よく噛む人は病気になりにくい
「栄養学のカリスマ」山田豊文さんの著書『決め手は油! 頭がよくなる脳内デトックス』では、よく噛んで食べることにより分泌される唾液の働きを、以下のように「消・滑・溶・浄・湿」の5つの漢字に当てはめて説明しています。
消
唾液に含まれるプチアリン(唾液アミラーゼ)が、食物中のでんぷんを麦芽糖やデキストリンに分解します。なので胃腸での消化の負担が少なくなります。
滑
唾液が食べ物と混ざることで、食べ物の滑りがよくなって飲み込みやすくなり、食道の通りがよくなります。
溶
食べ物が細かく砕かれ、唾液と混ざって溶けることで本当の味覚を感じることができます。
浄
咀嚼により唾液に含まれるリゾチームという殺菌作用を持つ酵素が分泌され、口腔や体内が浄化されるため、「よく噛む人」は病気になりにくいといえます。
湿
唾液が口内の粘膜の湿度を保つため、細菌やウイルスが体内に侵入しにくくなります。
以上5つの働きに加え、よく噛むことは脳の発達にも通じると、山田さんは言います。なぜなら噛むことにより大脳が刺激され、脳の血液量が増加するからだとか。
また曹洞宗の僧である吉村昇洋さんの著書『心が疲れたらお粥を食べなさい。 豊かに食べ、丁寧に生きる禅の教え』にも、よく噛むことのメリットが挙げられています。
人間はよく味わおうとしたとき、食べ物が口の中に留まっている時間が長くなります。すると自然に咀嚼回数は増え、脳内の視床下部にある満腹中枢に働きかけて食欲を抑えるだけでなく、内臓脂肪の合成を阻害したり、基礎代謝を高めたりする機能を発揮するようになるのです。
(ここまで「心が疲れたらお粥を食べなさい。 豊かに食べ、丁寧に生きる禅の教え」P43より引用)
精進料理の食事作法でもある「しっかりと目の前の食事に意識を向け、静かによく味わう」という姿勢は、咀嚼回数が増えるポイントでもあるようです。
よく噛めば胃腸での消化の負担が少くなくなることは知っていましたが、それ以外にも病気になりにくい、食欲を抑えるなど、意外とたくさんのメリットがありました。ぜひこれからは「よく噛むこと」を毎食の習慣にしたいと思います。
[決め手は油! 頭がよくなる脳内デトックス, 心が疲れたらお粥を食べなさい。 豊かに食べ、丁寧に生きる禅の教え]
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