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考えすぎの心をスッキリ解き放つ。「豊かな暗闇」でととのうのはなぜ?
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考えすぎの心をスッキリ解き放つ。「豊かな暗闇」でととのうのはなぜ?

2020-03-21 06:30
    朝。目が覚めると、どんより気分が重い。やるべきことがどっと押し寄せてつぶされそう。あるいは過去のつらい出来事をつい思い出し、怒りや悲しみのループにはまってしまう。こんな経験は誰にでもあるはず。

    心のストレスには瞑想が効くとはいうものの、慣れないと難しそうだし、忙しい中でひとりの静かな時間を確保するのも大変です。

    2019年11月に東京・神宮外苑に常設オープンした「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」では、「内なる美、ととのう暗闇。」をテーマに禅やマインドフルネスの思想を取り入れた、日本オリジナルのコンテンツを展開。暗闇の中で自然に瞑想状態が味わえると聞き、さっそく体験してきました。

    見知らぬ7人で未体験の暗闇へ

    ダイアログ・イン・ザ・ダークは、1988年にドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれたユニークなソーシャル・エンターテインメント。暗闇のエキスパートである視覚障がい者のアテンドと共に光が一切入らない暗闇の中に入り、対話やワークを行いながら、自分自身や他者と向き合うと、新しい感性を開きます。

    これまで世界50か国以上で開催され、800万人を超える人々が、日本では1999年11月の初開催以来22万人が体験しています。

    会場は清浄な空気に満ちた明治神宮の杜の一角。この日の参加者は男性4人女性3人、アテンドの石井健介さん(通称・イシイシ)。ここでは皆、ニックネームで呼び合うようです。

    石井さんから暗闇内で注意説明を受け、白杖を受け取ります。ここから先、目の代わりになるのは、この白杖のみ。何が起こるのか、転んだりしないか、迷子になって迷惑をかけないか。不安と緊張がつのる中、手にした白杖とみんなの声を頼りにいざ出発!

    暗闇でマインドフルネスのスイッチを入れる

    真っ暗闇の中、まず飛び込んできたのは足裏に触れる地面の感触。遠くから聞こえる音、手を伸ばすと触れる何か。ここはどのくらいの広さなんだろう? みんなどの辺にいるのかな? 明るければスマホを見ながらぼーっと動ける空間も、視覚が使えないと一瞬一瞬に気を遣いながら動きます。

    「暗闇に入るとマインドフルネスのスイッチが自動的に入るんですよ」と、石井さん。

    マインドフルネスとは、簡単に言えば、「今ここで起こっていることに、囚われのない状態で気づきを向ける」という意味。

    ふだん私たちは五感を通してたくさんの情報をキャッチし、それに反応しながら生活をしています。心はキャッチした情報から過去の経験や価値観を元に、判断したり、連想を広げていきます。これは好き、これは嫌い、あれはいい、あれは悪いから始まって、昔のことを思い出したり、未来をあれこれ心配したり……。それらは生活に必要な時もありますが、度が過ぎると心配や不安にとらわれて疲れ、ぐるぐる思考にはまったり、ストレスの原因にもなりかねます。

    マインドフルネス瞑想は、この瞬間に起こり続けている「今」を、判断を交えずに感じ、流れるままに手放す心の訓練法です。トレーニングを重ねていけば、脳裏をぐるぐる回る思考を静めて、心を本来の調和した状態に整えていくことができるといいます。

    このダイアログ・イン・ザ・ダークの暗闇のなかでは、声をしっかり出してお互いを確認し合ったり、手のひらや足の裏でさまざまなものに触れたり、香りを感じたり。「今ここで起こっていること」のひとつひとつをていねいに味わうという行為を、いつの間にか自然に行っていました。

    視覚以外の感覚をフル稼働させながら、気づきを持って動き、コミュニケーションする暗闇。これはまさしくマインドフルネスを実体験できる空間なのです。

    動と静の瞑想を味わう

    最初は不安だった暗闇ですが、石井さんのアテンドで徐々に緊張も緩み、参加者との繋がりも生まれていきます。

    「では、隣の人と手を繋いで下さい、自分が誰かちゃんと伝えてあげてくださいね」。出発前の自己紹介だけでは顔と名前は一致していません。でも一緒にさまざまな体験を重ねるうちに、手や声の感触でそれぞれの存在を感じます。 

    だんだん見えない空間が心地よくなってきました。自分の体裁を取り繕ったり、まわりを気にする必要もありません。顔も覚えていない誰かと、一緒にいて感じる不思議な安心。自分も相手も肩書きや見た目を超えて、シンプルに「今、共に在る」ことはとても豊かです。

    そして、静かな瞑想の時間へ。

    床の温もり、まわりの気配、聞こえる音、自分の呼吸、浮かんでくる思考やイメージ。目を開けても閉じていても自分の感覚だけが広がって、流れては消えてゆきます。

    あっという間に2時間が過ぎて、現実世界に引き戻された後も、しっかりヨガをしたような心地のよい全身の緩みと寛ぎに包まれていました。感覚を集中させたせいか、心のモヤモヤが掃除され、かなりすっきり。

    今日体験した何気ない感覚をていねいに味わう大切さ、それを忘れずに平和な気持ちで、自分やまわりの人と関わっていけたら。ダイアログ・イン・ザ・ダークは、そんな気づきを得られる場所でした。

    次回は、アテンドをして下さったイシイシこと石井健介さんから、ダイアログ・イン・ザ・ダークの魅力と、どこでも実践できるエクササイズを教えてもらいます。

    ダイアログ・イン・ザ・ダーク「内なる美、ととのう暗闇。」

    時間:11時00分~19時00分(最終回:21時00分終了、体験時間:約120分)※開催がない日程・時間もあり。詳細はサイトで確認を。 場所:三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア2階(東京都新宿区霞ヶ丘町11番3号)

    https://did.dialogue.or.jp/totonou/

    マインドフルネスを取り入れよう

    マインドフルネスはシンプルで奥深い。ダライ・ラマ法王の担当医が教えます

    朝のたった2~3分でできる、心を磨く最高のマインドフルネス

    ダイアログ・イン・ザ・ダーク]文・イラストレーション/若山ゆりこ

    RSSブログ情報:https://www.mylohas.net/2020/03/207663mind_did1.html
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