4月末は「日銀による何らかの政策発動があるだろう」との期待とは裏腹に・・・何もありませんでした。
 加えて薄商いの連休中を狙われ、ここぞとばかりに円が買われ、先物が売られ一時280円高まで買われていた日経平均株価は一気に630円安まで売りこまれるなど、一日の値幅で900円以上も乱高下しました。
 日銀が何もしなかったからとの市場コメントが多く見られましたが、誰もが日銀頼りになっている怖さがあります。日銀は株式市場を支えるために仕事をしている訳ではないのですが。


 特に何かが起こった訳でもないのに毎度の乱高下では、とても中長期の資産運用の場にはなり得ません。


 理由は明確で、市場参加者が少ないため投機筋の独壇場になり易いことから乱高下してしまう訳ですが、そもそもの原因は国内株式市場に魅力が無いからで す。つまりリスクの割にリターンが見込み辛い(投資家側の分が悪い)市場である故に投資家が増えないという構造問題を抱えているからです。

 最近のセブンアイやセコムのトップ交代劇では幾らか変化の芽を感じられるようにはなりましたが、まだまだ一部に留まります。
 アベノミクス以来の活況相場の中でこの(投資家デメリットなど)課題がより表面化してきていると考えます。当たり前の事ですが、PBRが1倍以下でROEを数%のまま放置させるような市場では、投資家はリスクを取ろうという気持ちになりません。


 国内債券市場では稼げず、株式市場での投資も難しく、不動産投資にしてもここからはチキンレースになる懸念があり、いよいよ国内には運用の場が無くなりつつあります。


 結果として海外投資に踏み出さざるを得ないのでしょう。

 今年度の生損保の海外投資は5兆円を超えるようです。これら国内金融機関は既に超長期債投資も相当増やしており、金融業者は円リスクだけでは事業収益の目処が立たなくなり必然的に海外リスクを取らざるを得なくなってくるはずです。

 今は円高への揺り戻し懸念が話題となっていますが、中長期で見れば、貿易収支は改善しつつあるものの以前のような大幅出超の姿には戻らず経常収支黒字は徐々に圧縮され、将来的にはじわりと円売りが進むものと思われます。


 構造改革や規制緩和が進まず、成長どころか衰退していく国から資金が逃避するのは歴史の必然です。政府は2020年に来日観光客4,000万人とブチ上げましたが、裏を返せばそれほど円安が進むと見込んでいるとも解釈できます。


 金融機関の投資としてストレートに内外金利差を取りに行くのか?それとも見栄えを気にしてデリバティブを絡めた取引を増やすのか?いずれにしても中堅以 下の金融機関には高度な金融ノウハウがありませんから、無理をすれば、いずれは住専の二の舞か?またはLTCMやサブプライム・バブル崩壊時の様相となる 懸念も生まれます。


 2007年の春に不動産業者が言っていた「日本の不動産はまだまだ安いようで、NYやロンドンではマイナス利回りの物件が出ているそうです!」と。
 つまり利回り度外視の貸出しになっていたという事で、振り返ればその時がバブルのピークでした。


 恐らく日銀の異次元緩和は止めることが出来ず、行き着くところまで行かざるを得ないと感じます。ここ数年内のことでは無いと思いますが、いずれは持ち堪えられなくなるはずです。いつの日か利回り度外視の投資が出てくるようなら気を付けねばいけません。


 これからどのような方法で自身の資産を、そして生活を守れば良いのか?
 その答えの一つが海外資産への分散投資と、海外の仕事を得る(収入を得る)術を持っておくこと・・・でしょうか。


(街のコンサルタント)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)