「冷凍」と「冷凍食品」に関する食のライフハックメディア「ほほえみごはん(ニチレイフーズ提供)」から、野菜の冷凍保存に続き、タンパク源として欠かせないお肉の冷凍保存・解凍の基礎知識をご紹介します。
知っておくと便利! 肉の冷凍3ステップ
お肉の冷凍・解凍は日常的にしているけれど、解凍に失敗したり、保存しすぎて味が落ちてしまったりと、意外と悩みが多いものです。
料理研究家・管理栄養士の阪下千恵さんによると、肉のおいしさをキープするために大事なのは「酸化を防ぐこと」と「急速冷凍すること」。
この2点をおさえた、3ステップで失敗なく冷凍する方法がこちらです。
肉についたドリップをふき取る 冷凍用密封保存袋に肉を入れ、空気を抜きながら密封し、できるだけ薄くする 冷凍庫内は「平ら」にして冷凍する(「ほほえみごはん」より引用)
1のドリップとは、肉から染み出た水分、タンパク質、うまみ成分が含まれる薄い赤色の液体のこと。そのまま冷凍すると臭みの原因になるため、ペーパータオルなどでよくふき取っておきます。
また、購入時に肉が入っているパックのままで冷凍すると、断熱材の役割を果たし冷凍に時間がかかるため、味が落ちる原因になるとのこと。
肉の下に敷かれていることが多い「ドリップ吸収シート」も不衛生なので外しましょう。
肉のドリップを取って清潔な密封保存袋に入れたら、酸化を防ぐために空気をしっかり抜いて、できるだけ短時間で冷凍するのがコツ。
あれば急速冷凍機能を使い、なければ熱伝導のよい金属製のトレイにのせて平らな状態で冷凍室に入れると、より早く凍らせることができるといいます。
冷凍保存向きのお肉ベスト3
冷凍保存しておくと便利なのは、家庭料理で使用頻度が高めのお肉。阪下さんのおすすめベスト3をご紹介します。
1.豚薄切り肉
ロース、肩ロース、豚バラなど、部位はお好みでOK。160~200gの豚薄切り肉を薄く広げて、Mサイズの冷凍用密封保存袋に入れて冷凍します。冷凍庫で1か月程度保存可能です。
2.鶏もも肉
鶏もも肉1枚を2等分に切り、厚みが均等になるように包丁で開いてからMサイズの冷凍用密封保存袋に入れて冷凍します。冷凍庫で1か月程度保存可能です。
3.豚ひき肉
200gの豚挽き肉をMサイズの冷凍用密封保存袋に薄くなるように入れます。菜箸を押しつけて4分割の線を入れておくと、線の部分で折って使いたい分だけ取り出しやすくなります。冷凍庫で2週間程度保存可能です。
ラップ、保存袋、保存容器。どれが正解?
「肉の冷凍3ステップ」でお伝えしたように、冷凍するときは「冷凍用の密閉保存袋」がおすすめ。
ラップに包んだだけだと冷凍庫内ではがれやすくなるため、小分けにしたい場合はラップで包み、さらに冷凍用密封保存袋に入れて冷凍しましょう。
よくある密閉できるタイプの保存容器でもよさそうですが、保存容器は「冷凍の大敵」である空気が入ってしまうため、避けるべきと阪下さん。
容器に肉を入れたときに余分なスペースができると、肉が空気に触れることになるのでおすすめしません。空気は肉の冷凍時に酸化と乾燥の原因になります。密封できる冷凍用密封保存袋に入れ、空気を抜いてから冷凍しましょう。
(「ほほえみごはん」より引用)
密閉保存袋を購入するときは、冷蔵用ではなく「冷凍用」を選ぶことも大切です。
冷凍用は冷凍庫の冷たい温度にも耐え、たいていは電子レンジ解凍にも使えます。しかし冷蔵用は冷凍用よりも袋の厚みが薄く、冷たい温度に耐えることができません。さらに、電子レンジ解凍には使えないことが多いそう。
買うときはパッケージに「冷凍用(フリーザーパック)」と書いてあるものを選んでください。
おいしさをキープするための解凍のコツ
肉の味わいをキープしながら、家庭でも実践しやすい解凍方法は2つあると阪下さん。
1つめは「流水解凍」で、肉が入った保存袋を流水に当てて解凍する方法。2つめは「冷蔵庫解凍」で、冷凍肉を冷蔵庫に移動して解凍する方法です。
電子レンジの解凍機能を活用する「電子レンジ解凍」は、加熱ムラが起きやすく、上手に解凍するコツをつかむまでは意外に失敗しがち。
冷凍庫から出して常温で解凍する「常温解凍」は、解凍していることを忘れて放置してしまうと、雑菌が繁殖しやすい状態に長時間さらされることになるため、あまりおすすめしません。
(「ほほえみごはん」より引用)
流水に当てながら解凍すると、中心は凍っているけれど、周囲は溶けている「半解凍」の状態にするのも簡単です。
「半解凍」は包丁が入りやすくサクサクと切れるので、料理のしやすさにもつながります。
賞味期限の目安は?
家庭で肉を冷凍する場合、保存期間は「1か月」程度が目安です。ただし空気に触れる部分が多いひき肉は、2週間程度を目安にしてほしいと阪下さん。
おいしく安全に冷凍するためには、鮮度のよい肉を選び、買ってきたその日のうちに、早めに冷凍することも大事だといいます。
購入はしたものの使うタイミングがなく、「賞味期限が近づいてきたから冷凍する」ということは避けましょう。保存の際は雑菌が極力入らないよう、手をよく洗い、清潔な菜箸やまな板を使って作業します。冷凍するときに、なるべく急速に冷凍することも大切です
(「ほほえみごはん」より引用)
料理のプロが実践している、リアルに使える冷凍テクニック。ぜひ参考にしてみてください。
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阪下千恵(さかしたちえ)さん
料理研究家・栄養士。外食大手企業、無農薬・有機野菜・無添加食品などの宅配会社を経て独立。現在は書籍、雑誌、企業販促用レシピの開発、ホームページやテレビなどの料理レシピ作成、食育関連講習会などで活躍。置きから冷凍ストック、お弁当など家庭料理全般幅広く、再現性の高い作りやすい料理が人気、著書多数。実生活では小学生と中学生の女の子のママ。
[ほほえみごはん]
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