リーマンショックから8年を経過した日本経済。アベノミクスによる景気回復は道半ばとは言え、着実に進展中ですが、目標となるデフレ克服には至らず円安から円高への反転が先行きの日本経済への不安感を醸成しています。
先行きへの不安感から日本のGDPの6割を占める個人消費が元気がなく、おまけに企業の設備投資も伸び悩みという状況下、政府の次の一手が期待されています。民間企業の投資は減価償却の範囲内に留まり、成長資金が設備投資や研究開発投資に回っていない状況が見られます。
こうした日本経済の状況を背景にして投資家のリスクオフを図る動きから株式市場は昨年来の調整局面を継続しており、需給悪の中で個別株の低迷も顕著です。
日本の株式市場に上場している約3600社の企業のうちPBRが0.5倍以下に留まっているのは約700もあり、更には1倍以下となると約1950もあるのです。つまり解散価値を株価が下回っているのが、過半数を超えているという現実をどう見たら良いのでしょうか。
この中には時価総額が小さな小規模な銘柄から時価総額が比較的大きな大型銘柄まで様々に存在しています。
なぜこうした現象が生じているのかというと将来の成長性が見出せずに業績の停滞が多くの企業で見られるためと考えられます。
自らの力で市場を切り拓き成長を指向している銘柄のPBRは比較的高く、当然のごとくPERも高い評価がなされています。また低PBRでもその背景が赤字経営が続いているなど企業の存続にも関わる状況がそうさせているケースもあります。
投資家は様々な経済環境や相場環境の変化に絶えながらじっくり長期スタンスで保有し続けている可能性があります。多くの企業は成長指向ではあるでしょうが、マクロ経済の状況にも影響を受け、収益の変動を余儀なくされています。
本格的な収益拡大の方向性が見出せるなら株価は上昇に向かうのでしょうが、業績の停滞が続くと投資家はリスクオフしたくなってしまいがちです。
最近の投資家は短期的な成果を求めがちになっていて、株価が低迷している局面での長期スタンスでの投資を実行に移せる本物の投資家は少なくなっているのかも知れません。
かつては不景気の株高という言い方がなされましたが企業が持つ余資の運用先に株式があり、企業自らが株式投資をするなど財テクに走った時代があったこと を思い出す必要があります。今はそうした時代ではなくなってバランスシートをスリム化しようと各企業が余計な投資をしなくなってしまいました。
とは言え、自らの資産内容に比べて優れた他社株式を保有するのは将来の収益を得るための良い選択肢の一つかも知れません。
企業内に余った現預金が設備投資(固定資産投資)や研究開発投資(知的財産投資)に回り、更には一定金額は自社株も含めた上場株の運用に用いられるとい うお金の流れが活発化しない点が日本経済の停滞にもつながっているという認識を皆さんとともに共有しておきたいと思います。
(炎)
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