ゴールデンウィークで休んだはずなのに、かえって心と体のリズムが乱れ、日常生活がつらく感じる……。「5月病」とまではいかなくても、連休のあとは憂うつな気分になりやすい気がします。

こんなときの処方箋は、あたたかく大らかで、ほっとする言葉を自分にかけてあげること。『精神科医・モタ先生の心が晴れる言葉──今だからこそ読みたい「心の名医」による66のメッセージ』(あさ出版)から、雨模様の心が晴れるモタ先生の名言をご紹介します。

人生の「雨季」はいつか必ず終わる

家族・夫婦・子育て・心の病・ストレスを専門とする「心の名医」であり、2006年に90歳で逝去されたモタ先生こと斎藤茂太さん。歌人・斎藤茂吉の長男、作家・北杜夫の実兄であり、多くのベストセラーを著した随筆者としても知られています。

本書はあさ出版から発刊されたモタ先生の著作から、コロナ禍の今だからこそ読みたい66のメッセージを集めて再編集したもの。

冒頭に掲げられるのは、行き詰まりや先が見えない状況に対するモタ先生の言葉です。

やまない雨がないように、人生の「雨季」もいつか終わる。

そのことは信じていい。

そしてまた雲間から太陽が顔をのぞかせるのだ。

(『精神科医・モタ先生の心が晴れる言葉──今だからこそ読みたい「心の名医」による66のメッセージ』2ページより引用)

雨の日は気持ちが暗くなりがちだけれど、人間は「雨など降らなければいい」とは思わない。それは、あらゆる命にとって、存在し成長し続けるために雨が欠かせないものだと知っているからだと、モタ先生は語ります。

私たちがつらいと感じる状況は「人生の雨季」のようなものであり、成長のきっかけにもなり得るもの

「必ず終わる」という確信を持ち、つらさとの付き合い方を少し変えるだけで、心は光を取り戻せる──。

天寿を全うするまで「生涯現役」を貫き、医師・作家として多くの人の心を癒したモタ先生の言葉には、不思議な説得力を感じます。

「もう」ではなく「まだ」で発想すると状況が変わる

「生き方の達人」と呼ばれたモタ先生は、ご本人いわく「生来の楽天家」。ポジティブな言葉が多いので、「ほんとうに苦しいときに、プラス思考で考えるのは難しい」と疑問を感じる人もいるかもしれません。

しかしモタ先生によると、プラス思考は決して脳天気なものではないとのこと。悩まずにいること、自分の都合のいいように考えることが「プラス思考」ではないのです。

(中略)ほんとうのプラス思考には、ときには苦しみや悩みがついてまわるのである。大切なのは、悪いことを予測しながらも、いい結果を思い描くことなのである。「これだけの困難が予想される。でもきっと抜け出せる。その先には明るい未来が開けてくる」と信じ、どう行動するのかを考えるのが前向きな思考だ

(『精神科医・モタ先生の心が晴れる言葉──今だからこそ読みたい「心の名医」による66のメッセージ』239ページより引用)

困難に直面したときのモタ先生のアドバイスは、「もう」ではなく「まだ」で発想すること

「もうダメだ」ではなく「まだ大丈夫」「まだこれから」と口に出し、一歩を前に踏み出せば、今の苦しい経験は必ず未来のプラスになると教えてくれています。

「私は幸せになる運命だ」と言ってみる

気持ちが追い込まれたときのモタ先生の習慣は、「どんな人もみな幸せになる運命のために存在している」と考えることだそう。

そして、自分を元気づけたいときは、あるおまじないを唱えるといいます。

口の中で小さく、「私は幸せになる運命だ」と言ってみる。すると少し元気になれる。

自分に対する肯定感が生まれると、それは体にもいいようだ。(中略)実際、このようにある種の開き直りができるとだいたい状況が好転してくる。さらに、自分がよく見えてくる。見失っていた自分を取り戻すことができるようになる。

(『精神科医・モタ先生の心が晴れる言葉──今だからこそ読みたい「心の名医」による66のメッセージ』242~243ページより引用)

自分を見失いそうなとき、「あなたなら大丈夫」と言ってくれる人の存在は心強いもの。モタ先生のおだやかな語り口が、モヤモヤする心を落ち着かせ、一歩を踏み出すエネルギーをくれる一冊です。

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精神科医・モタ先生の心が晴れる言葉──今だからこそ読みたい「心の名医」による66のメッセージ

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