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糖質制限の落とし穴って? 本当に体によい食品を見分けるには
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糖質制限の落とし穴って? 本当に体によい食品を見分けるには

2019-01-15 16:30
    巷にあふれる健康情報。流行に惑わされずに正しいものを取捨選択する基準は、どこにあるのでしょうか?

    カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部の助教授として、医療政策学・医療経済学を研究する津川友介先生の講演から、健康情報と上手につきあうコツをご紹介します。

    「〇〇が健康によい」という情報が多すぎるのは、なぜ?

    「健康的な食事に関する知識に自信がありますか?」という津川先生の質問から始まった、今回の大塚食品株式会社主催のセミナー。会場の回答は自信がある人、自信がない人がほぼ半々でした。

    「昨日は〇〇が健康によいと言われていたのに、2週間後には覆っている。なぜそんな状況が起きるのかというと、多くの人がどういうエビデンス(科学的根拠)なら信頼できるかを理解していないからです」(津川先生)

    信頼できる健康情報を“選ぶ”には?

    著書『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』にもあるとおり、津川先生はエビデンスに基づいた研究をおこなうことを何よりも重視しています。

    エビデンスにはピラミッド状の階層があり、強いものと弱いものがあると津川先生。もっとも弱いのは専門家や個人の経験に基づいた意見です。

    「ほかの生活習慣や運動習慣の違いが関係しているかもしれないのに、経験談ではそこが語られません。

    科学的なデータとして信頼できるのは、研究対象となる人を無作為(ランダム)に2つの集団に分けて比べるランダム化比較試験。最上位は複数のランダム化比較試験を統合した調査結果で、メタアナリシスと呼ばれます」(津川先生)

    つまり、メタアナリシスこそが最強のエビデンスであり、ピラミッドの頂点。津川先生はメタアナリシスの手法で導き出されたデータは、現時点で最も信頼できる情報であると考えられるといいます。

    本当に「炭水化物は健康に悪い」の?

    たとえば、よく耳にする次のような健康情報。これは正しいと言えるのでしょうか?

    炭水化物は健康に悪く、食べると太る ステーキは健康によく、食べても太らない

    「1の炭水化物については、よい炭水化物と悪い炭水化物があります。精製された“白い炭水化物”は健康に悪いのですが、精製されていない“茶色い炭水化物”は健康によいのです。

    糖質制限の研究はこの2つを区別していないことがあり、一緒に扱われているのは問題だと思います」(津川先生)

    2の肉類については、「赤い肉は健康によい」といった表現をされることもあると津川先生。“赤い肉”とは、牛や豚など4本足の動物の肉のこと。鶏肉などの“白い肉”と区別して、こう呼ばれます。

    しかし、確かに“赤い肉”は炭水化物と比べると血糖値は上がりにくいのですが、大腸がんのリスクを高めたり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなるという研究結果があるのだそう。

    “赤い肉”を食べるほど健康になるというエビデンスはないため、無理して食べる必要はないと話します。

    “赤い肉”を大豆に置き換えてヘルシーに

    しかし、健康なカラダを保つには良質なたんぱく源は欠かせません。津川先生が勧めるのは、“赤い肉”を大豆に置き換えること。

    イランで行われた実験では、“赤い肉”を大豆に置き換えるだけで、血糖値が30下がったというデータがあるといいます。

    さらに野菜・果物の食べ方と体重変化の関係を調べた調査では、「豆腐と大豆」を食べた人は明らかに体重が減少しやすくなる傾向があったとか。

    大豆などの豆類には、血圧・コレステロール・中性脂肪・血糖値を下げるというエビデンスもあり、「健康によい」食品であると考えられていると津川先生は話します。

    近年では、ミートオルタナティブと呼ばれる植物性の肉代替商品や、乳製品を使わないチーズなどの開発が進み、欧米ではかなり一般化してきています。

    チーズにシーフードまで登場。植物性由来食は新時代へ

    低脂肪豆乳を使った不二製油の「BEYOND TOFU」や、ハンバーグそっくりの味わいが楽しめる大塚食品の「ゼロミート」が登場するなど、まるでチーズや肉のようなコクがあり、満足感が高い商品が増えているのもうれしいところです。

    正しい知識は、病気を予防するための一番確実な方法

    毎日の食事は小さな選択の連続です。そして、その選択は確実に私たちを病気から遠ざけたり、近づけたりしています。

    正しい知識を身につけることは、病気を予防するための一番確実な方法なのです」(津川先生)

    人とは違う、自分自身のカラダの状態をきちんと把握し、エビデンスを検証する心構えを持つこと。それが、無数の健康情報とうまくつきあうコツといえそうです。

    植物性食品も進化中

    オーガニックサラダとデリが食べ放題。100%ヴィーガン料理店がオープン

    グルテンフリーで乳製品不使用。植物性100%の奇跡のピザ

    津川友介(つがわ・ゆうすけ)先生
    カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部助教授。東北大学医学部卒、ハーバード大学で修士号(MPH)・博士号(PhD)を取得。聖路加国際病院、世界銀行、ハーバード大学勤務を経て、2017年から現職。著書に『週刊ダイヤモンド』2017年「ベスト経済書」第1位に選ばれた『「原因と結果」の経済学』(中室牧子氏と共著、ダイヤモンド社)、発売10日で10万部突破の『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(東洋経済新報社)がある。

    image via shutterstock

    RSSブログ情報:https://www.mylohas.net/2019/01/180991evidence.html
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