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生理時の出血量(経血量)が多い!月経過多の目安と治療方法とは?
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生理時の出血量(経血量)が多い!月経過多の目安と治療方法とは?

2019-10-19 20:00
    自分の体をきちんと知ろう! をテーマの連載「カラダケア戦略術」。前回は「生理前にメンタル症状が強く出るPMDD」について、お届けしました。今回は、「生理の出血量が多い過多月経」を女性医療ジャーナリストの増田美加がお伝えします。

    正常な生理の出血量の目安は?

    自分の生理時の出血量(経血量)が多いかどうかは、気になるところです。ナプキンから漏れ出したり、ナプキンを換える頻度が多かったり…。でもこのくらいは正常なのか?それとも多すぎるのか? 人と比べようがないので、わかりにくいと思います。

    けれども、経血量が多いと過多月経の可能性があり、病気が隠れていることも考えられます。経血量が気になる女性へ、見極め方をお伝えします。

    経血量は個人差が大きいですし、また同じ人でも、ホルモンの状態によって、経血量が変化することもあります。今までとずっと変化がなければ、気にすることはありませんが、ただ、経血量が異常に多くなったり、極端に少なくなった場合は、何かのサインかもしれません。

    成人女性では、目安として20~140mlくらいが平均的な月経血量と言われています。量が多い生理開始1日目~3日目で、ナプキンを昼間2時間おきに換える程度であれば一般的です。

    正常な月経の目安

    月経周期日数:25日~38日 出血持続日数:3~7日間(平均5日間) 1周期の総経血量(総出血量):20~140㎖

    これはあくまで目安です。子宮は、人によって大きさが違うので、量も違って当然です。経血量の異常は、生理周期や期間の異常ほど、はっきりとした定義がないのです。

    過多月経だと何が怖い?

    しかし、経血量が多くて、普段の生活に支障があるような場合を”過多月経”と言います。過多月経のおもな原因としては、ホルモン分泌の異常、子宮などの病気の可能性があります。

    たとえば、経血量が多くてナプキンが1時間ももたない、経血にレバーのような血のかたまりが混ざっている、などの症状がある場合は、過多月経が疑われます。

    経血量が急に変化した場合は、異常に気がつきやすいのですが、数年にわたって徐々にゆっくりと増加している場合は、自覚症状がないまま過ごしてしまうことがありますから注意が必要です。

    過多月経で怖いのは、経血量が多いため、”鉄欠乏性貧血”が起こっていることが多く、疲れやすい、めまい、立ちくらみなどの症状があり、貧血を放っておくと、体に大きな負担がかかり、よくありません。また、ほかになんらかの病気が隠れていて、それが原因の場合もあります。

    過多月経かどうか☑してみましょう!

    生理の出血量を見極めるときの目安として、気をつけるのは、まず生理の期間です。期間が長ければ、おのずと経血量も増えるわけです。

    □ 昼でも夜用のナプキンを使う日が3日以上ある
    □ 普通のナプキン1枚では1時間もたない
    □ 経血にレバーのような大きな血のかたまりが混ざっている
    □ 以前より経血量が増え、日数も長くなった

    以上の項目に1つでも当てはまる症状があったら、過多月経の可能性が高いと考えられます。婦人科を受診して相談しましょう。

    *参考資料/生理のミカタ https://www.seirino-mikata.jp/

    過多月経のおもな原因となる病気は?

    過多月経には、原因となる子宮の病気がある場合と、原因となる病気がなくて、、体内のホルモンや血液の状態が影響している場合とがあります。

    過多月経の原因となるおもな子宮の病気には、子宮筋腫、子宮腺筋症などがあり、20代、30代、40代の女性に多く見られます。また、子宮内膜症を併発している方も少なくありません。これら3つの病気について、まとめました。

