フランスでは女性からのアプローチは当たり前
「年に1回しか告白しちゃいけないの?!」「しかも返事は1か月先!?」「なんでそんなに時間がかかるの?日本の男!」といったもの。
また、ホワイトデーのお返しはマシュマロになっている(当時)という点には、憤慨する女友だちが多く、「チョコの方が絶対いいじゃん、不公平だわ」と散々な意見。逆に男友だちには、「僕ちょっと、日本に行ってこようかなぁ」と思案し始める人も。
最終的には「日本って、本当、不思議の国だねぇ」で終わってしまいましたが、フランス女性にとっては、女性からの愛の告白が日本と比べて稀ではないことと関係しているのでしょう。
実際、Le Parisienの記事に掲載された、最近TNS Sofres社が18~65歳の9251人の独身ヨーロッパ人を対象に行ったアンケート調査によれば、この傾向はいまも変わらず、むしろ若年層の方が強くなっているそうです。
というのも、女性からデートの誘いを受けたことがあるフランス男性は59%に上り、この数字は、35歳以下ではさらに高いとか。
微笑ましい? 人前での愛情表現
また、同誌の別記事によれば、2月には人前での愛情表現について、別のアンケート調査が発表されています。ヨーロッパ成人6000人を対象行ったこの調査によると、「人前での愛情表現に何の躊躇もない」と答えたヨーロッパ人は87%。フランス人は平均よりやや多く88%という結果でした。
日本でも、以前と比べれば人前での愛情表現に抵抗のない人が増えたようですが、それでもヨーロッパと比べると控えめなようです。それはそれで日本らしく奥ゆかしくて良いと思うのですが、このアンケート調査を読んで、じつはもっと本質的な違いは、「見る側」にあるのかもしれないと、思い至りました。
というのも、同アンケートによれば、他人のラブシーンに居合わせると気恥ずかしい思いをすると答えた人はヨーロッパ平均で21%。ドイツ人に至ってはたったの15%。ちなみに、フランス人も18%と平均を下げています。
たしかに、駅のプラットホームなどで激しく抱擁する男女がいても、気にするそぶりのフランス人はほとんどいません。まわりがなんとも思わないのですから、本人たちも人目を気にする必要がないのでしょう。
では、なぜ気にする人が少ないのか? これは、もちろん、フランスの個人主義とも無関係ではないでしょうが、「いつも恋してるフランス人に学ぶ、パートナーとよい関係を築く秘訣」で触れたように、フランスが世代を問わず、恋愛そのものをポジティブに捉える社会であることと深く関係しているように思います。
それと関連して、最後にこれも20年くらい前の話を披露しておきましょう。当時学生だった男友だちに、「公共の場でのああいうラブシーン、どう思う?」と尋ねたときのこと。返ってきたのは、意外にも「そりゃぁ、微笑ましいよね」という、年に似合わぬ老成したコメントで、ああ、若くてもフランス人なんだなぁと、いたく感心したものです。
何しろ、84%の人が恋愛に重きを置くというフランス社会。年に1度しかないオフィシャル告白デーや、1か月待たされての返事にブーイングが出たのも当然のことであったと、思い返したりしています。
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