アメリカでは11月の第4木曜日に、感謝祭(Thanks Giving Day)が行われます。

感謝祭の由来は、イギリスからマサチューセッツ州のプリマス植民地に移住したピルグリム・ファーザーズの最初の収穫を記念する行事だと一般的に言われているようです。昔は教会で礼拝を行い、神に感謝を捧げる宗教的な意味合いが強かったようですが、現代の感謝祭では宗教的な意味合いはかなり弱くなっていて、親族や友人が集まる大規模な食事会、家族行事のひとつという感じです。

親族が皆集まって沢山のご馳走を作り、数日ゆっくりと過ごす感じは、日本でいうお正月に似ているところがあるなと思います。

当日は街中のお店もほとんど閉まってしまうため、数日前からスーパーは食材の大売り出しをし大繁盛。娘の幼稚園でも、親達がご馳走を持ち寄り、教室で一足早い感謝祭のパーティーが行われました。

昨年は特別なにもしなかったので、今年は友人達と一緒に本格的なご馳走にチャレンジしてみようということに。感謝祭のご馳走のメインは、ターキーの丸焼きです。そして、ターキーの中に詰めるスタッフィング、芽キャベツのロースト、人参のグラッセ、インゲンのグラタン、マッシュポテト、パンプキン・パイ、アップル・パイなど。夫の友人達は男性なのに料理上手な人が多く、ターキーとパンプキンのスープ、芽キャベツ、そしてコロッケまで作ってくれるというので、私はスタッフィングとパンプキン・パイにアップルパイ、クランベリ・ソースなどを担当することに。

ターキーは、チキンに比べて味が淡白で、食感がボソボソしがちなので、それをジュージーなものにするために、前日からハーブなどで風味を付けた塩水に浸けて仕込みます。そして当日、中身の内蔵を取ってきれいにしてから、スタッフィングをお腹に詰めて、ガーリック風味の溶かしバターを表面にきれいに塗ってから、オーブンで約3時間程じっくりと焼き上げます。

調べてみると、お腹に詰めるスタッフィングは最近、中には詰めずに別に作る事が多いよう。中までしっかりと火が通らないとサルネモラ菌などが繁殖する事があるからだそうです。別に作ったものはスタッフィングの他に、ドレッシング、とも言われています。グレービー・ソースは、ターキーの肉汁や野菜のブイヨン、ワインなどで煮詰めて作ります。

私の担当のクランベリー・ソースは、甘み抑えめのジャムのようなもので、甘酸っぱさがターキーや付け合わせのポテトなどに絶妙に合うので、大好きです。缶や瓶詰めなども売っているのですが、ちょうどこの季節だけ新鮮なクランベリーが売っているので作ってみました。

作り方はとても簡単で、クランベリーにオレンジの絞り汁とメープルシロップ、てん菜糖、そして赤ワインを少々、それを鍋に入れてコトコトと暫く煮込むだけです。火が通りだすとクランベリーがポンポンとはじけだすので、少し火を弱めて15分くらい、冷えるとドロッとしてくるので、ちょっとサラッとしている位で火を止め、瓶に移し替えて出来上がり。

アップルパイも今回、初めてだったのですが、パリに居た頃にガレット・デ・ロワというアーモンド・クリームが入ったパイを時々作っていたので、その中身にリンゴをてん菜糖とシナモン、バターで煮詰めたものも加えて作ってみました。ガレット・デ・ロワの時は生地に穴が開かないようにナイフで浅く模様を描くのですが、今回はリンゴも入っているので、空気が抜けるよう、真ん中に少し大きめの穴をあけ、葉っぱの模様も少し深めにナイフを入れて焼いてみました。これは大成功で、リンゴとアーモンドクリームの組み合わせがピッタリでした!

スタッフィングも色々な作り方や材料がありますが、今回は、コーンミールというトウモロコシで出来た粉でパンを焼いて、それに野菜や肉などを混ぜ、チキンストックでしっとりさせてから、オーブンで焼きます。スタフィングとパンプキンパイは、初めて作ったこともあって、今ひとつ上手く出来なかったかな......と思っていたのですが、翌日食べてみたら。凄く美味しくなっていてビックリ。先日に作って寝かせたほうが良い、とレシピで読んでいたのですが、忙しかったので全て当日の朝から作り始めたのでした。次回は、ちゃんと早めに仕込まなければ。

ところでターキーはとても大きいので余りがちです。こちらではサンドイッチなどにして、数日かけて食べ尽くすそう。我が家は、鶏がらや余った野菜などを煮込んでスープを取り、鴨南蛮ならぬ、ターキー南蛮を作りました。夫は十割蕎麦で、娘は蕎麦が食べられないので、一緒にうどんを打ちました。やはり翌日は、和食がホッとするものです。それから、感謝祭の後はやはり食べ過ぎる人が多いからか、ニュースではエクササイズとデトックスの特集が目につきました。これも何となく日本のお正月に似ているところですね。

感謝祭が終わると、もう師走。感謝祭が終わった翌日から、NYの街中は本格的にクリスマスの飾り付けでキラキラと美しくなっていきます。去年のクリスマスは日本で過ごしたのですが、今年はNYに居る予定なので、またアメリカ流のご馳走にチャレンジでもして見ようかなと思っています。そしてお正月にはお節を。年末はキッチンでの時間を思う存分堪能できて、忙しいけれどとても楽しい季節です。

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