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なぜ「やせたい」と思ってしまうのか? ダイエットに疲れている人必読!
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なぜ「やせたい」と思ってしまうのか? ダイエットに疲れている人必読!

2020-03-23 06:00
    いつの時代も、ダイエットに対する興味は尽きないものです。すらりとした体型は、全世代にとって憧れ。「やせなくちゃ」が、何となく口癖になっている人は多いのではないでしょうか。でも、私たちはどうして「やせたい」と思ってしまうのでしょう。

    磯野真穂著『ダイエット幻想』(筑摩書房)に、やせたい気持ちとうまく折り合うための考え方が紹介されています。

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    私たちは「やせたい」と思わされている

    本著は、痩せることの健康被害や、栄養学的に見て正しい食べ方について語られているわけではありません。著者の磯野先生は、国際医療福祉大学大学院准教授であり文化人類学者。そのため、文化人類学的な観点から「やせたい」気持ちについて分析されています。

    「あなたのここを変えましょう」、「あなたにはこんな知識が足りません」ではなく、やせたいと言う気持ちの輪郭と中身を、承認欲求との関係、ジェンダーとの絡み、さらには世界にあるさまざまな理想体系や、理想体系の歴史的変遷をお見せすることで明らかにしてみたいと思います。

    『ダイエット幻想』18ページより引用

    こんなにも自分らしさを大切にする風潮が高まっているにもかかわらず、「やせ」についてはそうはいかないのが現実です。特に女性は、体型に対するプレッシャーにさらされながら日々過ごしています。やせると「かわいくなった」「きれいになった」と褒められ、素敵な洋服を苦労せずに着こなすことも可能になります。

    とりわけ日本はやせの基準が高いと磯野先生は指摘しています。国内の大学生を対象に行われた調査によると、彼女たちの理想体系は、BMIが約18.5。普通とやせすぎのボーダーラインであり、シンデレラ体重などと言われる厳しい数値です。

    しかし、「やせ」願望は若い女性だけの話ではありません。性別も世代も関係なく、「やせて格好良くなった」と誰もが言われたい。私たちはどうしてそう思ってしまうのでしょうか。

    どうやら「やせたい」という気持ちは、私たちの心のうちから自然に出てきたものではなさそうです。むしろ、そう思わされて、疲れてしまっている。そのような、「やせたい気持ち」と良い距離感を持っていくためには、どうしたら良いのでしょうか。

    自分の身体が他者の声で満たされている

    初めて「やせたい」と思ったのは何歳くらいでしたか。多くの女性は、小学校高学年から中学生にかけて、「やせたい」と思い始めるのではないかと磯野先生はいいます。そんな風に思うきっかけとして、どんなことがあるのでしょう。

    この内訳をさらに細分化すると、1. 他者からのコメント、2. 自分で自分を比較する、3. 他人による他人の体型指摘、4. 洋服のサイズ、という分類が得られた

    『ダイエット幻想』22ページより引用

    他人から「もう少しやせなよ」と言わたり、男の子から体型をからかわれたといったことが、1や3になるでしょう。2は以前の自分との比較、4は着てみたい服と自分との比較になります。

    中国には、かつて纏足(てんそく)といって、足を布で縛って成長を止めようとする風習がありました。纏足は極端な例であったとしても、社会の価値観にあわせて身体を変えようとすることは、周囲に「認められたい」という承認欲求につながっているようです。

    やせることで周囲の態度が明らかに変わるといったことはよくある話。しかし、ある意味では、とても不思議なことです。オリンピックで金メダルをとったわけでも、性格が突然変わったわけでもない。ただ単に少し軽くなった、それだけのことで他者からの評価の声が大きく変わってしまうのです。

    そうはいっても、「やせたね」「かわいくなったね」などと言われて、嬉しくないはずがありません。やせることで人間関係が良くなっていったりすると、他者からの評価が一番のよりどころになってしまいます。

    そんな状況は、結果として「自分の身体が他者からの声で満たされている」と、磯野先生は分析しています。

    ダイエットを選ぶ際の注意点3つ

    人に認められ愛されるための過度なダイエットは、健康被害につながったりと危険を伴う場合があります。大事なことは「ふつうに食べること」であり、ダイエットを選ぶ際は3つの点に注意したほうがいいと磯野先生はいいます。

    私からみて、慎重になった方が良いダイエットは次の三つ。まずひとつ目は、これさえ避ければいいという「タブー」ダイエット、ふたつ目が大胆な変身の物語を持つダイエット、そして三つ目がカリスマのいるダイエットです。

    『ダイエット幻想』147ページより引用

    人はタブーであるといわれると、だからこそ見てしまう。そして、タブーと苛立ちはセットになっている。たしかに、糖質をとってはいけないといわれると、余計に気になって食べたくなってしまうことがありますね。

    また、大胆な変身の物語を持つダイエット法は、本当に人生が劇的に変わるのかということを慎重に見極める必要がありそうです。

    神様のようなカリスマが存在するダイエットも、巷には溢れています。しかし、そのカリスマは自分の人生の肩代わりをしてくれるわけではない。カリスマの意見を仰がなければ動けないようなダイエットは、長続きしないといえそうです。

    「やせたい」という気持ちは、人にそう思わされているものなのかもしれない。まずは、そんな風に自分自身を一度見つめ直すことから始めてみてはいかがでしょうか。

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    ダイエット幻想 ]image via shutterstock

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