動物たちとの「なんでもない」日々を積み重ねて
『ハニオ日記I 2016 -2017』より石田ゆり子さんがInstagramを始めたのは2016年のこと。SNSにはまったく長けていなかったそうですが、「写真を撮ること、文章を書くこと、日々のなんでもないことを記録するのが好き」だった石田さんにぴたりとハマり、現在は282万人のフォロワーに愛される人気アカウントとなっています。
「#ハニオ日記」は2016年当時、まだ仔猫だったハニオの表情があまりにも豊かで面白かったことから、ハッシュタグをつけて連載化されたシリーズです。
『ハニオ日記Ⅱ 2018 -2019』より石田さんが代弁する「毛だらけの彼ら」の言葉は、読んでいるとニヤニヤが止まらなくなる面白さ。気まぐれでやんちゃな蜂蜜色のハニオ、面倒見が良い兄貴分のタビ、優しくて仔猫が大好きなゴールデンレトリバーの雪……とそれぞれの性格もはっきりしていて、動物たち同士のやり取りがまた、たまらなくかわいいのです。
命が最後に見せてくれる「この世界への賛美」
『ハニオ日記Ⅱ 2018 -2019』よりハニオとタビは、2016年の春、石田さんの友人である板谷由夏さんの撮影現場で保護された猫の兄弟です。生後一週間で親猫がいなくなってしまい、このままでは生きていけないと、板谷さんと石田さんに引き取られたのでした。
本書では運命的な出会いと同じように、動物たちと暮らすときに絶対に避けられないこと──彼らを見送る日のことも綴られています。『ハニオ日記Ⅰ』で深く印象に残ったのは、16年間石田さんと共に暮らし、石田さんの腕の中で旅立った“ビスク先輩”との別れでした。
「天に帰ることと生まれてくることは、きっと、神様の視点から見たら同じことだ」と石田さん。
人間のように過去や未来を案じて今を失うことなく、動物たちはいつでも「今、この瞬間」を生きている──。それは石田さん自身の生き方の軸となり、あの美しさ、凜とした佇まい、優しく強い存在感の源となっているように思えるのです。
愛おしい「毛だらけの彼ら」に感謝をこめて
本書に寄せたコメントで、石田さんはこう述べています。
この本は小さな小さな日々の記録の積み重ねによって形になりました。私を取り巻く全ての人と愛おしい「毛だらけの彼ら」たちに心からの感謝と愛をこめて。そしてこの本の印税を全て、保護犬、保護猫たちのために使うことを決めています。このことが、私がこの本を作る一番の動機でした。
コロナ禍もあり、2021年にかけてのこの5年間は、誰にとっても激動の日々だったのではないでしょうか。なんでもない日々、なんでもないことを宝物のように愛する石田さん。「ゆりごろう王国」の住人たちの毎日をたどりつつ、「この頃、私は……」と振り返ってみる時間も、自分にとって大切なものになる気がしています。
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[ハニオ日記]
写真提供/扶桑社