それは、大麻草から摂れる「CBD(カンナビジオール)オイル」。大麻草? あのマリファナになる大麻草? そうです、大麻草。でも、 気分がハイになる(そして 日本の「大麻取締法」に触れる)大麻とは少し違うのです。
世界保健機構(WHO)が、多くの疾患への有効性を高く評価
image via Shutterstockアメリカで、てんかんの発作を週300回起こしていた少女に、大麻草から抽出したCBDオイルを投与したところ、週1回に減少したことで注目を集めたCBD。
「てんかんの発作を筆頭に、不眠症、痛み(頭痛、胃痛、歯痛など)、食欲不振、吐き気、皮膚炎、統合失調症、抜け毛、アルツハイマーなど、100近くの疾患に関して、世界保健機構(WHO)はCBDに関する有効性と安全性を高く評価しています。欧米では医薬品(エピディオレックス®)としてすでに認可され、ここ10年で市場が700%になるとの報告もあります」と話すのは、昭和大学薬学部教授の佐藤均先生。
また、アメリカでは、大麻草由来サプリを摂取する人はしない人と比べて、医療費が2〜3割少ないというデータもあるのだそう。それほど健康に寄与するCBDとは、何なのでしょうか?
大麻草の「種と茎」から摂れるカンナビジオール
image via Shutterstock日本の「大麻取締法」には、下記のように明記されています。
第一条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。
つまり、茎と種子から摂れるカンナビジオール(CBD)は、日本国内でも利用してOKということ。
そもそも、大麻草からはいろいろなものが作られます。茎からは麻紐や織物、種子は「麻の実」として七味唐辛子にも入っています。また、スーパーフードとして人気のヘンプシードナッツやヘンプオイル(ヘンプシードオイルとも言われる)も大麻草の種子から作られるもの。
一方、精神作用のあるテトラヒドロカンナビノール(THC)という成分は、葉と穂(花)に多く含まれており、この部位の使用は禁止されています。 THCは、麻薬取締法でも禁止されている成分です。
「CBDオイルは大麻草から作られますが、種と茎にはTHCがほとんど含まれていないため、いわゆるハイになるような作用はまったくありません。むしろ、ストレスなどで過剰になった神経を落ちつかせる作用があるのです」(佐藤先生)
体内の交通整理を担うCBD
image via Shutterstockハイになるのとは真逆、リラックス効果があるというCBD。どんなメカニズムなのでしょうか?
「人間の体内には、もともと身体調節機能があります。食欲や痛み、免疫調整、感情抑制、運動機能。発達と老化、神経保護、認知と記憶などが、滞りなく行われる機能です。ECS(エンド・カンナビノイド・システム)と言い、いわゆる体内の交通整理を行っています。しかし、加齢やストレス、生活習慣でECSのはたらきが弱ると『カンナビノイド欠乏症』となり、あちこちでエラーが起こります。これがいわゆる不調です。しかし、CBDを摂ることでECSのはたらきを取り戻すことができます。また、CBDは過剰になった神経を落ちつかせるので、リラックス効果があるのです」
CBDは、冒頭で紹介したさまざまな疾患を“直接治す”ものではありませんが、細胞間のネットワークをスムーズに(交通整理)し、体内の恒常性を一定に保つようはたらきかけるというわけです。
医療大麻ともヘンプオイルとも違うもの
image via Shutterstock医療目的で使用される大麻のことを「医療大麻」と呼びます。医療大麻にもCBDが含まれますが、THCも含まれているため日本では使用禁止。ヘンプオイルは麻の実油ですが、CBDが含まれていません。どれも大麻草由来のものですが、成分的には異なるものなのです。それでは、CBDはどのようにして、摂ればいいのでしょうか?
「今では、国内で30〜40社ほどがCBDオイルやCBDクリームを販売しているので、通販などで入手することができます。オイルは舌下に1ml程度垂らし、舌先で舌下粘膜に60秒ほどよくすり込み、飲み込みます。すぐに飲み込むと消化器からの吸収になり、成分が10%程度しか摂取できません。舌下吸収は血液に直接届くのでこちらがおすすめです。また寝る前に足の土踏まずに塗ると、ぐっすり眠れます」
子どもやペットに使用しても問題ないとのこと。イライラしているときにはリラックスをもたらし、痛みがあるときは和らげる効果が。不安なときには、心のノイズを抑えてくれました。
体内をぐるりと整えてくれるCBD。依存性もないので、お守り代わりに一本、常備しておきたいですね。
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昭和大学薬学部薬物動態学教室教授。医薬品開発に必須な薬物動態学研究を専門として、生理活性物質の体内動態と薬効動態(PKPD)を幅広く研究。近年では、生薬成分やサプリメント等のナチュラルメディシンを用いたセルフメディケーションの可能性に注目し、その薬学、医学的発展に尽力。2015年には、自然界に存在する最も強力なファイトケミカルであるカンナビノイド、特にカンナビジオール(CBD)に関する臨床研究を推進するため、日本臨床カンナビノイド学会を昭和大学内に設立し、副理事長に就任。