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今年のインフル予防策に!? 箸や楊枝に使われる「クロモジ」に注目
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今年のインフル予防策に!? 箸や楊枝に使われる「クロモジ」に注目

2018-12-26 05:30
    自分の体をきちんと知ろう! をテーマの連載「カラダ戦略術」。前回は「腟や外陰部の違和感」について、お届けしました。今回は、「今年注目されるインフルエンザ予防」について女性医療ジャーナリストの増田美加がお伝えします。

    “クロモジポリフェノール”でインフルエンザの発症率が下がりました!

    クロモジは、日本の山地に自生するクスノキ科の落葉低木のこと。

    このクロモジには、リラックス作用が期待されるリナロールを主成分とする香りがあり、昔から楊枝や香木、枝葉はお茶にするなどして日本人に親しまれてきました。

    クロモジの名前の由来は、成長すると枝に黒い斑点模様が出て、まるで枝に黒い文字が浮き出たように見えることから、そう呼ばれるようになったそうです。

    このクロモジに含まれる“クロモジポリフェノール”。これを配合した飴を摂取することで、インフルエンザ発症率が下がったという研究結果が伊賀瀬道也(いがせみちや)先生(愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センター センター長)より報告されました。

    インフルエンザウイルスをやっつける効果を研究で確認!

    クロモジエキスによる抗ウイルス作用が、今回、ヒトによる試験(*)で明らかになりました。

    クロモジポリフェノール(クロモジエキスに含まれるポリフェノールの一種)である“プロアントシアニジン”には、ウイルスの不活化作用と感染後の増殖を抑える作用があります。

    今回の研究のポイントは、飴での摂取と考えられています。

    「飴をなめる数分間、この成分が上気道の咽頭部に留まることができたからではないか」とこの研究を行った伊賀瀬先生は話します。

    クロモジ飴をなめたらインフルエンザ感染者が少なかった

    研究の内容は、愛媛大学医学部附属病院の看護師ら男女134名(全員インフルエンザワクチンを接種)を2グループに分けます。クロモジエキス67㎎配合した飴と、無配合のプラセボ飴をそれぞれ、1日3回12週間毎日、なめます(=摂取します)。

    その結果、クロモジエキス配合の飴を摂取したグループのほうが、インフルエンザ感染が有意に少なかったのです(*)。

    (*)『薬理と治療』(2018年46巻8号、2018年8月30日発刊)

    伊賀瀬先生は、「今回、実験に参加した看護師全員がインフルエンザワクチンを接種していました。しかし、数人にインフルエンザ感染者がみられました。ウイルスは、ワクチンでも完璧には予防できません。さまざまな方法を組み合わせて、予防していくことが大事だと思います」と話します。

    インフルエンザの予防策のひとつとして、今後のクロモジエキスの活用がさらに期待されます。

    うがいなどの上気道のケアが予防に役立つ!?

    インフルエンザは、おもに上気道(鼻腔や咽頭)の粘膜細胞の表面に付着して感染します。

    ウイルスは、粘膜細胞に侵入して、活性酸素を増やして細胞外にウイルスを放出。新たな感染細胞を増やすのです。免疫力が下がっていたり、ウイルスが強力だったりすると、人はインフルエンザにかかりやすくなります。ここで注目すべきは、ウイルスの吸着や増殖のほとんどが上気道で起きていることです。

    厚生労働省が推奨するインフルエンザ予防法には、手洗い、適度な湿度、栄養補給、ワクチン接種、マスクなどが挙げられていますが、うがいは外されています。

    しかし、一方で、水うがいをしないグループより、したグループのほうが風邪の発症率が減るという研究もあります。さらに、緑茶(茶カテキン)うがいは、水うがいより、インフルエンザ発症率が低いという研究も出てきています

    クロモジは飴、お茶、精油としても

    これらの研究から、やはりうがいなど上気道のケアは、風邪やインフルエンザ感染予防に役立つのでは……!と考えられつつあります。

    今回のクロモジ飴がインフルエンザ発症率を下げたのも、上気道のケアに役立ったからでは、とも考えられます。

    クロモジエキスは、クロモジ飴だけでなく、クロモジ茶などにも含まれています。商品としても売られていますので、今シーズンのインフルエンザ予防に役立ててみてください。

    お話を伺ったのは、伊賀瀬道也(いがせみちや)先生。愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センター センター長。愛媛大学大学院老年神経総合診療内科特任教授。愛媛大学医学部卒業。愛媛大学大学院(機能系専攻)・修了(医学博士)。老年病一般内科外来のほかに2006年より動脈硬化性疾患に特化した人間ドック「抗加齢ドック」の運営を担当。2011年4月からは「アンチエイジング相談外来」を、2018年4月からは「あたまの健康チェック外来」もスタート。

    増田美加・女性医療ジャーナリスト
    予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ http://office-mikamasuda.com/

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