1997年、交通事故で悲劇の死を遂げたウェールズ公妃ダイアナ。チャールズ皇太子と離婚した後も、英国人の心の女王として多くの人々から愛された彼女の物語が映画となりました。
『ヒトラー ~最期の12日間~』のオリヴァー・ヒルシュビーゲルが監督を手掛け、ナオミ・ワッツがダイアナを演じたこの映画『ダイアナ』で描かれるのは、36歳で亡くなったダイアナの最期の二年間。
全英国民から愛され注目を浴びるカリスマ的存在でありながら、カリスマであるがゆえの孤独を抱えた一人の女性の姿が描かれています。
プリンセスである前に一人の女性としてカリスマであっても、私たち普通の女性と同じようなことに喜び、悲しみ、苦しんだりしている彼女。
夫の浮気に怒り、愛する息子たちと自由に会えないことに苦しみます。やがて、愛する人と出会い、彼に愛されようと努力し、彼から与えられる愛に喜び、彼にふさわしい女性になろうと、自立し人道活動に精を出すようになります。そして、愛する人から愛されなくなってしまったことに苦しみ、別のスキャンダルを起こしてしまったりもするのです......。
この映画の中の彼女は、ただ優等生のセレブリティというだけではなく、人間的で泥臭く、ずる賢さや弱さを持った女性としても描かれています。そういう意味で、彼女は決して"模範的なプリンセス"ではなかったかもしれません。
しかし、プリンセスも私たちと変わらない36歳の一人の女性。そんな私たちと変わらない彼女の弱さを知り、彼女にこれまでにない親近感を抱いてしまいました。
この映画で、主演のナオミ・ワッツはダイアナそっくりのヘアメイクで、ダイアナになりきっています。彼女が着ているヴェルサーチのロイヤルブルーのドレスは、ダイアナが実際に身に着けたことのあるもの。
他にも、ジャック・アザグリーの黒のドレスなど、ダイアナの衣装が他にも登場します。ジミーチュウの靴、ショパールのジュエリーなど、女性の憧れのアイテムも多く登場するので、眼福を味わうことができます。
世間に翻弄された一人の女性の物語として、英国王室やセレブリティにあまり興味のない人にも、ぜひ観てほしい一作です。
『ダイアナ』(113分/イギリス/2013年)
原題:Diana
公開:2013年10月18日
配給:ギャガ
劇場:TOHOシネマズ有楽座ほか全国ロードショー
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
出演:ナオミ・ワッツ/ナヴィーン・アンドリュース/ダグラス・ホッジ/ジェラルディン・ジェイムズ/チャールズ・エドワーズ/キャス・アンヴァー/ジュリエット・スティーヴンソン
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(松村知恵美)