• このエントリーをはてなブックマークに追加
【ブランドインタビュー】フィンランドで生まれた、陽だまりみたいなブランケット
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

【ブランドインタビュー】フィンランドで生まれた、陽だまりみたいなブランケット

2015-10-29 00:00
    ふんわりと軽くて温かい、まるで冬の陽だまりのような温もりのウールのブランケット。さらさらと心地よく、使うほど肌になじみ愛おしさが増すリネンのタオル。

    可愛らしさと洗練がちょうどいいバランスの色使いとデザインで、世界中でファンを増やし続けるフィンランドのテキスタイルメーカー「ラプアン カンクリ」。かくいう私もファンの1人で、届いたばかりのポケットショールに包まれながら、ぬくぬくとこの原稿を書いています。

    あのテキスタイルはどのように生まれた?

    こんな素敵なテキスタイルを作るのは、いったいどんな人? そう思っていた矢先、来日中のオーナー夫妻にお話を伺う機会に恵まれました。おふたりに、小さな町で生まれたテキスタイルブランドの成り立ちや、ものづくりにおいて大切にしていることなどについて聞いてみたいと思います。

    「ラプアン カンクリ」のオーナー夫妻、エスコさん(右)とヤーナさん(左)。とても朗らかで親しみにあふれたお2人。 フィンランドの小さな町・ラプアで創業した「ラプアン カンクリ」。どんな背景から生まれたブランドなのか、教えてください。

    エスコさん:ラプアは昔から小さな工場がたくさんあって、手仕事が盛んな町。今から100年ほど前、まだ一般の家庭で毛糸や麻が作られていた時代に、私の曽祖父が自分の紡いだ毛糸と廃材でフェルトブーツを生産し始めたのが始まりでした。それ以来、私たち家族は常にテキスタイルを作ることに携わり、1973年に父が「ラプアン カンクリ」を立ち上げます。私が受け継いだのは、20年ほど前のこと。

    はじめはウールだけ、とくにジャカード織の製品を手がけていて、私の代で新しいジャンルを開拓したいと考え、90年代にリネン製品を手がけるようになりました。フィンランド式の蒸し暑いサウナで使う製品の素材として、リネンは本当にパーフェクトなのですが、それまでは厚手のゴワゴワしたものしかなくて。使い心地のいい製品を作ればそこに新しい風を吹き込むことができる、サウナを体験できない他国の人たちにもその雰囲気を楽しんでもらえる。そう考えたことがきっかけでした。今ではリネン製品も定着して、日本のフィンランド大使館のサウナで使われているのも私たちの製品なんですよ。

    毎冬大人気の、使い勝手のいいポケットショール。手頃な価格でプレゼントにもおすすめ。マリア ポケットショール 60×170cm ¥9,500 ものつくりにおいて、大切なこと ウールなのに、とても軽やか。リネンなのに、とても柔らか。素材のもつこれまでのイメージを、良い意味で覆す「ラプアン カンクリ」の製品たち。どんなことを大切にものつくりに取り組んでいるのでしょうか。

    エスコさん:まずは、素材や製品作りについての知識がとても大切だと考えています。例えば、ウールというのはとてもやっかいな素材なのですが、その特徴をよく知ることで、初めてどの製品にどの毛が適切か、どんな織り方が適切かを選ぶことができます。100年の歴史と、その間長く携わった軍用ブランケットの生産から得た知識と経験、そんなノウハウの蓄積を私たちはもっているんです。

    ヤーナさん:それに加えて素材選び、デザイン、織り方、そして私たちの製品を扱ってくださる代理店の方からのフィードバックもとても大切。使ってくださる方にできるだけよい商品を届けられるよう、努めています。

    エスコさん:上質な素材を手にいれることに関しては、「マスターズ オブ リネン」という称号とその組織に非常に助けられています。私たちは従業員約20名という小さな会社ですから、生産や紡績の工程すべてを把握することはできません。リネンにおいてその部分を補ってくれるのが「マスターズ オブ リネン」で、厳しい基準をパスした高品質なヨーロッパリネンだけに与えられる称号であり、生産者から紡績工場までリネンに関わる様々な方がメンバーになっていて、ここに属している企業とならパートナーを組んでも大丈夫、という指針でもあります。生産から販売までが1つのきれいなチェーンのように繋がっていることがすごく大事で、ここに属す人たちがそれぞれの工程に目を光らせてくれているから、安心して上質な素材を手に入れることができるんです。

    ヤーナさん:フランスやベルギーの畑でのびのびと育った麻を、必要な部分だけでなく、繊維を丸ごと買い付けていることも特徴です。製品にはリネンという原料のベストな部分だけを使うのですが、それ以外を捨ててしまっては農家の方々は成り立ちません。ですから繊維を丸ごと買い、不要な部分は壁の断熱材にしたりオイルを採ったり、徹底的に使い尽くすんです。私たちが成功するためには、生産者である農家の方々にも成功していただく必要がありますから。

    北欧らしく、透明感のある色合いが美しいリネン製キッチンタオルナプキン。バリエーション豊富な色柄も魅力。 涼しげだけど、温かみを感じるリネン 「ラプアン カンクリ」のリネン製品はさらっとしているだけでなく、やわらかく、そして温かみも感じます。

    ヤーナさん:私たちの製品をひとことで表現するなら、「呼吸をしている糸」なのだと思います。湿気を中に吸い込んだり、空気をたくさん含んだり。だから表面はいつもさらっとしていて、夏ならば涼しく、冬には温もりを感じていただける。また、やわらかいということは一般的に化学的な処理をしていることと同義と思われがちですが、私たちの製品はそれをせずやわらかさを実現しています。

    エスコさん:残念ながら、リネン製品の中には化学薬品によって処理をしているものが見受けられます。私たちは、そういったものは極力ミニマムにするようにしていて、できれば使わないように努めています。

    工場の1シーン。製品や素材に応じて、織機を細やかにコントロールしています。

    夏には涼しげで、冬は包み込むような温かさ。「呼吸をしている糸」というのは、「ラプアン カンクリ」のプロダクトを的確に表現する言葉だと感じました。次回は、フィンランドの暮らしについて伺いたいと思います。

    問い合わせ:ビオトープ 03-6447-0581

    [ラプアン カンクリ]

    RSSブログ情報:http://www.mylohas.net/2015/10/050000Lapuan_Kankurit.html
    コメントを書く
    コメントをするにはログインして下さい。