そう語るのは、商品開発やイベント出演のオファーが絶えないスタイリングディレクターの大草直子さん。
『飽きる勇気 好きな2割にフォーカスする生き方』(講談社)は、そんな大草さんの人生哲学が詰まった一冊。激動の時代だからこそ知りたい、軽やかな生き方のコツをご紹介します。
「逃げたっていい」と教えてくれた不登校の経験
フリーランスのスタイリスト、エディターとして活動を始めてから、今年で20年を迎えたという大草さん。意外なことに子供のころは引っ込み思案で自信がなく、小学4年生のときにはいじめが原因で不登校を経験したといいます。
しかし、ご両親から「学校に行きなさい」と言われたことは一度もなく、それが「とてつもなく安心だった」のだそう。半年間ひたすら読書していた大草さんは、あるとき母親に「イヤなら学校を辞めてもいい。だけど、それなら先生には、自分で言いに行きなさい」と言われ、一緒に学校に行くことになったのです。
自分で決めたのなら、自分で先生に言いなさい。
──母のこの言葉には、子供ながらに「そうか。自分が決めたことなら、自分で言わなくちゃ」と、妙に納得したのを覚えています。
この経験はいまでもことあるごとに思い出されることですが、
「いま、いるところだけが全てじゃない。逃げたっていい」
「自分で決めたことは、自分で責任を持つ」
私が、子育てや生きていくうえで大切にしていることに、少なからず通じているような気がしています。
(『飽きる勇気 好きな2割にフォーカスする生き方』19ページより引用)
不登校の経験が「逃げてもいい」と教えてくれた。そう大草さんは振り返ります。
「潮目を使う」ことで自分を変える
高校2年生のときにアメリカに留学したのも、小学校からエスカレーター式という「同じ環境にいるのがイヤで逃げ出した」のだと大草さん。
中学生から「雑誌の編集者になりたい」という夢を描いていたものの、取り柄のない自分がイヤで、自分を信じることができず、毎日がつまらない……。きっと環境を変えればモヤモヤした気持ちも晴れてくるはずと、日本人がひとりもいない片田舎の学校へ飛び込んだのでした。
アメリカで出会ったクラスメイトは、みんな大人びていておしゃれ。自分のちっぽけさに衝撃を受けるとともに、自分らしさを演じる必要もなくなり、「このままの自分でいい」と思えたのだそう。
時に、人生のなかでは、直感的に居場所を変えてみたり、知らない環境に飛び込むことって大切だな、と思います。
それってつまりは、「潮目を使う」ということ。
そして、潮目を使うことは、自分を変えるチャンスになります。私の場合は、高校生でのアメリカ留学でしたが、タイミングは人それぞれ。海外に移住したり、会社を辞めたりというドラスティックな変化はもちろんですが、いま住んでいる部屋を引っ越すのだって同じこと。見る景色や感じる匂い、触れる風を意識的に変えていくことが大切だと思うのです。
(『飽きる勇気 好きな2割にフォーカスする生き方』24~25ページより引用)
大草さんいわく「変えたい」「変わりたい」という感覚は、人生における「潮目」が近づいているサイン。言われてみると私自身も、そうと気づいていたのに居場所を変えるのが怖くて、どうしようもなくなるまで動けなかった……という経験が多々ありました。
「潮目」に気づいたらタイミングを逃さずに、自分の環境を変えてみること。そんな柔軟性を持てたなら、大草さんのような軽やかな生き方に、少しずつ近づいていけるのかもしれません。
「好きな2割」に集中すると力を発揮できる
この20年間、最初は無意識に、今は意識的に「面白いこと、ワクワクすること、好きなこと」を選択しているという大草さん。すべてを自分でしようとせず、任せられることは任せて「好きな2割」に集中したほうがいい、という確信があると話します。
集中する、力を発揮する、成果が出る。すると、またその2割にフォーカスできる。飽きる、狎(な)れる、流すことを正しく怖がり、そうなる前に、いる場所を移す、やり方を変える、飽きる勇気を持つことが必要です。もしかしたら仕事だけではなく、広義での「生きること」においても。
(『飽きる勇気 好きな2割にフォーカスする生き方』5ページより引用)
勇気を持って「飽きる」、恐れずに「変わる」──本書にはそのための考え方、具体的な方法が惜しみなく公開されています。世界中が大きな転換期を迎えていると感じさせる今、これからの新しい生き方への示唆を与えてくれる一冊です。
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