私が自分の体型を気にし始めたのは、中学3年生の時でした。
受験勉強によるストレスと部活の引退が重なり、体重は一気に5キロほど増え、156センチで54キロになりました。
体重と身長の関係から肥満度を示す体格指数(BMI)からすると、私の体格はいたって標準的でしたが、それでも5キロも体重が増えると、スタイルは別人と思えるほど変わってしまい、自分の体型を気にするようになりました。
しかし毎日遅くまで必死に勉強をしていると、つい間食が増えてしまうものです。
結局、私の体重が減ることはありませんでした。
無事希望する高校に合格し、翌年からは華の女子高生生活が始まりました。
女子高生の制服姿といえば、ミニスカートにハイソックスです。
憧れていた制服を初めて身にまとったとき、理想と現実のギャップに驚きました。
私の理想は、アニメのキャラクターのような細い足。
しかし現実は、下半身太りの極太足。
そして、その日をきっかけに、私のダイエット生活が始まりました。
ダイエット、と言って最初に思い浮かんだものは運動でした。暇さえあれば体を動かす。
なんだ、意外と楽しいものだ!と思ったのも束の間、体を動かすことによってお腹が空き、間食が増えるという悪循環が始まりました。
結局、運動で体重が減ることはありませんでした。
次に私が始めたのは、「食べない」ダイエット。
いわゆる炭水化物などを食べず、食物繊維がたっぷり含まれる野菜などを中心に食べる食事療法です。
しかし、これも食べ盛りの女の子にとっては過酷な話で、3日ほどでギブアップしてしまいました。
恐怖の摂食障害の始まり
そんなある日ふとテレビをつけると、芸能人が摂食障害の体験談を話していました。
その芸能人は、過食嘔吐を10年以上繰り返していましたが、精神科への通院をきっかけに摂食障害を克服していました。
しかしこの番組との出会いが、私をその先10年近く苦しめることになる摂食障害の始まりだとは、この時は思ってもいませんでした。
恐ろしいことにこんな病気があるとも知らず、この病気の怖さも知らなかった私の頭には「食べたら吐けばいい」という情報だけが残ってしまったのです。
ちょうど食事を終えたばかりだった私は、ひとまずトイレに行き、手の指を喉の奥の方まで突っ込んでみることにしました。 「おえっ……」という声とともに、何かこみ上げてくるものを感じましたが、それまでほとんど嘔吐経験がなかった私にはその感覚がどういう状態なのか、イマイチ分かりませんでした。
しかし、その行為を3回ほど続けると、先ほど食べたばかりの食事が嘔吐物として出てきたではありませんか。
そしてこれを5回ほど繰り返すと、胃の中が空っぽになったのか、嘔吐物がなくなり、なぜかスッキリした感覚が残りました。
これが過食嘔吐の始まりでした。
「好きなだけ食べて、吐けばいい。そうすれば、食べていないことと同じ。これで体重も増えることはないだろう」
そういう結論に達した私は、それから毎回ご飯をきっちり食べ、食べ終わったらトイレに行って吐き出すという行為を繰り返したのです。
しかし、この考えには誤算がありました。
やはり、食べたものを吐き出しているので、ある程度時間が経つとお腹が空くのです。
それがちょうど、夜寝る前の時間と重なりました。今度は空腹によって眠ることができなくなったのです。
そこで私は、両親が寝静まった夜中の0時過ぎに台所へ行き、炊飯器に残っていた白いご飯を食べたり、買い置きしてあるおやつをこっそり食べたりするようになりました。
そしてもちろん、食べ終わった後は嘔吐を繰り返すのです。
そんなこんなで、私の体重は増えることはありませんでしたが、減ることもありませんでした。