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有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」の過去配信ライブラリ「銘柄研究」「コラム」のうち、今回は特別に研究銘柄の一部を掲載いたします。自立した投資家、石川臨太郎のコンテンツをお楽しみ下さい。
なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。
=銘柄研究 ニチリン(5184)=
(有料メルマガ第403回・2016/10/18配信号)
※注 2016年10月現在の内容ですので留意下さい。
本日は、1914年(大正3年)に創業した自動車用、二輪車用、さらには家庭および家電用の各種ホースや配管を製造する自動車部品メーカーである、ニチリンを研究銘柄として取り上げます。
ニチリンは、明治時代に栄えた総合商社「鈴木商店」の子会社より分離独立し、日本輪業合資会社として神戸市に設立されました。
当時は自転車タイヤ・チューブ、各種ゴムホースおよび工業用ゴム製品の製造・販売をしており、2014年には創業100周年を迎えた、長い歴史と伝統のある会社です。
現在はブレーキホース、カーエアコンホース、パワーステアリングホースなど、自動車用ホースを中心に、水道用ホースなどさまざまなホースを製造しています。この100年の間に戦争や天災などの困難も経験してきましたが、良いものは残し、常に変化し挑戦しながら、時代に合ったものづくりを行い、現在のニチリンがあります。
今では、世界に13拠点を持つグローバル企業となり、世界中のモータリゼーションに貢献しています。
ニチリンの技術力は、日本国内の自動車メーカー、バイクメーカーだけでなく、フォルクスワーゲン、アウディ、ゼネラルモーターズ、フォードなど、複数の海外メーカーからも高く評価されています。部品の入れ替え、技術革新のスピードが速い自動車業界で、現状に満足することなく、多様化する顧客のニーズを満たすために、日々技術開発力の向上に努めています。
ニチリンは、いまでは自動車用ホースのリーディングカンパニーとしてエアコンディショニング、ブレーキ、パワーステアリングなどさまざまな用途に向けた広範囲なホースを開発・生産しています。二輪車用ホースにおいては100%に近い日本国内シェアを誇っています。
ニチリンの沿革
http://www.nichirin.co.jp/corporate/co_enkaku.html
ニチリンは、日本の自動車メーカーはもとより、海外の主要自動車メーカーから信頼されて業績を伸ばしている企業です。
まず、本日の研究銘柄としてニチリンを選んだ理由を説明します。
1.ニチリンは、8月9日に2016年12月期第2四半期の決算短信を発表しましたが、円高が進んでいるのに業績が堅調であること。同日に業績修正を行いましたが通期の純利益の業績予想は変更しませんでした。
8月9日に発表された『通期連結業績予想の修正および通期個別業績予想』に関するIRです。
http://www.nikkei.com/markets/ir/irftp/data/tdnr/tdnetg3/20160809/a12s63/140120160808471195.pdf
『当社顧客からの受注が堅調に推移したことに加え、好調な北米市場や中国市場の回復、アセアン市場も概ね堅調であったことから当社グループの受注は順調に推移しており、下期においても受注状況に大きな変化はないものと予想しております。しかしながら第2四半期以降急激に円高が進行し、下期においても円高基調が継続するものと予想されますので、第3四半期以降の為替レートを1US$=115円から1US$=102円に見直したことにより、通期の売上高は予想を下回る見込みであります。一方、営業利益につきましては、継続的な生産性改善や原価低減活動の推進、グループでの最適生産体制の取り組みにより、海外の全セグメントとも好調に推移するものと見込み、予想を上方修正しております。』
このように、第3四半期以降の為替レートを円高に修正しています。直近では円はニチリンの想定レートより円安方向に動いています。
第2四半期時点の通期一株利益予想は、年初と同じ289.88円です。
ニチリンは常に保守的な業績予想を出す企業です。
○ニチリンの過去の一株利益の年初予想と実績の確認
2014年12月期:予想229.12円 ⇒ 実績236.31円
2015年12月期:予想244.55円 ⇒ 実績301.00円
〇四半期(各3ヶ月)ごとのニチリンの一株利益の推移
10四半期分を確認します。
2014年12月期
第1四半期 65.12円
第2四半期 53.08円
第3四半期 41.70円
第4四半期 76.41円
2015年12月期
第1四半期 51.61円
第2四半期 65.70円
第3四半期 85.48円
第4四半期 100.22円
2016年12月期
第1四半期 88.13円
第2四半期 65.13円
後ほど研究開発の状況をチェックしますが、新製品を開発して納入開始する情報や、量産を開始するという情報が多いです。新製品開発力が強いことで、利益を増やしていることが確認できます。
2.10月12日に、従来30%の出資シェアだったスペイン企業の出資比率を70%に引き上げて、連結子会社化を行いました。
