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乳がん検診で精密検査と言われたら…そのときどうしますか?
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乳がん検診で精密検査と言われたら…そのときどうしますか?

2019-06-21 05:30
    自分の体をきちんと知ろう! がテーマの連載「カラダケア戦略術」。前回は「更年期になると、誰もが更年期障害になるの?【更年期のウソ・ホント】」について、お届けしました。今回は、「乳がん検診で精密検査と言われたら……」を女性医療ジャーナリストで乳がん経験者の増田美加がお伝えします。

    検診結果に書かれたコメントを正しく理解する方法

    乳がん検診を行ったら、検診結果はどのように出るのでしょうか? このことを知っておくと、もしものときに、不安にならずにすみます。

    乳がん検診をどういうところで受けたかによっても変わりますが、自治体などで行われる乳がん検診(マンモグラフィ検査)であれば、「異常なし」「要経過観察」「要精密検査(再検査)」と大きく3つに大別されて結果が出てきます。

    「異常なし」の場合は……

    「異常なし」の場合は、これまでどおり、月1回の自己チェック(自己触診)2年に1回の医療施設で行う乳がん検診(マンモグラフィ検査)を引き続き定期的に行いましょう。

    今回見られなかった乳房の変化が、2年後に見られることは、十分に考えられます。また、高濃度乳房(デンスブレスト)の場合は、何かあってもわからなかった(判別困難)場合もあります。(高濃度乳房(デンスブレスト)の詳細はこちら

    「異常なし」でも、定期的な自己チェックと検診は大切です。

    また、「良性の石灰化があるが、異常なし」や「良性のしこりがあるが、異常なし」とコメントがあったら、石灰化やしこりがあっても、良性のものなので心配なしという意味です。

    良性の石灰化やしこりが悪性に変化することはありませんが、新たなしこりや石灰化ができる可能性は十分ありますので、次回の検診も忘れずに受けましょう

    「要経過観察」の場合は……

    「要経過観察」は、良性の可能性が高いけれど、大きさなどが変化する可能性がある場合や、非常に良性の可能性が高いけれど、ほんの数パーセントの低い確率で良性とは確定できない場合です。

    そのままにせず、必ず医師の指示通りに3か月後、あるいは6か月後の診察を受けましょう。そのまま放っておいて、数年後、進行した乳がんが見つかることもないとはいえません。

    また、「要経過観察」の内容に不安や疑問があったら、あやふやにせずに、医師に詳しい説明を求めてください。

    「要精密検査」の場合は……

    「要精密検査」は、検診結果が疑わしいためさらに詳しい検査をしたいという意味です。しかし、イコール、悪性ではありません。精密検査を行って、良性だったという人のほうが多いのです。

    マンモグラフィ検診を受けた女性のうち、精密検査を受ける必要があると判断される人は約10%弱と言われています。

    一方で、マンモグラフィ検診を受診する1000人の女性から乳がんが発見されるのは、約3~5人と言われています。1000人の女性がマンモグラフィ検診を受診し、「要精密検査」と結果が出た人が10%弱ですので、8%だったとしましょう。すると、精密検査が必要となった人は、1000人中80人です。

    そして、この1000人のうち乳がんと診断される人は、多くても5人。ということは、「要精密検査」と言われたけれど、乳がんではなかった人が80人-5人=75人になります。

    このように、実際に精密検査を受けたけれど、その結果、異常が全く発見されなかったり、治療を必要としない良性の病変が見つかっていた場合がほとんどなのです。

    つまり、「要精密検査」とされた人のうち、本当に乳がんが見つかる可能性は、80分の5の確率、ほんの数%となります。

    検診は、あくまでも「ひょっとすると乳がんかもしれない」という人を幅広く拾い上げる、ふるい分けの作業です。

    もし、精密検査と言われた場合、乳がんと診断される5人なのか、そうでない75人なのか、それをはっきりさせるために受けるのが精密検査なのです。

    がん検診の意味を正しく理解すれば、検診で「要精密検査」と書かれていても必要以上に怖がる必要はなくなります。そして、精密検査を必ず受けることが大切な意味もわかると思います。

    「要精密検査」の場合、乳腺専門施設でもう一度、マンモ、超音波を行います

    まず、乳がん検診後の精密検査では、乳腺専門の施設でもう一度、マンモグラフィ検査、超音波検査、視触診を行います。

    乳腺専門施設で、マンモグラフィ、超音波検査を行い、そこでやはり異常の可能性があると判断された場合は、細胞診や組織診の検査を行います。

    マンモグラフィや超音波などの画像検査では、良性か悪性かははっきりわかりません。しかし、この細胞診、組織診の精密検査を受ければ、良性か悪性かがはっきりします

    次回は、細胞診と組織診について詳しく紹介します。

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    増田美加・女性医療ジャーナリスト 予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ http://office-mikamasuda.com/

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