喫茶、カフェ本の第一人者として知られる木村衣有子さんが、このたび注目したのは「コーヒーゼリー」。関東・関西のコーヒーゼリーのおいしいお店を厳選し、紹介した書き下ろし本、『コーヒーゼリーの時間』(木村衣有子・著/産業編集センター)を発表しました。
ページをめくると、次々といろいろな種類のコーヒーゼリーがあらわれます。昭和感あるコーヒーゼリーはもちろん、パフェのようなものだったり、ホイップクリーム、アイスクリームといったトッピングが豪華だったりと、どれも個性があり、どれも見た目が美しい。凛とした佇まいです。
カテゴリーも「ゼリー専門店のコーヒーゼリー」、「コーヒー店の、焙煎からはじまるゼリー」、「喫茶店のコーヒーゼリー」、「洋菓子店のコーヒーゼリ」と、コーヒーゼリーとひとことでいっても種類はいろいろ。
店主へのインタビューにより、コーヒー豆の仕入れ、コーヒーの固め方、合わせる乳製品へのこだわりまで触れられているので、コーヒーゼリーへの愛情をたっぷりと感じることができます。
「コーヒーゼリー」で喫茶店巡りをそのなかでも興味を持ったのは、千駄ヶ谷にある「Tas Yard」の「珈琲ゼリー」。ガラス製ではなく、厚みのある陶器で出されるので、一見するとコーヒーゼリーとはわかりません。生クリームが表面を覆い、中央にはホイップクリームが添えられています。シロップで甘さを調整しながら、カレーライスのようにすくいながら食べたくなりました。
コーヒーゼリーを通年出しているお店もありますが、夏季限定のお店もあるので、やっぱり暑い夏に食べたい。心も身体もクールダウンできると同時にどこか懐かしい気分を味わえたり、子どもの頃に憧れたコーヒーゼリーを大人になった今、優雅に食べている! という気分にも浸れそう。この夏は、「コーヒーゼリーを食べに行く」という目的で喫茶店巡りをしたくなりました。
coffee-jelly by thinkstock