そうしたことが起きた際に、ネットで検索して不安になってしまうのはいとも簡単。でもすぐにヒステリックになってしまうのは早すぎます。おかしな生理は、緊急事態を告げる危険信号ではないかも。つまり年をとったために、そういうことが起きている可能性もある、と言うのは、マウント・シナイ医科大学産婦人科助教授アリッサ・ドウェック医学博士です。
「医師の間では、女性の生理は数十年の間で変化していくという暗黙の了解があります。生理の周期は、あなたの健康や人生に何が起きているのかを示すサインとなることが多く、20代、30代、40代の間で多くの変化がみられるのです」
生理の周期は、年齢で変化していく
生理はホルモンによって決まるので(ホルモンが放出されて卵巣を刺激し、最終的に子宮内膜が剥がれるまでが一連の流れ)、ストレスや健康状態、あるいは年齢に伴って変化するライフスタイルといった、ホルモンバランスを狂わせるようなことが起きると、生理が中断または周期が変化する可能性があるのです。
そして「典型的な」生理といったものは存在しないとはいえ、ほとんどの女性の生理周期は21日〜36日、期間は2、3日〜1週間くらいまでとなっています。
生理周期があなたにとってのノーマルな状態から外れてしまった場合、こうした変化をたくさん経験しやすい年代だったり、あるいは婦人科で診断してもらったほうがよいケースなど、いくつかの大きな理由が考えられます。
20代の生理
01. 新しい避妊方法に変えた
ピルを服用していたけど、最近IUD(避妊リング)を使用することにしたなら、10代の頃とは生理周期が変わることがあります(実際にはどの年代でもあてはまるのですが)。
「どの避妊方法を用いるかにもよりますが、新しい方法を始めると、生理が軽くなる、または止まってしまう可能性があります」とドウェック博士。この場合、身体が慣れるまでに通常2、3カ月かかるので、ストレスを感じる必要はありません。しかし、3カ月以上経っても生理が不順なままなら、大丈夫かどうか確認するために婦人科で診てもらいましょう。
02. ストレスを受けた
人生のどの段階においてもストレスは変化の要因になりますが、20代には重要な(つまりストレスフルな)出来事がたくさん起こりがち。初めての就職、仕事を辞めた、真剣なお付き合いを始めた、付き合っていた相手と別れたなど、こうしたすべてが生理に影響します。
なぜならドウェック博士いわく、ストレスホルモンが脳から卵巣へのシグナルを混乱させるから。2、3カ月は生理が不規則になるかもしれません。でも長期間にわたって不規則なのでなければ、たいていの場合は心配に及びません。
03. 多嚢胞性卵巣症候群
いつも以上にストレスがあるわけでもなく、そして明らかに妊娠もしていないのに、生理が止まる、あるいは1週間以上も続くなど、不規則になり始めたなら、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性もあります。これはホルモン異常によって卵巣に小さな嚢胞のようなものがたくさんできてしまうもので、20代の女性に多くみられます(しかしどの年代でもなる可能性はあります)。
薄い色は栄養不足? 経血の色6パターンでわかる身体の変化
毎月の生理。実は色によって様々な体に関する情報を得られます。今回は経血の色が何を意味するのか、医師の診断が必要なのかを色別にご紹介。 https://www.mylohas.net/2018/06/170240menstruation.html?test2018aPCOSは深刻な状態なので(ひとつには潜在的に妊娠に影響することがあるから)、もしPCOSの可能性が考えられるなら、できるだけ早く婦人科で診てもらいましょう(その他の症状に、顔のうぶ毛が過剰に伸びる、にきびが増える、体重増加などがあります)。
とはいえ、生理が止まってしまう原因として考えられるのは、PCOSだけではありません。妊娠以外にも、体重の激減または激増、短期間での体重の大きな増減、あるいは甲状腺疾患(ドウェック博士いわく、この場合は生理がかなり重くなる場合もあるそう)などによって、生理が完全にストップすることも。それぞれに治療方法があるので、問題の原因が何かを探るためには、医師に正直に状況を説明することが重要となります。
30代の生理
04. 健康状態に何か隠れた問題がある
「生理は健康の指針ですが、30代になると良性の健康問題がみられる年齢になってきます」とドウェック博士。もっともよくあるものに、子宮筋腫、ポリープ、良性の子宮内膜増殖症などが挙げられます。
