大人になると若いころよりもずっと、この世の理がわかるようになってきます。だからこそ年を重ねれば重ねるほど、だれかを育てる立場にたたされるのでしょうか......。

だれかを育てるといっても、ただ正しいことを言えばいいというわけでもありません。「正論はときに人を傷つける」ともいいます。以前ご紹介したように、相手にとって怖い立場になることも必要ではありますが、正論で押さえつけるわけにはいきません。では、どうすれば傷つけずに部下や後輩を育てられるのでしょうか? そのヒントが『世界一しあわせな国 ブータン人の幸福論』に書かれていました。

意見を言ったら、あとは任せる

もし、部下に何かしてほしいときには、「私はこう思います。でも、あなたに任せます」とあくまで部下の幸せを考えながら、指示します。

(『世界一しあわせな国 ブータン人の幸福論』136ページより)

この「任せる」という姿勢は、どこか子育てにも通じるようです。

子どもの「できる」を認めず、「できない」ままの存在として保護し続けることで、子どもの自立をさまたげてしまいます。

(『子どもの心のコーチング―一人で考え、一人でできる子の育て方』28ページより)

忍耐力や信頼するこころを鍛える絶好のチャンス

だれかを育てるときは、世の理がわかる経験豊富な人が命令し、すべてそのとおりにさせた方が効率もよく失敗も少ないように思えるけれど、相手にとっては「できない人」というレッテルを貼られただけで、成長できません。たとえ子どもであっても新人さんであっても相手を尊重し、ゆだねることも必要です。

じぶんを客観的にみていると、相手を信頼しているつもりでも口や手がつい出ていることに気づきます。人を育ててはじめてわかる忍耐力のなさ。そう考えると人を育てる立場にいるというのは、忍耐力や信頼するこころを鍛えてもらえる絶好のチャンスとも言えそうです。

[世界一しあわせな国 ブータン人の幸福論 , 子どもの心のコーチング―一人で考え、一人でできる子の育て方]

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