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これは「アルコール依存症」と診断された、女性の手記。

3年前。私は記憶を失うほど泥酔し、翌朝ひどい二日酔いで目を覚ましました。サイドテーブルには、ミニボトルが散乱。部屋を見回してやっと、自分がどこにいるか思い出せました。そこは、新しい仕事で会議に出席するために宿泊していたホテルの部屋。しかし自分が一体どうやってそこまでたどり着いたのか、全く思い出せなかったのです

その職を失ってから、すぐに自分に何が起こっているか認めざるを得ませんでした。30歳になった私は、それまでで一番高い給料の仕事に就いたばかりだったのですが、間もなく再びアルコール依存症になったのでした。

毎晩のように飲んでいたところ……

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5年前にさかのぼってみると、当時はすべてがうまく行っていたように思えます。順調にキャリアを積んでいた私は、多くの25歳のニューヨーカーがそうであるように、毎晩といっていいほど友人たちと「デート」して、別にそのことを深く考えてもいませんでした。

踊って、飲んで。ブランチして、飲んで。ネットワークづくりの集まりに参加して、飲んで。デートして、飲んで。自分でパーティを開いたり、友人を家に招いたり。つまり、私が行くところすべてでお酒が出されていたのです。

別に普通のことだと思っていた

このような生活を送っていたのは、私だけではありません。友人達が皆同じで、当時はそれが「普通」だと思っていたのです。社交的に楽しく暮らす都会の若者、とはそういうものでした。

なので、私もそういう暮らしを続けていました。タクシーに乗ったことや、どこに鍵を置いたか忘れるくらい酔っ払ったりするのも、別に大したことではないふりをしていました。結局のところ、友達も似たようなことをやっていたのです。

「グレーゾーンの飲酒者」って、なに?

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自分でも気付いていなかったのですが、私は長い間「グレーゾーンの飲酒者」の瀬戸際に立っていたのです。管理栄養士・ヘルスコーチ・TEDスピーカーで、自身もグレーゾーン飲酒者であったジョリーン・パークさんは、グレーゾーンの飲酒者は、アルコール中毒者とソーシャルドリンカーの中間と定義しています。

「外からみるだけでは、飲酒の影響がはっきりわからないことが多いです」とパークさんは言います。「グレーゾーンの飲酒者はよく、自分は別に生活に支障はきたしていない、ちょっと飲み過ぎているだけと人に言います

自分でも気付かないうちにグレーゾーンにいた私は、飲み過ぎた後に疑問や不安を感じ、強い自責の念に駆られるなど、パークさんが言うグレーゾーンの飲酒者の特徴にすっかり当てはまるようになっていました。

そして、アルコール依存症の道へ……

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まだグレーゾーンだった私の飲酒状態も、時が経つにつれ、悪化していきました。アルコールにますます強くなり、酔っぱらう為にはさらに量を増やさなければなりませんでした。そして、そのせいで私生活に支障をきたすようにも。キャリアがうまく行き始め、それに伴いストレスも増え、そのストレス解消に毎晩の自宅でのひとり飲みがはじまったのです。

誰だってストレス発散に飲むし、それに何の問題があるのと思いつつも、自分のやっていることは普通じゃないし、健康によくないというのはわかっていました。パークさんいわく「もし自分のアルコールの摂り方に疑問を持っていれば、あなたはグレーゾーンの飲酒者の領域にいる」のだとか。

「アルコール依存症の発症へつながるのは大量の飲酒だけではないことが、徐々に理解され始めています」

私がグレーゾーンの飲酒者から、完全にアルコール依存症になるまで、そう時間はかかりませんでした。28歳のときに憧れの仕事に就いたけれども、当時の彼との関係は崩れかけ。仕事のプレッシャーから、毎晩仕事から帰ると、ワインのボトルを何本も空けるようになったのです。次第にコントロールがきかなくなり、記憶がないほどの酷い二日酔い状態で週末のほとんどを過ごすようになりました。そして1年後には、その憧れの仕事を失い、リハビリ施設に入ることに。

アルコール依存症の治療は、生涯にわたる戦い

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リハビリ施設での9か月間、自分はすっかりよくなったものだと思っていました。けれど、少量の飲酒だったら大丈夫だろうと、グレーゾーンの飲酒者がよく犯す過ちを私も犯してしまったのです。ワイン一杯だけで我慢できたはずなのに、一晩でホテルのミニバーのボトルを全部空けてしまい……しまいには仕事を失いました。

グレーゾーンでは、人は飲酒をいとも簡単に正当化してしまう。リハビリや再発に苦しむ何年も前の時点で、このことを知っていればよかったのにと、今でも残念に思います。「短時間での大量の飲酒があたりまえになってしまうのです」とパークさんは言います。アメリカ疾病対策センター(CDC)は、短時間での大量の飲酒の目安として、一度にアルコール飲料を女性は4杯以上、男性の場合は5杯以上飲むこととしています。

幸いなことに、今ではグレーゾーンの飲酒者のリハビリをサポートするプログラムが多く提供されています。パークさんのTEDスピーチもネットで見ることができますし、ノンアルコール生活を推奨するオンラインのコミュニティもいくつもあり、それに参加することもできます。これまでのように、いちいちアルコール中毒者更生会に参加し、飲酒問題について語りあう必要はないのです。

私が回復するときには、コミュニティとのつながりがとても重要でした。最後に再発した際、より穏やかな町へ引っ越しました。そこでセラピーを受けはじめ、今の夫となる男性とも出会いました(彼は私のためにお酒を断ちました)、そして私の禁酒をサポートしてくれる(お酒を飲む人、飲まない人両方の)強いネットワークを築きました

最近では、私はグレーゾーンの飲酒者からアルコール依存症にすぐになれて逆にラッキーだったと思っています。「まわりがそうなのだから、自分も普通」と信じ込んでいたグレーゾーンの状態が更に長く続いていたなら、どれだけ私は苦しむことになっていたのでしょう。

サポートとコミュニティを見つけて

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もしあなた、もしくはあなたの友人がグレーゾーンの飲酒者なら、同じ問題を抱える人たちとつながることをパークさんは勧めています。「オンラインのコミュニティや会合など、あなたと同じようなグレーゾーンの飲酒者の経験話を聞ける場は沢山あります」「自分は少数派ではなく、多数派に属しているのだと知ることが大切」とパークさん。

また、パークさんはグレーゾーンの飲酒を抑えるのに「リラックスできて楽しいと感じられる健康的なものを、毎日の生活に取り入れましょう」とアドバイスしています。なので、私はセルフケアを優先させています。毎日運動して、ヘルシーな食事を作り、不安な気持ちは日記に書いて解消したりしています。

パークさんは次のように言っています。「アルコールがなくなることはありませんが、アルコールに対する考え方やマイナスイメージは目覚ましく変わっています。社会にまん延しているグレーゾーン飲酒の文化も変わっていくかもしれません」

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Irina Gonzalez/At 30, My Gray Area Drinking Problem Spiraled Into Alcoholism—and I Lost My Dream Job/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)

RSS情報:https://www.mylohas.net/2019/06/192990pvn_alcoholism.html