企業には無形の資産があります。その代表的なものはブランドです。名前を聞いただけでその企業がどのような事業を営んでいるか、またどのような優れた製品を販売しているかがわかれば、その会社はブランド力があると言えます。

 そうした無形資産への評価が高まれば結果として、株式市場での時価総額の拡大につながることになります。

 企業は単に利益を上げるための活動をしているだけの存在ではなく、自社のブランドを世の中や市場に知らしめる活動をしていると言っても良いでしょう。株式市場においては時価総額(発行済み株式数×株価)がランキングされ投資家のベンチマークにもなっています。

 いつの間にか日本の株式市場は海外投資家の売買が多数を占めるに至っています。安定志向の日本人にとって株式市場は些か敷居の高い存在であり、それを補 うどころか主体性をもってリードする外国人投資家の選定は利益成長もさることながら結果として長期的に事業を営めるだけのブランド力を評価したものとなっ ているように感じられます。


 日本人にとってもなじみのあるトヨタ、ソニー、ホンダ、パナソニック、キヤノン、といった世界の投資家がポートフォリオに組み入れたいと思うような象徴 的なブランド企業が、いくつも存在するからこそ日本の株式市場(東証1部)の時価総額が500兆円にもなっている訳ですが、利益面以外の無形資産を評価す れば本来はもっと時価総額は大きくて良いという結論にもなるかも知れません。


 ブリグジットショック後の日本株の上昇がどこまで見られるのかは世界経済の回復と世界で活躍する新たなブランド企業の登場が不可欠です。そうした視点で新興市場に新たに登場したグローバル指向企業のブランド力構築に対しての活動に注目したいと思います。

 株式相場は山あり谷ありですが、谷から山に向かうためには、象徴的な活躍企業が存在しないとなりません。継続的な成長の原動力を備えたブランド力のある 企業の株価低迷時に注目し改めての評価をする投資家のしたたかな投資戦略が日本株にとって復活の契機になるのかも知れません。


 同じ100億円の経常利益を生む企業への評価がかたや500億円にしか過ぎない企業があるかと思えば、2000億円に評価される場合もあります。東証1 部銘柄であれば経常利益の10倍程度が評価の平均値なのかも知れませんが、前者はプレミアムがついていない企業で通常の投資家の目からすれば割安感が感じ られのかも知れません。
 一方で2000億円の時価総額で評価されていれば平均に比べがプレミアムがついているということができます。


 東証1部銘柄の平均予想PERは14倍程度となっており、これは税率にもよるが、経常利益に対して当期利益が7掛けの水準とすれば、経常利益の10倍程 度の評価がなされていることになります。平均よりも高い場合はその多くはブランドや商標権、特許、製品開発力など無形資産への評価が高く評価されている証 であり、これによってプレミアムがついて評価されていると言うことができます。
 仮に円高で収益力が低下したとしてもグローバルな視点で活躍する日本企業の持つ無形資産(とりわけ技術力)への評価が高まれば世界の国際分散投資を実行する国際的な投資家は積極的に評価を始めるものと期待されます。


(炎)


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