vol.1では「理想の肌を叶える、成分の賢い見分け方」について、vol.2では「オーガニック認証の見分け方」について、お伝えしました。
続いて伺ったのは「防腐剤と避けたい成分」について。かならず必要な防腐剤も、自然派にこだわることができるのでしょうか。引き続き、化粧品開発者でコスメ成分アドバイザーの尾崎幸子さんにお聞きしました。
自然由来の防腐剤を選ぼう自然派にこだわるなら、合成防腐剤でなく、自然由来成分のなかで防腐効果を持つものを採用している製品を選んだ方が良いと思います。
植物エキスで防腐剤としてよく使われるものは、カワラヨモギエキス、チョウジエキス、カミツレエキス、ローズマリーエキスなどになります。
防腐剤を全く不使用とうたっている商品は「細菌すら生きていけない程の栄養しか入っていない」とも判断が出来、美容効果としては正直「?」です。
また、石油由来を避けるという意味では、ヒノキチオール、エチルヘキセルグリセリン、エタノールなどのアルコール類も自然由来の合成物で、防腐効果があります。
ちなみに、水を使用していないオイルだけのものは細菌が繁殖しにくいので防腐剤は入れません。オイルは空気に触れると酸化(劣化)するため、酸化する前に使い切って下さい。(製品に開封後は○か月以内に使用して下さいと注意書きが書いてあります)
肌にとって栄養ある成分は、細菌にとっても栄養がある成分です。美容効果が高い製品で本当に防腐剤を何も使っていないのであれば、1回分ずつパッケージされているものか、アルカリ性の高い製品(肌には負荷が高い)になっています。
できるだけ避けたいNG成分安心成分にこだわるときに避けたい成分は、下記の通り。
(1)香料
香料と記載されているものは、ほぼ石油由来成分です。
成分表記の最後尾に記載されるケースがほとんどです。自然派コスメで無香料ですと、原料臭がするものもありますので、気になる人は、自然由来の香料(精油等)で香りを付けたものを選んで下さい。
(2)パラベン、メチルパラベン、エタノール、フェノキシエタノール
石油系防腐剤としてよく使われるものは、パラベン、メチルパラベンです。石油系ではないですが、刺激を感じる人が多く、避けたいと思う方が多いのはエタノール、フェノキシエタノールなど。
(3)シリコン(シリコーン、ジメチコン、アクリレーツクロスポリマー)
シリコンは化粧品にも多く使われています。代表的なのはシリコーン、ジメチコン、アクリレーツクロスポリマーなど。これらが成分表記の最初の方に記載されている場合は、使用の際に感じる感触がシリコンからきている可能性が高いです。気になる場合は、最初の方に記載されている製品を避けると良いでしょう。
(4)ワセリン、ミネラルオイル
ワセリン、ミネラルオイルは石油由来成分。
ミネラルと聞くとミネラルウォーターをイメージし、なんとなく自然由来のような気がしますが、これは石油由来成分です。ワセリンも同様です。ワセリンは医療現場でも使われますが、気になる方は避けるのが良いでしょう。
より安全な成分を選びたい時は、最新成分よりも昔からある成分を選ぶ方が、トラブルはより避けることが出来ます。トラブルが出ずに長期的に使われているという実績があるからです。
どれが自分の肌に合う成分、合わない成分を見極めるには、配合成分の種類が少ない製品を幾つか使い比べて、肌に合う製品に共通して入っている美容成分を探すと良いでしょう。
ちょっとしたコスメ成分の知識が、30代から美しさを大きく左右するのですね。20代の頃のように、オーガニックだからとか、なんか良さそうな成分とか、言葉だけで飛びつかず、自分の肌と目指す美しさに合う、大人の賢い選択をしたいと思います。
化粧品開発者/コスメ成分アドバイザー 尾崎幸子さん
文系の大学を卒業後、人材ビジネスに10年間従事するも、シャンプーのPRに関わったことを機に化粧品に興味を持ち、大手化粧品メーカーの開発などを手掛ける、化粧品開発コンサルタント・岩田宏氏に弟子入り。化学の基礎から化粧品処方までを学び、2013年11月、自ら開発したジェネリックコスメ「MUQ」を発売。自身が皮膚疾患を抱えていることもあり、身体に優しく、正しく機能する化粧品を現在も開発中。日々ビーカーを片手に実験に勤しみながら、客観的に正しいコスメ情報を発信すべく、「コスメ成分アドバイザー」としても活動中。
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(Ricky)