http://www.nikkei.com/markets/ir/irftp/data/tdnr/tdnetg3/20161012/a4wt3w/140120161012410940.pdf
このIRの連結子会社化した理由の中に『最近大口受注の成功』ということが書かれており、出資シェアの増加分の利益の増加だけではなく、大口受注による利益の増加と、円安傾向が続くと、ニチリンの業績が予想以上に伸びることが期待できます。
3.ニチリンは、低PERかつ低PBRと投資指標的に割安であること。
ニチリンの株価は上昇をスタートしていますが、10月14日の終値1591円で考えても低PERかつ低PBRです。
PERは5.5倍です。
一株純資産 1892.49円(=2016年6月末時点の数字)です。
PBRは0.84倍です。
4.ニチリンの平成23年12月期から平成27年12月期までの4年間の純利益(と一株利益)の推移。そして2016年12月期の予想。
〇純利益(カッコ内は一株利益)
平成23年12月期 ▲0.10億円( ▲1.13円)
平成24年12月期 7.29億円( 81.79円)
平成25年12月期 21.30億円(210.81円)
平成26年12月期 26.09億円(236.31円)
平成27年12月期 32.22億円(301.00円)
平成28年12月期予32.00億円(289.88円)
僅かに赤字だった平成23年12月期と平成27年12月期を比較すると、売上高で1.52倍。経常利益で10.1倍。純利益で38倍を超える増収増益となっている企業です。
5.2011年12月期と2016年12月期第2四半期のバランス・シートを比較すると、現金性資産が大きく増加していること。
<2011年12月末>
(資産の部)
資産合計 297.4億円
現・預金32.1億円
投資有価証券26.3億円
受取手形及び売掛金69.8億円
在庫47.0億円
土地35.8億円
建物等25.8億円
設備等28.8億円
(負債の部)
全ての負債196.6億円
有利子負債54.3億円
<2016年6月末>
(資産の部)
資産合計 422.6億円 (125.2億円増加)
現・預金112.7億円(80.6億円増加)
投資有価証券26.2億円(0.1減少)
受取手形及び売掛金+電子記録債権83.6億円(13.8億円増加)
在庫56.3億円(9.3億円増加)
土地36.3億円(0.5億円増加)
建物等39.6億円(8.4億円増加)
設備等36.4億円(7.6億円増加)
(負債の部)
全ての負債182.1億円(14.5億円減少)
有利子負債33.4億円(20.9億円減少)
総資産が125.25億円増加したのに、負債総額は14.5億円減少。
そして有利子負債も20.9億円減少している。
現・預金は80.6億円増加し、投資有価証券は0.5億円の減少である。
すぐ現金に換わる受取手形及び売掛金+電子記録債権も13.8億円増加している。
在庫も売上高が1.52倍増えたので9.3億円増加しているが、短納期で生産できるためか、売り上げの増加に比べて増加額が少ないと感じられる。しかしこれは評価して良いことだと考える。
業績が良くても、なかなか株価が戻さないので時価総額が175.7億円となったニチリンの総資産から、全部の負債を控除しても、240.5億円の資産が残ります。
総資産422.6億円―全ての負債182.1億円=240.5億円
その内訳は上記の通りで、現・預金112.7億円+投資有価証券26.2億円=138.9億円であり、この現金性資産だけでニチリン株をすべて買い占めるのに必要な金額(=時価総額175.7億円の79.0%に該当します。
6.ニチリンは4期連続で増配を行う計画であること。
配当の推移
ニチリンは2014年10月に1株⇒1.1株の株式分割をしています。
株式分割による過去の配当については株式分割の調整をしていない数字です。
http://www.nichirin.co.jp/ir/ir_7_segument.html
2012年12月期 12円
2013年12月期 16円
2014年12月期 22円
2015年12月期 28円
2016年12月期予32円
7.ニチリンは12月に金券優待があること。
ニチリンの優待のページ
http://www.nichirin.co.jp/ir/ir_15_kabu_yutai.html
権利確定12月末
クオカード
100株以上 1000円分
1000株以上2000円分
5000株以上3000円分
8.ニチリンは東証第2部に上場しており、東証第1部に昇格する可能性を持っていること。
IRに確認したところ、すでに3年前から東証第1部への形式基準は満たしているとのことでした。もし東証第1部に昇格すれば、業績が非常に良いこともあり、投資家の注目度が上がり株価へのプラスのインパクトが強まると考えています。
以上のような理由から、ニチリンを本日の研究銘柄として選びました。
では、いつものようにバランス・シートからニチリンの資産価値を確認します。
http://www.nikkei.com/markets/ir/irftp/data/tdnr/tdnetg3/20160809/a0pt5p/140120160802465949.pdf
平成28年12月期の第2四半期の決算短信から調べました。
【後略】
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