    子宮筋腫

    子宮筋腫は、子宮の子宮筋層にできるコブのような良性の腫瘍です。筋腫の位置や大きさ、個数によって症状はさまざま異なります。

    貧血症状(めまい、立ちくらみなど)、経血量の増加、不正出血(月経時期以外の出血)、月経痛、不妊など。過多月経を伴うことが多い病気です。

    子宮腺筋症

    子宮腺筋症は、子宮内膜組織が子宮の子宮筋層の中にできる病気です。子宮筋層の中にできた組織が月経のたびに増殖と剥離を繰り返すため、さまざまなつらい症状を引き起こします。病気が進むにつれて、子宮筋層が厚くなっていきます。

    症状は、月経痛、経血量の増加、出血持続日数の延長など。過多月経を伴うことがほとんどです。

    子宮内膜症

    子宮内膜症は、子宮内膜組織に似ている組織が子宮周囲の臓器(腹膜や卵巣など)にできる病気です。病巣にできた子宮内膜組織が増殖と剥離を繰り返すため、炎症や癒着を引き起こすため、さまざまなつらい症状が起こります。

    症状は、月経痛、下腹部痛、腰痛、性交痛、排便痛、不妊などです。子宮内膜症は、過多月経を引き起こす原因となる子宮の病気ではありませんが、子宮筋腫や子宮腺筋症を併発しているケースが多々あります。

    生活リズムも食事も、気をつかっているのに、フラフラしたり、立ちくらみがひどい…。そこで、婦人科に行ったら、実は子宮筋腫や子宮腺筋症が原因の過多月経で、貧血を起こしていた、という人もいます。

    まずは、普段から自分の生理の状態に注意してみて、ここ1~2年を振り返って、量が変化したなと感じたら、一度、婦人科を受診してみてください。

    生理はそんなにつらくない! ひどい過多月経は治療しましょう

    月経(生理)のトラブル、は、多かれ少なかれ誰でも経験するものです。でも、過多月経や強い月経痛などで日常生活や仕事に支障が出るようなら、子宮の病気や鉄欠乏性貧血の可能性があります。過多月経は、治療で改善できます。

    過多月経やその原因となる子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症の治療には、ホルモン剤などを使用する薬物療法と手術などがあり、症状や妊娠の希望の有無などを考えて、医師と相談して決めていきます。

    薬物療法 IUS

    IUS(アイユーエス)は、黄体ホルモン(プロゲステロン)のレボノルゲストレルを持続的に放出する小さな器具を子宮内に入れるものです。

    子宮内膜に直接、黄体ホルモン(プロゲステロン)が作用して、子宮内膜の増殖を抑えることによって、経血量を減少させたり、月経痛を緩和します。一度、挿入すると、最長5年間、効果が持続します。

    IUSは、避妊の目的で開発された製剤です。装着しているあいだは、避妊の効果があるため、すぐに妊娠の希望のある人は使用できません。しかし、IUSを子宮から取り出して、装着をやめれば、妊娠できます。

    薬物療法 低用量ピル(卵胞、黄体ホルモン混合剤)

    卵胞、黄体ホルモン混合剤の低用量ピル(OC)などは、卵胞ホルモン(エストロゲン)黄体ホルモン(プロゲステロン)を含んでいて、月経困難症や避妊に使われています。

    女性ホルモンの分泌を抑えて、排卵と子宮内膜の増殖が抑えられることによって、経血量を減少させたり、月経痛を緩和します。

    飲み始めにマイナートラブルとして、吐き気、頭痛などが見られることがあります。また、重い副作用として血栓症がわずかにあります。

    手術

    手術には、悪い部分の病巣だけを摘出したり、焼いたりする保存手術があります。また、子宮、あるいは子宮・卵巣を摘出する根治手術もあります。

    以前は、お腹を切る開腹手術が一般的でしたが、現在では内視鏡を利用した体への負担の少ない手術が増えています

    子宮内膜症や子宮筋腫で行われる腹腔鏡手術では、おへそと下腹部の数か所に穴を開けて、腹腔鏡と器具を挿入して、悪いところを摘出します。

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    増田美加・女性医療ジャーナリスト
    予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ http://office-mikamasuda.com/

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