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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「現代日本のクリエイティブの中心は「なろう系」にあり?!」
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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「現代日本のクリエイティブの中心は「なろう系」にあり?!」

2017-09-18 07:00

    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/09/18

    おはよう! 岡田斗司夫です。

    今回は、2017/09/10配信「へたれ異世界転生ものアニメの魅力を語り倒す!」の内容をご紹介します。
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    2017/09/10の内容一覧

    現代の異世界モノは「なんでもあり」になっている

     というわけで、『異世界はスマートフォンとともに。』のようなアニメの源流になってるのが、「小説家になろう」というサイトをはじめとする、小説投稿サイトですね。
     これ、先週もちょっと話したんですけども、僕、このなろうサイトを最近よく見てるんですよ。もう、自分でも投稿しようかと思ってるくらい。

     ただね、僕が思いつくようなアイデアの小説は、すべて、すでに存在してるんですよ。
     例えば、「異世界に転生したら、そこでは医療が遅れていて、自分はブラックジャックだったらどうなるだろうか?」って思って、「異世界 ブラックジャック」で検索したら、もういきなり『異世界医療は専門外です』っていう小説がヒットしました。「29歳の呼吸器内科医・渡瀬浩三は、救急当直中に病院ごと異世界に転移してしまう。そこはささいな怪我や軽い病気でも死に至らりうる、医療が未だに未発達な世界だった。現代医療の知識と経験を駆使して、異世界に革命を起こす!?」っていうやつが。「あるんだ!」って思ったんですよね。

     もう、今、異世界モノって、一周まわって「なんですもアリ」なんですよ。「ごく普通のことを異世界でやったらメチャクチャ面白い」っていう感じになってるんです。

    (中略)

     さっき、「異世界ブラックジャック」って言ったんですけども、「じゃあ、僕も「なろうサイト」に異世界モノの小説というのを書いてみようかな?」って思ったようなものは、もうほとんど誰かが書いてるんですね。
     「「異世界テーマパーク」を書こうかな?」って思ったら、そんな話はすぐに見つかった。「じゃあ、「異世界書店」ないだろ?」と思ったら、異世界書店もちゃんとある。「だったら「異世界キャバクラ」は?」って思って探したら、やっぱりちゃんとあったんですよ。
     もう、本当にね、なろうみたいな投稿サイトはすごいですよ。「異世界映画館」もちゃんとあるし。

     「まさか、「異世界コミケ」はないだろう」と思って探したら、pixivにちゃんと漫画があったんですよね。

    (中略)

     ひょんなことからファンタジー世界に転生してしまったコミケ帰りの男というのが、この世界の魔法を学ぼうとするんだけど、魔法1つ覚えるのにも苦労して、こんなことを考えます。「魔法というのは個人個人で教え方が全然違うからややこしい。この世界での問題は、「魔法習得までのインフラが未整備なこと」だ」と。
     そこで、主人公は多くの魔法使いに声をかけ、1つの案を提示する。「みなさんの知っている魔法を本にして、みんなに見てもらいませんか?」と。唯一、「何かをコピーする」という魔法だけは使えた主人公は、印刷屋として働いて、魔法専門の同人誌オンリーのコミケが開かれるようになった、という話で。
     「その会場には、コミケと同じように、人気の魔法使いがいたり」という。これ、pixivで無料で読めるんですけども、もうね異世界コミケですらもあってしまうんですよ。

     これ、どういうことかというと、「日本のクリエイティブの中心」というのが、昔は「コミケだ」とか言われてたりしたんですけど、もう、間違いなく「小説家になろう」サイトとか、pixivに移っているってことなんですね。これらのコンテンツ投稿系のサイトが日本のクリエイティブの最もベースになっているんです。
     もちろん、「最底辺」とも言えるんですけども、この底辺があまりに広くて、豊かで分厚いので、その上に積み上がっていくコンテンツっていうのは、たぶん5年後、10年後くらいには、ものすごいことになってるはず。

     「ものすごいこと」っていうのは、僕らみたいな「受け取る側」にとっては、「すごく良いものが、ほぼ無料で見れるようになる」ということなですけども。
     中途半端なプロの人……つまり、「95%のプロの人」にとっては、そうではない。pixivみたいな場所で毎日公開される、さっきみたいなゆるい絵で描いた漫画とか、なろうサイトに投稿される小説と戦わなければいけなくなるわけですね。
     さっきの『マリー・アントワネットの料理人』は、月刊か隔月かの雑誌に掲載されていたんですけども、プロというのは、「練り込んだ話」を、それくらいのペースで1話ずつ提供するんですけども。
     pixivにしても、なろうサイトにしても、その週、ある作品が盛り上がったら、あっという間に同じような話がワーッと出て来て、そのバリエーション作品みたいなものに埋め尽くされる。まるで、飢えたイナゴの群れが通った畑には何も残らないように、例えば「ファンタジーモノ」みたいな流行りのジャンルが、あっという間に消費されつくしてしまう。

     そういうわけで、プロにとっては「本当にやりにくい時代」になるし、アマチュアにとっては「天国なのか地獄なのかわからない」んですけども。間違いなく言えるのは、僕ら受け取る側にとっては「すごい良い時代」になるはずなんですね。
     ただし、それは同時に「同じようなものがひたすらどんどん現れる」ということでもあります。
     例えば、『異世界はスマートフォンとともに。』は……そんなに流行ってないと思うんですけども、もしこれが流行った場合、スマートフォンみたいなワンアイテムを持って異世界へ転生する作品が、ワーッと出てくることになる。今は「異世界チート」が流行りですけど、そういったブームが変わってしまうと、それと同じようなものばっかりが偏って多く発表されるような時代になっちゃう。
     僕らはそれを「無料だから」見るようになって、有料のものは、だんだんと見なくなる。
     自分でそれを書こうと思ったら、ほんのちょっとアレンジしただけで、もうオリジナルだと言い張れるし、先生と言って貰えるんで、どんどん書く……という、すごい時代に来てるなと思います。

    (続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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