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卵は毎月300個ずつ減っている。女性ホルモンと排卵の関係とは?
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卵は毎月300個ずつ減っている。女性ホルモンと排卵の関係とは?

2018-04-17 22:00
    自分の体をきちんと知ろう! をテーマの連載「カラダケア戦略術」。前回は「生理ってどうして出血するか知っていますか? 」についてお届けしました。今回は、「女性ホルモンが気になる人は知っておくべき“排卵”」について、女性医療ジャーナリストの増田美加がお伝えします。

    女性ホルモンはたくさん分泌されればいいってもんじゃないんです!

    image via shutterstock

    健康、美容とアンチエイジングのために、女性ホルモンのバランスや働きを気にする女性が増えてきました。“女性ホルモンアップ”という言葉も目に付くようになりましたが、でも、女性ホルモンはアップすればいいわけではないのです。

    女性ホルモンのエストロゲンが過剰になりすぎると、乳がんや子宮体がんなど、さまざまな病気の誘因になることもあります。女性ホルモンは、バランスが大事。エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)がバランスよく分泌されていることが、健康、美容、アンチエイジングにもつながるのです。

    そのために、まず女性の体の仕組みについてご紹介します。女性特有の体の器官である子宮、卵巣が女性ホルモンを知る上でも重要な役割を果たしているからです。

    女性の体の仕組み、子宮と卵巣はどこに?

    まず、子宮と卵巣のある位置を確認してみましょう。

    子宮は、おへその下あたり、膀胱と直腸の間にはさまれた位置にあって、鶏の卵くらいの大きさです。洋梨をさかさにしてぺタッとつぶしたような、薄っぺらい形をしています。

    子宮の左右両側にひとつずつ、ついているのが卵巣です。アーモンドみたいで親指の頭くらいの大きさです。ここには、卵子の元となる卵(原始卵胞)があって、胎児のときはおよそ700万個の卵があります。ところが、生まれたばかりの新生児の時点で200万個になり、初潮(初経)の12歳ころにはおよそ30万個に減ってしまいます。

    卵は毎月300個ずつ減っています!

    卵(原子卵胞)は、減る一方で増えることはありません。毎月、およそ300個ずつ減っているのです。毎月1個の卵子を排卵するために、3か月前から300個ほどの卵(原始卵胞)を用意して、選ばれた1個の卵子を排卵する仕組みです。

    毎月300個の卵(原始卵胞)がなくなっていくため、1年に数千個が減っていきます。卵(原子卵胞)は37歳ころを過ぎると急速に減少していき、その数が約1,000個以下になると閉経します。ちなみに、妊娠年齢のリミットにかかわるのは、卵(原始卵胞)の数だけではありません。年齢とともに、卵の質の低下も問題となって関係しています。

    排卵は毎月こんなふうに起こっています

    卵巣では、卵子のもとである、たくさんの卵(原子卵胞)が順番に成長しています。いよいよ成熟した卵胞になると、卵巣の内側の壁についていたイクラのような卵胞が1個だけパチッとはじけ、1個の卵子が卵巣からポーンと出ていきます。これが“排卵”です。

    この卵(原子卵胞)が育っている生理(月経)から排卵までの時期に多く分泌されるのが女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)です。そして、卵(原始卵胞)から卵子が飛び出したあとに残るのが黄体。これがもうひとつの女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌するのです。

    さて、排卵した卵子が漂っていると、イソギンチャクのような卵管采の管にキャッチされ、吸い込まれていきます。無事、受け止められた卵子は、卵管の中を進み、子宮へと向かいます。この卵管の途中で精子と出会えば、受精が起こり受精卵となり、妊娠へとつながるのです。

    でも、現代の日本女性の多くは一生のうちに産んだとしても、1人か2人ですから、卵子が精子と出会えるのは一生で1回か、多くて数回。それ以外の卵子は、子宮へと進み、おりものと一緒に気づかないうちに排出されてしまうのです。

    排卵の前と後、生理サイクルで体調が変わる

    ここで、排卵と女性ホルモンの仕組みをふまえて、1か月の生理(月経)サイクルを確認してみましょう。

    1か月のサイクルで、女性の体、心にはいろいろな変化が起きていますが、それは生理の周期と密接に関係しています。ひと月の生理周期をわかりやすく1週間ごとに“生理(月経)期”“卵胞期”“黄体期”“PMS期”と4つに分けてみます

    女性はこの4つのサイクルを毎月くり返しています。「ここ2~3日、肌の調子がいい」「最近、体調がよくて元気」「今日は体がだるくて眠い」「イライラして人にあたっちゃった」。

    誰もがこんな経験をしたことがあると思います。自分が今、生理周期のどこにいるかによって、体調も心の安定も肌の調子も違います。大事なこの4つの時期の特徴をまとめてみました。

    ひと月を女性ホルモンの特徴で4つに分けてみる

    “生理(月経)期”(生理開始1日目~7日目が目安)

    生理中は体も心も憂うつ。この時期は、女性ホルモンの分泌が少なく、基礎体温が下がって、“高温期”から“低温期”に変化します。

    生理痛やむくみなどのトラブルがありますが、生理中は子宮の大掃除のときで、体がリセットしていると考えて、リラックスして過ごします

    “卵胞期”(生理開始8日目~14日目が目安)

    生理後は、ひと月の中で最も体調もメンタルも安定して、肌トラブルも少ない時期。エストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌され、基礎体温は“低温期”になります。

    大事な行事はこの時期に予定するといいでしょう。 そして、生理開始日から数えて14日目くらい(人によって多少違います)に、基礎体温がガクッと下がり、排卵が起こります。

    “黄体期”(生理開始15日目~21日目が目安)

    排卵日が過ぎると、安定して過ごせるニュートラルな時期。自分と向き合い、内面を磨くのにピッタリです。エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が少なくなり、基礎体温が上がる“高温期”に入ります。

    “PMS期”(生理開始22日目~28日目が目安)

    生理前1週間の時期は、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増えて、基礎体温が高い“高温期”にあたります。

    プロゲステロンの分泌が最も多いこの時期は、体、心、肌が不安定になるPMS(月経前症候群)が起こりやすくなります。便秘、イライラ、吹き出物、肌荒れなどのトラブルが起こります。PMSの時期だからと、リラックスできる方法を見つけましょう。

    この4つの時期の目安をあげましたが、生理が26日周期のときや32日周期のときもあって、排卵日も生理開始13日目のことも、15日目のこともあります。人によっても、環境によっても変わります。基礎体温を測っていると、自分のリズムをチェックできます。排卵日もわかります。基礎体温は妊娠を望んでいるときだけでなく、ぜひ、自分の健康管理のためにも、基礎体温を測りましょう

    “排卵”を境にした、この4つの生理周期の特徴を目安にして、スケジュールを組み、対策を立てていくと、常に快適な毎日が過ごせますね。もちろん、健康と美容にもつながりますね!

    増田美加・女性医療ジャーナリスト

    2000名以上の医師を取材。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ http://office-mikamasuda.com/

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