人生の中でも重要な区切りのひとつ、「閉経」。しかし、いつの間にか生理が来なくなっていたというように、閉経に気づかない場合も。
「女性ひとりひとりが、更年期(閉経をはさんで前後10年くらいの時期)にどのような経験をするかは少しずつ違っています」とメアリー・オトゥール医師。オトゥール医師は、カリフォルニア州ラグーナヒルズの産婦人科医。とはいえ、エストロゲンのレベルが低下するに伴い、また月経が最終的に過去のできごとになるまでの各段階で予想されることがあります。
閉経周辺期
「閉経周辺期とは、閉経が近づき、エストロゲンとプロゲステロンが減少し始める期間のことです」とオトゥール医師。
クリーブランドクリニックによれば、40歳代の半ば頃から始まり、通常は4年間ほど続くとのこと。「いつ始まるかを正確に指摘するのは難しいのですが、生理が不規則になるのが最初の徴候と思われます」と、オトゥール医師。この時期でも妊娠は可能。ですから、妊娠を望まないなら忘れずに避妊を。
何が起きる?
メイヨークリニックによれば、エストロゲンの変動で月経周期が長くなったり短くなったりします。また、生理が普段より重くなったり、軽くなったりしていると気付くかもしれません。「月経周期の変化に伴い、感情や精神面での変化もあります。そうした変化には、不安や抑うつ症のほか、頭がぼんやりするブレインフォグや物忘れが含まれます」とオトゥール医師。
閉経
「12か月間生理がなくなると、正式に閉経期に入ったことになる」と、オトゥール医師。閉経は40歳代から50歳代で起きますが、メイヨークリニックによれば、米国での平均年齢は51歳です。この時点で、エストロゲンが大幅に減り排卵が止まり、生理がなくなります。
何が起きる?
「それぞれの人にさまざまな症状があります」とオトゥール医師。のぼせは間違いなく一般的な症状ですが、頻度や持続期間は人によってまちまちです。
「のぼせは睡眠に悪影響を及ぼし、慢性的な睡眠不足や疲労あるいは頭がモヤモヤした状態の原因になる可能性があります」とオトゥール医師。「その他の症状としては、膣の乾燥や性欲の減退のほか、抑うつ症状や体重の増加などがあるかもしれません」
閉経後
その名称のとおり、閉経の後の期間のことであると、クリーブランドクリニック。
何が起きる?
「のぼせのような症状は徐々に減少します。ですが、膣が乾いたり炎症を起こしたりという問題が起きるかもしれません。セックスのときに痛みを強く感じるようになったという女性もいます」とオトゥール医師。
さらに、クリーブランドクリニックによれば、閉経後の女性は、エストロゲンの低下により、骨粗鬆症や心臓病のリスクが増加します。エストロゲンは体のカルシウムの使い方、血中のコレステロール値の維持に影響を与えている物質だからです。
「閉経後には、皮膚の変化に気付く人もいます」とシンシア・ベイリー医師。ベイリー医師は有資格の皮膚科専門医でドクター・ベイリー・スキンケアの創始者。閉経後の皮膚は、以前よりデリケートになり、 裂けやすくなったりあざができやすくなったりします。また、肌の乾燥が進み、湿疹などの症状が起きやすくなります。
知っておきたい更年期のこと
Judy Koutsky/What to Expect During Every Stage of Menopause/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)