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女性ホルモンのはたらきは、30代後半から落ちてくるといわれます。更年期にみられる不定愁訴や不安感、肌や髪の乾燥は、いわゆるプレ更年期からあらわれることも。

こうした女性ならではの不調をアロマオイルを使って軽減する方法を、産婦人科医の対馬ルリ子先生のレクチャーからご紹介します。

ホルモンバランスの乱れ

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「今と昔では、ホルモンバランスの乱れによる症状の出方が変わってきている」と対馬先生。仕事の責任や子どもの進学、パートナーや友人との関係、親の介護、出産回数の減少など、30代~40代の女性を取り巻く状況は大きく変わり、早くから更年期症状に悩む人が増えていると話します。

今回の調査のために40歳以上で月経が不規則な女性を募集したところ、1000人以上の応募がありました。とくに40代前半で体調の悪化を訴える方が多い。まだ更年期ではないのに、更年期本番よりも調子が悪い女性が多いんです。(対馬先生)

対馬先生が「日本アロマ環境協会」と共同で行った調査とは、40歳~52歳の月経の開始が不規則な女性を対象に、ゼラニウム精油をまとうライフスタイルを一カ月にわたって続けてもらうというもの。

対象者19名のうち、片方のグループはゼラニウム精油を垂らしたシールを襟元につけて過ごします。もう片方のグループは、精油のかわりに水をつけたシールをつけて過ごし、一カ月後に更年期特有の不安感などの気分、肌や髪の実感、血中ホルモン濃度などの計測を行いました。

不安感が減り、活力アップ

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フウロソウ科の植物から抽出されるゼラニウム精油は、バラに似た華やかな香りをもつことからローズゼラニウムとも呼ばれます。心と体に起こるバランスの乱れを整え、女性特有の症状を和らげるはたらきがあるとされるアロマオイルです。

実験後に対象者を調査したところ、ゼラニウム精油をまとって過ごしたグループには、大きな変化があったと対馬先生。疲労や倦怠感、発汗障害、冷えといった更年期の自覚症状の数が大幅にダウンしただけでなく、不安感が減り、活力や友好的であたたかい気持ちがアップしたといいます。

いったいなぜ、ゼラニウム精油がこれほどの変化をもたらすのでしょう。実は、アロマオイルは、ホルモンや自律神経と関係する脳の視床下部に、ダイレクトにはたらく効果があるとのこと。自律神経の異常の根源となる部分にはたらきかけることで、こうしたうれしい変化がもたらされるようです。

肌と髪がうるおい、抜け毛も減少

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さらに肌や髪においては、対象者本人の実感として、肌の潤い、髪の潤い、抜け毛の少なさがアップしたといいます。女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、女性の心身の健康と美しさに大きな影響を与えます。

ゼラニウム精油の香りがエストロゲンにはたらきかけ、肌と髪のハリや潤いがアップしたと考えられるのです。

ゼラニウムを使ったアロマテラピーは、血中ホルモン濃度に直接影響することなく、これだけの効果がもたらされることが確認できました。日本では簡単に手に入るゼラニウム精油で、安全に更年期の症状緩和が期待できるのは素晴らしいことです。(対馬先生)

今後、女性の悩みに応える安全性の高いセルフケアの方法のひとつとして、アロマテラピー活用への期待がさらに高まりそうです。

対馬ルリ子

産婦人科医、医学博士。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座院長。東京大学医学部産婦人科学教室助手、都立墨東病院周産期センター婦人科医長などをへて、2002年クリニックを開設。翌年には女性の健康維持を助ける医療(女性外来)を進める会「NPO法人 女性医療ネットワーク」を設立。全国の女性医師や医療関係者と連携し、女性の健康のための情報提供や啓蒙活動を行っている。

日本アロマ環境協会

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