのは心惹かれるかもしれませんが、結果的に、疲労やいらいらした気分がいつまでも続くので、決してよいものではありません。心疾患のリスクまで増加するという結果も出ています(最新の睡眠研究では11%まで増加)。
ソーシャル・ジェットラグに関する研究によると、全然気が付いていない人でも、通常よりうつ状態、喫煙、カフェインの大量摂取、大量飲酒は増加。「健康問題を考えれば、規則正しい睡眠がよいということ。簡単でお金がかからずに、病気の予防や治療につながるのも重要です」とフォルブッシュさん。
さらに、集中力、注意力、記憶力などの脳の働きにも効くと、時間生物学睡眠研究の筆頭著者であるM・ウィットマンさん。あらゆる身体の働きに影響するのが睡眠と言っていいのかもしれません。「睡眠は進化の中で決められたのです。すべての細胞の新陳代謝にもつながるもの」とスリープ・パフォーマンス研究所の共同創業者で経営最高責任者(CEO)のマイケル・ハウエルさん。イレギュラーの影響はそれだけ大きいのです。
「朝型」と「夜型」の問題
時間生物学の研究によると、人によって理想的な睡眠と覚醒のサイクルには違いがあり、それは「クロノタイプ」と呼ばれています。大きく2通りに分かれ、朝起きるのが早い朝型と、夜寝るのが遅い夜型があります。
問題は、仕事や学校が決まったタイムスケジュールになっているのは、夜型には不利なこと。夜遅くに床について、遅くに目覚めるのがいいわけで、不自然で不健康な状態になるのです。週末になるたび、自分に合った生活サイクルに戻れるものの、ほかは大変という状況が続きます。
2時間までのズレにとどめる
2006年以後の研究によると、ソーシャル・ジェットラグは肥満や心血管疾患、さらに運動能力や学業成績の低下に関係し、すべては「時間に追われる」ことの結果となっていました。
クロノタイプがわかったら、そこに合わせること。もちろん、とくに夜型のときには、難しいことです。まずできることは、「寝る前に画面を消す」ということ。電子機器が発するブルーライトは眠りを妨げるので、代わりに本を読むんです。寝たい時間の2時間前にメラトニンを服用するほか、寝たい時間と寝なければならない時間のズレを2時間以内にする手も。サプリメントは服用前に医師に相談すると心強いです。
朝型でも夜型でも、睡眠時間を毎晩7時間とり、週末に長く眠りたいという衝動を我慢する。歯を磨いたり朝食を食べたりするのと同じくらいにしっかりと気をつけるとよいことがありそうです。
Cinnamon Janzer/Do You Have Social Jet Lag? How Your Weekend Sleep Routine Affects Your Health.