岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/08/31
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2018/07/29配信「アニメ界 夏の重大ニュース!『進撃の巨人』『この世界の片隅に』『未来のミライ』『シン・エヴァ』……」の内容をご紹介します。
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2018/07/29の内容一覧
- 本日のお品書き
- 世界の村上隆と150万円のディスカバリー号
- アニメ版『バナナフィッシュ』が失ったもの
- 『未来のミライ』は「高級な『クレヨンしんちゃん』」
- さらに10分延長されることになった『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』
- 『シン・エヴァンゲリオン』が行き着く先は『火の鳥』?
- NHKの「10分でわかる進撃の巨人」がすごい
- 『こち亀』のGIジョー解説と『ガルパン』最終章
- 『バナナフィッシュ』と『約束のネバーランド』の類似点
- 『未来のミライ』賛否両論の原因は細田監督が「作家主義」に舵を切ったから
- 『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は、さらにとんでもない作品になる!
- 『シン・エヴァンゲリオン』と、庵野秀明の終わらない青春地獄
- 『進撃の巨人』シーズン3ほど出来の良いオープニングは見たことがない
『シン・エヴァンゲリオン』が行き着く先は『火の鳥』?
『シン・エヴァンゲリオン』の予告編を、この間公開したものと、6年前に公開したものの両方を見てみたんですよ。
『エヴァンゲリオン新劇場版:Q』を久しぶりに見たら、ラストにちゃんと予告編が付いてたんですよね。その予告っていうのは「軽快な戦闘シーン」なんですよ。いつもの音楽をバックに、軽快な戦闘シーンを見せて「サービス、サービスぅ!」って言ってるんです。「ああ、これがもう6年前なのか」って思ったんですけど。
で、『未来のミライ』を見たら、『シン・エヴァンゲリオン』の最新版の予告編が付いてるじゃないですか。「6年掛かりの新しい予告編はどんなものなのか?」って思いながら見たら、やっぱり、新型のエヴァンゲリオンが軽快に銃を撃ってる映像で。前回、これについて、僕は「しょーもない」って言ったんですけど、まあ、今でもそう思います(笑)。何かがすごいわけではないんですけど、とりあえず軽快。
「だけど、エヴァの新作を、そんなに軽快なアニメに出来るのか?」っていうのが、僕、疑問なんですよ。
6年前の『新劇場版:Q』の終わり方を、みんなも覚えていると思うんですけど。
シンジ、アスカ、レイの「三バカトリオ」が、「これからどうしたらいいんだろう?」ということで、ヒッチハイクみたいに、タラタラと歩き出すというところで終わっているんです。
もう、人類も滅びちゃって。一応、「ネルフ」と、反ネルフ組織の「ヴィレ」というのが居るんですけど、地球上にはそれしかいないんですよ。そんな虚しい中で、これから3人で誰もいない砂漠みたいなところをヒッチハイクするような終わり方。
歩きだす目的も「ファイナルインパクトを防ぐ」ということなんですけど。ファーストインパクトから始まって、セカンドインパクト、サードインパクト、フォースインパクトだのと言っていて、「インパクト、いくつあるんだ?」と思ったら、さらにファイナルインパクトって。
「もう、今後どうなるんだろう?」って思ってたんですけど。
この「どうなるんだろうな?」について、僕が考える「なんとなくこうなんじゃないかな」というのを紹介してみます。
手塚治虫の『火の鳥』という漫画があります。
『2001年宇宙の旅』より更に昔の1967年に、『COM』という雑誌に連載されていた漫画なんですけど。
(パネルを見せる)
これは、その『火の鳥』の未来編です。
主人公のマコトは、世界が滅びる核戦争の後、火の鳥から呪いを受けて「死ねない身体」になってしまいます。死ねないまま、ずーっと永遠に生きていなければいけなくなったんですよね。
例えば、彼は自分の他に1人だけ、生きている人間を見つけるんですよ。1人だけ、冷凍睡眠をしている人を。
この人は5千年後に目覚めるということを知ったマコトは、「あなたはどんな人なんだろう?」とか、「本当に生きててくれるんだろうか?」と思いながら、5千年間を待つんです。肉体だけは段々と老化していきながら。
で、5千年が経った。だけど、この人は起きてくれない。最終的に、レーザードリルを持ってきて「これで開けるよ!」と言ってガコンと開けたら「しまった。粉々に砕けている」と。開け方が悪かったのか、もう既に、冷凍睡眠装置の中で死んでいたのかはわからないんですけど。
なんか、この辺の雰囲気と同じ「におい」というのが、『エヴァ』からも強く感じるんですよね。
というのも、この『火の鳥』という作品は、朝日ソノラマから創刊された「漫画少年」という雑誌で1967年に描かれたんですけど。僕や庵野監督が高校生や大学だった、いわば青春時代である1980年代、この『火の鳥』の単行本が次々と刊行されたんです。それを読んだ僕たちは「もう10年以上前に、こんなスゴい漫画があったんだ!」って、ものすごい影響を受けたんですよ。
だから、きっとこの辺りから影響があるんじゃないかと思うんですけど。
『火の鳥』未来編では、この後、マコトは数万年間一人ぼっちなんですよ。寂しくて寂しくて、ロボットを作ります。
(パネルを見せる)
マコトは女の子のロボットを作るんですけど、なんか、思った通りに動いてくれないんですよね。そればかりか、創造主である自分のことを「シワシワのじいさんで変だ」なんて言うので、頭にきて、ついに殺してしまうんです。
女の子のロボットを殺したマコトは、「どうしてワシは、ちゃんとロボットを作れないんだろう」と言うんですけど。そう呟いた彼の隣には、同じような女の子のロボットの死体が、山のように転がっているんですよ。
この辺が綾波レイの元ネタの1つだというふうに思っているんですけど。
思うに、ここら辺が『シン・エヴァンゲリオン』で考えている落とし方なんじゃないかなと思うんですよね。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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