これらのほとんどは、あなたの健康にとって害はありませんが、生理が重くなる、あるいは生理痛になるなどの影響を及ぼすことがあります。こうした問題に対処し、毎月、自分自身の身体を楽にしてあげるためにも、一度医師の診断を受けておくとよいでしょう。
05. 出産した
びっくりするかもしれませんが、年齢にかかわらず、出産するとノーマルな生理周期に影響が出ます。出産後、新しいサイクルに慣れるまでは時間がかかります。特に、母乳で育てている場合はそう。だからこそ計画通り定期的に生理がこなくても、あまり心配しすぎないで、とドウェック博士。
ただし心に留めておきたいのは、分娩後の最初の生理がくる前であっても、妊娠する可能性はあるということ(また生理中でも妊娠の可能性があります)。したがって、二人目の子どもを持つ心の準備ができていないなら、避妊を忘れずに。
生理中のセックスでも妊娠するの? 知っておきたい体のこと
生理中は妊娠しない? それは正しくないかも。産婦人科医によると生理中でも妊娠の可能性があるそう。そのメカニズムについて理解しておきましょう。 https://www.mylohas.net/2018/07/172022pregnancy.html?test2018a40代の生理
06. ワークアウトをしすぎている
ドウェック博士によれば、定期的なエクササイズが毎日決まった習慣になっているのでなければ、40代になって急にジムに通いはじめるのは、生理が止まる原因になることもあるそう(実際には年代を問わず、エクササイズの日課を変えるのは生理に影響する可能性があります)。
新しいライフスタイルの変化に身体が慣れたら、生理が戻ってくるはず。もしそうならなければ、何か深刻な問題が起きていないことを確認するためにも、婦人科の診断を受けましょう。
07. 更年期に突入した
更年期という言葉を聞くと、それにはまだ若すぎる、と瞬間的に思ってしまうかもしれません。しかし「閉経周辺期の変化は、更年期の最大10年前から始まることがある」とドウェック博士。したがって30代から変化に気づき始める人もいるのです。「ときどき生理がこないことがある、あるいは生理期間が長引くなど、変動がみられることが予想されます」。
米国産科婦人科学会によると、若い頃は生理周期の間にエストロゲンとプロゲステロンのレベルが増えたり減ったりしていたのが、更年期にさしかかると、これらのホルモンが通常のパターンに従うのを止めてしまい、周期が変化するからです。痛みを伴う症状がみられなければ、心配にはおよびません。
医学的な観点からすると、1年間生理が止まっていると閉経となります。もしその後に出血がみられたなら、大きな懸念要因となりますので、すぐに婦人科の診断を受けましょう。
更年期が始まる年齢は、食事が関係している?
遺伝子(母親が更年期に入った年齢)やBMI、喫煙歴、化学療法を受けたかどうかなど、更年期が始まる年齢を予想できる要素はたくさんあります。でも、リーズ... https://www.mylohas.net/2018/07/170744menopause.html?test2018a08. ガンになった
40代になると、生理の変化は何か深刻な状況のしるしである可能性も。「考えられることに子宮がんがあります」とドウェック博士。「これは非常にまれだということは心に留めておいてください。しかし、この年代の生理に変化を起こす要因となる、前がん病変を発見することは可能です」
別の言葉で言うなら、生理が本当におかしいと気づいたら(ノーマルとはいえない状態になる、あるいはかなり重くなるなど)、医師に相談するときです。
ちゃんと知りたい生理のこと
生理中のセックスでも妊娠するの? 知っておきたい体のこと
生理中は妊娠しない? それは正しくないかも。産婦人科医によると生理中でも妊娠の可能性があるそう。そのメカニズムについて理解しておきましょう。 https://www.mylohas.net/2018/07/172022pregnancy.html?test201808病気のサインかも? 生理不順になる7つの原因
生理はいつも同じように来るとは限りません。生理不順が深刻な病気の兆候であることも。生理不順の7つの原因と、正常に戻すための方法を紹介します。 https://www.mylohas.net/2018/08/173369menstruation.html?test201808By Andrea Stanley and Beth Anne Macaluso/This Is What a Normal Period Cycle Is Actually Like
訳/Maya A. Kishida
image via shutterstock