欧米では「1日1個のリンゴで医者いらず」という言葉があります。では、オレンジなどは?

レモン、ライム、グレープフルーツ、ザボン、ミカン、キンカンなど柑橘系の果物も、ビタミンCや食物繊維、葉酸、カリウムといった抗酸化物質、ビタミン、栄養素の宝庫なのです。

「これらの栄養素は、がんや心臓病などの慢性的な病気から身体を守ってくれ、脳の健康も保ち、腎臓結石になりにくくする力があると研究で証明されています」と話すのは、アメリカ栄養士会の広報担当者で管理栄養士のヴァンダナ・シースさん。

ここでは脳の健康アップからシワの予防まで、いろいろな面で柑橘類が健康増進に役立つ理由をご紹介しましょう(すべて研究で裏付けられています)。

減量にいい、シワを防ぐなど、女性に嬉しい5つのメリットは、こちらの記事で。

1. 脳の健康状態向上に役立つ

「柑橘類は、抗酸化効果の高いフラボノイドを含みます。そのため、脳の健康を増進してくれ、パーキンソン病やアルツハイマー病のような神経変性疾患(神経が変質したり死滅したりする病気)のリスクを下げてくれます」とシースさんは説明します。

実際、栄養学の専門誌『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ニュートリション』誌で報告された2017年の研究では、調査した日本人高齢者1万3000人以上の結果からその効果が示されました。

毎日1食分の柑橘類を食べていた人は、1週間に2食分未満の人と比べて、認知症と診断される確率が23%低かったのです。

「神経変性疾患は一般的に、細胞が壊れるために起こります。フラボノイドにより、この細胞破壊を減らすことができるのです」とシースさんは解説します。

2. 腎臓結石のリスクを下げてくれる

尿の中に普通より高い濃度のミネラルが含まれていると、腎臓結石ができることがあります。

そうしてミネラルによる結晶ができると、強い痛みになります。尿中のクエン酸が少ないと、特定のタイプの腎臓結石(“尿路結石”と呼ばれます)につながります。

泌尿器学分野の専門誌『ウロロジー』誌で報告された2014年の大規模な研究(アメリカ全国の約40年間のデータを分析)によると、柑橘類をあまり食べない人に腎臓結石が多いとわかりました。

「柑橘類を食べると、尿に含まれるクエン酸が増えますから、このタイプの腎臓結石になるリスクが低下するのです」と、シースさん。

3. 心臓を守るために役立つ

農業と食物の生化学に関する専門誌『ジャーナル・オブ・アグリカルチュラル・アンド・フード・ケミストリー』で報告された2016年の研究によると、冠動脈バイパス手術を受けた高脂血症の57人を調べたところ、1日1個のグレープフルーツを1か月食べただけで、LDLコレステロール、中性脂肪、コレステロールのレベルが下がりました

「(柑橘類に含まれる)いくつかの化合物は、水溶性食物繊維やフラボノイドなど、心臓の健康を表す数値を改善します」(シースさん)。さらに、柑橘類に含まれる100種類以上のフィトケミカルは心臓に有害な炎症を減らし、豊富な食物繊維はLDLコレステロールを下げる効果がありますと、管理栄養士のアレクサンドラ・カスペロさん。

柑橘類は、葉酸も1日推奨摂取量のおよそ8%とたっぷり。「葉酸は自然に血中ホモシステイン(必須アミノ酸のメチオニンが代謝されてできるアミノ酸)値を下げます。血中ホモシステイン値が高いと、心臓病のリスクが高くなると研究で証明されています」と、カスペロさん。

ただ、覚えておきましょう、グレープフルーツは高血圧やコレステロールの薬、抗うつ薬など一部の薬の効果に影響します。

4. 消化器系のがんから守る

薬理学の専門誌『フロンティアーズ・イン・ファーマコロジー』誌で報告された2017年の研究で、柑橘類はがんに抵抗する効果を持つ可能性が高いことがわかりました。柑橘類を調べた22件の研究を分析し、こうした結果が導かれたのです。

柑橘類はほかの果物よりも、口や食道、胃腸を含む消化器系のがんから身を守る効果が高いようなのです。オレンジ類を含め、果物と野菜に含まれるビタミンC、カロテノイド、フラボノイドは、相乗効果を発揮しながら、がんを防いでくれると見られます」と、カスペロさんは解説します。

5. 免疫系のはたらきを助ける

オレンジはビタミンCが多いと知られています。ビタミンCは、活性酸素(フリーラジカル)によりDNAが傷つけられるのを防いでくれる抗酸化物質。

一般に信じられているような病気の予防効果はありませんが、風邪の症状を少し和らげ、若干早めに治るようにしてくれる可能性があることが、研究で証明されています。

「早めと言っても数時間の話です。インフルエンザのシーズンに撃退効果があるとは期待しないで。でも、意味はあります」と、カスペロさん。

ビタミンCは水溶性ですから、ほかのビタミンAやD、E、Kなどの脂溶性ビタミンほど長くは体内にとどまってくれません。そのため、「毎日少しずつ摂ることが大切です」(カスペロさん)

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