2021年10月22・23・24日に東京・六本木ヒルズ(ラウンジ49、カンファレンス7)で行われた「Femtech Fes!2021」。展示スペースにはフェムテックプロダクトがずらりと並び、市場のニーズも広がっていることがわかります。ワークショップもさまざまなテーマで行われました。今回は「デリケートゾーン モヤモヤ発散会!」のレポートをお届けします。
こちらのワークショップは「デリケートゾーンのケア」がテーマ。スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー 日本版コミュニティプロデューサーの井土亜梨沙さんをモデレーターに、タレントのIMALUさん、浜松町ハマサイトクリニックの産婦人科専門医、吉形玲美先生を迎えて、デリケートゾーンのケアがなぜ大切なのか、どうやってケアをすればいいのかなど、参加者の質問を交えながらトークセッションが行われました。
膣には必要な乳酸菌がある
この日たくさんの“モヤモヤ”に答えてくれた吉形玲美先生そもそも、なぜデリケートゾーンのケアが重要なのでしょうか。実は、膣の内部には「膣内フローラ」と呼ばれる細菌叢があり、その中で善玉菌は「ラクトバチルス乳酸菌」という種類の乳酸菌だけなのだのだそう。
「ラクトバチルス乳酸菌は発酵食品にも含まれている乳酸菌ですが、膣内にあるものは女性ホルモンと関連しています。膣内の雑菌を殺すだけでなく、免疫に働きかけたり炎症を抑えたり、がんの抑制作用にも関わっていると言われている、すごい乳酸菌なのです」(吉形先生)
膣は、このラクトバチルス乳酸菌によって守られているのですが、閉経を迎える50代になると女性ホルモンの量が減少するため、この善玉菌を作る力が弱くなってしまうのだそう。すると、膣炎や膀胱炎、性病、子宮頸がんなどのリスク増加にも影響すると言います。
「理想的な膣内とはラクトバチルス乳酸菌100%の状態。閉経を迎えた人はこの乳酸菌がどんどんなくなってしまうのですが、若い女性でもデリケートゾーンケアの仕方を間違っている人は、ラクトバチルス乳酸菌が欠乏してしまう恐れが。ですから、ケアの仕方はとても重要なのです」(吉形先生)
フェムケアに関心が高く、自身でも女性の身体にまつわる話題を毎週土曜日22時から「ハダカベヤ」をstand.fmで配信しているIMALUさんIMALUさんもその数字が気になる様子で、「自分のラクトバチルス乳酸菌のパーセンテージを調べることはできますか?」か、という質問が。吉形先生によると
「不妊治療を行っているクリニックなどで一部行われていますが、まだ高額の検査になります。フェムテック関連のプロダクトで簡易に調べられるものもありますが、膣内環境は健康に影響するため、今後は多くのクリニックで検査できるようになっていくと思います」
とのこと。参加者の皆さんも自分の膣内環境に意識を向けるきっかけになったようです。
ボディソープで洗うのは絶対にNG!
熱心にメモをとる来場者の皆さんでは、間違ったケアとはどのようなものでしょうか。模型を使って、大陰唇、小陰唇の場所を確認しながら、洗い方を習います。
「ボディソープで洗っている人がいたら、絶対にやめましょう。洗浄力が強すぎて、ラクトバチルス乳酸菌が流れてしまいます。おすすめは、デリケートゾーン専用のソープでやさしく洗うこと。炎症を起こしていたり乾燥しているとしみることもあるので、その場合はお湯でも構いません。ひだ(小陰唇)の間の溝も泡でやさしく洗いましょう」(吉形先生)
IMALUさんは「子どもの頃、髪の毛の洗い方は教えてもらうのに、デリケートゾーンの洗い方は習いませんよね。子どものうちからその重要性を教えてもらえるといいですね」とコメント。
そして吉形先生は「自分のデリケートゾーンを毎日見ることが大事」だといいます。 「お風呂に入った時に、椅子に座った状態で脚を開いて手鏡などで見るか、体が柔らかい人はそのままのぞきこんでも。大陰唇が乾燥していないか、粘膜に赤みはないか、ふっくらとしているかなど、毎日見ると肌と同じで状態の良し悪しがわかります。私は毎日チェックしていますよ」(吉形先生)
モデレーターの井土亜梨沙さん。和やかな進行に参加者も質問がしやすかったよう。毎日手鏡でチェック! これには参加者も驚いていたようですが、セルフメディケーションのひとつとして、大事なことなのです。さらに、お風呂上りはデリケートゾーン専用のクリームで保湿し、オイルもプラスするとよいと言います。
「ラクトバチルス乳酸菌が配合されたものがありますので、そういったものでケアすると保護だけでなくラクトバチルス乳酸菌の補充にもなっておすすめです。余ったらボディ全体に塗ってもいいですよ」(吉形先生)
みなさんも今日から、デリケートゾーンのケアを始めてみてはいかがでしょう。
[fermata]